自閉症の心と脳を探る
心の理論と相互主観性の発達
自閉症では、他者の心を推測する機能「心の理論」や相互(間)主観性が発達するのかどうか、発達するならどのように発達するのか──心理学、脳科学、現象学などの知見や理論に基づき、きめ細かく且つ大胆に探究した書。初めに、心の理論の意味と健常の子どもたちの発達がどうなっているのかが述べられ、感覚過敏、ミラーニューロン、脳内模倣などをわかりやすく紐解きながら、著者らが関わった興味深い症例なども示し、徐々に自閉症の心の謎に迫っていく。自閉症の心の世界を知るうえでまさに欠かせない一冊。
山本晃 編著
定価
3,630 円(本体3,300円 + 税) A5判 並製 332頁
ISBN978-4-7911-1000-1〔2019〕
Contents
第1章 「心の理論」を考える
第2章 自閉症の諸症状を感覚過敏から説明する試み
第3章 症例C――ことばのほとんどない自閉症児がごく簡単な会話をするまで
第4章 乳幼児の言語獲得
第5章 ミラーニューロン
第6章 自閉症のミラーニューロン機能不全説
第7章 脳内模倣による社会性発達の説明
第8章 コミュニケーションのためのさまざまな普遍性
第9章 人は他者のなかの「I」も経験できる
第10章 知覚などに社会的なものはどのように入り込んでくるか
第11章 次のステップへのヒントとなる実験
第12章 共感的模倣
第13章 自閉症の症例A
第14章 他者の主観を排除する
第15章 他者の主観を再構成する
第16章 二つの「周囲世界」の綜合
第17章 高機能自閉症の症例B
第18章 ヘーゲルの『精神現象学』
第19章 「共通の世界」
第20章 アスペルガー障害の症例P
第21章 レンプの隣接実在
第22章 症例Pの考察
第23章 同一性綜合が妨げられる他の可能性
第24章 相互主観性の発達
関連書
発達障害の精神病理II
内海健、清水光恵、鈴木國文 編著
青木省三、兼本浩祐、黒木俊秀、萩原徹也、平井正三、山下祐一 著