回復するちから
震災という逆境からのレジリエンス
被災地フクシマにおいてこころの医療に従事する精神科医が書き下ろす渾身の一冊。
人はかつてない理不尽な喪失から、いかにして回復してゆけるのか。家族を喪い、故郷を失い、ある人は根深く巣食う恐怖から身動きできず、罪悪感、抑うつに苦しめられる。著者は日々の診療のなかで、言葉を失い、ともに苦悩し、追いつめられながらも、人々が回復する長い道のりを見守ってゆく。寄り添うまなざしは温かい。著者は言う。「この土地の回復を見届けることは、現代社会が失いつつある大切なもの──人が生きてゆく上で欠くことのできない根源的な何か──を取り戻す道程に繋がってくる」。そうなのだ。極限から回復する物語を読み解くことは、精神疾患の療養はもちろん、未曾有のストレス社会ともいえる現代を生き抜くヒント、道標となるに違いない。
熊谷一朗 著
定価 1,980 円(本体1,800円 + 税) 四六判 上製 256頁
ISBN978-4-7911-0923-4〔2016〕
Contents
第一章 生命の喪失
第二章 誇りの喪失
第三章 故郷の喪失
第四章 破局からの回復
第五章 緘黙する少女
第六章 逆境からの脱出
第七章 不登校の少年
第八章 フクシマの現在
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