現代精神医学を迷路に追い込んだ過剰診断
人生のあらゆる不幸に診断名をつけるDSMの罪
精神医学はその本質を見失い、精神科医自身、自分が愛する職業に対して失望してしまっている。過剰診断は、当事者の置かれた状況とは無関係に、薬物による過剰治療と密接に関係している。精神科医は、精神科医たらしめた真摯に傾聴する技術や臨床的な現象に細心の注意をはらうということを忘れてしまったかのようだ。本書は精神保健従事者および当事者や精神医学の行く末に関心がある人々に向けて書かれた。彼らはどのようにして精神科医がこのような問題を抱えてしまったのか知りたいだろう。そして精神医学がこれからどうなってゆくのかを。
ジョエル・パリス 著
村上雅昭 訳
定価 2,530 円(本体2,300円 + 税) 四六判 並製 192頁
ISBN978-4-7911-0958-6〔2017〕
Contents
序論 精神医学にいったい何が起こったのか
第Ⅰ部 背 景
1 精神科の診断
2 DSMとその不満
3 過剰診断と過剰治療
4 科学,哲学と診断
第Ⅱ部 過剰診断されがちな診断名(カテゴリー)
5 大うつ病(major depression)はどれほどメジャーなものか
6 双極性障害
7 心的外傷後ストレス障害(PTSD)
8 注意欠陥多動性障害(ADHD)
9 パーソナリティとパーソナリティ障害(PD)
10 過剰診断の危険があるその他の疾患
第Ⅲ部 診断と正常性
11 正常とは何か,どうすればわかるのか
12 我々はこれからどこへ向かうのか
参考文献
訳者あとがき
村上雅昭訳書
精神科臨床倫理 第4版
シドニー・ブロック、ステファン・A・グリーン 編
水野雅文、藤井千代、村上雅昭、菅原道哉 監訳