《第28巻増刊号:物質使用障害とアディクション 臨床ハンドブック》
アルコール・薬物依存といった物質使用障害や、ギャンブル依存、インターネット依存といった行動のアディクションに対する現時点での最も包括的で最新の臨床実践集。これら、今日的な精神障害に苦手意識を持つ精神医療現場は多いと思われるが、本書を読めば、基本的な知識が得られるのみならず、必ずしも自分のところで治療することが難しくても、適切な支援資源が何かがわかるので、そこへつなげることができ、結果として患者に最善の治療を提供することができるようになる。執筆陣は経験豊富な臨床家、支援者を揃えた。わが国の物質使用障害とアディクション臨床のスタンダードとなる書。
編集:「精神科治療学」編集委員会 B5判 並製 432頁 通巻328号
JANコード:4910156081036
発刊にあたり | 松本俊彦 | |||
第 I 部 総論 | ||||
1. | 物質使用障害の疫学 | 尾崎米厚 | ||
2. | 物質の乱用・依存・中毒とその疾病性について | 和田 清 | ||
3. | 物質使用障害の評価法 | 大谷保和 | ||
4. | 物質使用障害とアディクションの生物学 | |||
1)物質使用障害の生物学 | 百瀬敏光 | |||
2)中毒性精神病の生物学 | 曽良一郎,岡﨑賢志,笹田 徹 | |||
3)行動アディクションの生物学 | 鶴身孝介,高橋英彦 | |||
5. | 物質使用障害の併存精神障害(重複障害) | 真栄里 仁,松下幸生,樋口 進 | ||
6. | 物質使用障害とアディクションの精神病理学─「自己治療仮説」の観点から─ | 松本俊彦 | ||
7. | 新しい治療モデル─「底つき」モデルを乗り越えて─ | |||
1)物質使用障害とアディクションの治療に関するエビデンス | 原田隆之 | |||
2)物質使用障害に対するワークブックを用いた治療プログラム | 松本俊彦 | |||
3)リカバリー・ダイナミクスとは? | 矢澤祐史 | |||
4)家族に対する新しい介入方法─CRAFT─ | 吉田精次 | |||
5)わが国における治療共同体の可能性─アミティーのエンカウンターグループに学ぶ─ | 引土絵未 | |||
6)若年の薬物乱用者に対する治療共同体の可能性─プロジェクト・オンブレに学ぶ─ | 近藤京子 | |||
コラム─筆者はいかに回復を信じるようになったか─ | 比江島誠人 | |||
第 II 部 アルコール使用障害 | ||||
1. | アルコール離脱症状および関連精神障害の診断と治療 | 遠藤光一 | ||
2. | アルコール依存症の予後と断酒3原則(断酒の3本柱) | 長 徹二 | ||
3. | アルコール問題に対する早期介入 | |||
1)アルコール使用障害へのSBIRT | 吉本 尚,小松知己,猪野亜朗 | |||
2)救急外来(Emergency Room:ER)を受診するアルコール使用障害患者への支援 | 猪野亜朗,高瀬幸次郎,片岡千都子 他 | |||
3)内科と連携したアルコール使用障害患者への支援 | 長 徹二 | |||
4)アルコール問題の早期介入と動機づけ面接 | 中島 薫,杠 岳文 | |||
5)初期問題飲酒者に対する早期介入─HAPPYプログラム─ | 角南隆史,杠 岳文 | |||
6)アルコール使用障害の早期発見と地域介入 | 武藤岳夫,福田貴博 | |||
4. | 専門医療機関における治療 | |||
1)アルコール使用障害に対する入院治療 | 中山寿一,真栄里 仁,横山 顕 他 | |||
2)アルコール使用障害に対する外来治療 | 辻本士郎 | |||
3)アルコールデイケアを活用した治療 | 奈良圭之輔,中田千尋,須田賢太 他 | |||
4)アルコール使用障害に対する薬物療法 | 佐久間寛之,樋口 進 | |||
5. | 手紙療法─手紙による家族介入─ | 後藤 恵,猪野亜朗 | ||
6. | 民間機関とどのように連携するか? | |||
1)民間回復施設におけるアルコール依存症者支援① ─マック─ | 岩原千絵,後藤 恵 | |||
2)民間回復施設におけるアルコール依存症者支援② ─アルコールケアセンターたんぽぽ─ | 井上一郎 | |||
3)断酒会の活動 | 赤澤正人 | |||
7. | 高齢者のアルコール使用障害の臨床的特徴と治療 | 白坂知信,木村直友,佐々木裕司 他 | ||
8. | アルコール使用障害と気分障害 | 中野和歌子,中村 純 | ||
9. | 飲酒運転とアルコール関連問題 | 長 徹二 | ||
10. | 司法関連機関における飲酒運転に対する介入─市原刑務所での試み─ | 丸山 寿 | ||
11. | アルコール問題と自殺 | 松下幸生,樋口 進 | ||
12. | ホームレス者とアルコール問題─まずは住まいを─ | 森川すいめい | ||
13. | 災害とアルコール問題 | 野田哲朗 | ||
コラム─物質使用障害とアディクションの臨床から学んだこと─ | 大石 智 | |||
第 III 部 薬物使用障害 | ||||
1. | 覚せい剤精神病の臨床的特徴と治療─統合失調症との相違─ | 小沼杏坪 | ||
2. | 覚せい剤使用障害の入院治療─渇望期を乗り切るために─ | 成瀬暢也 | ||
3. | 覚せい剤依存症の外来治療─初診,個人精神療法,薬物療法,連携を中心に─ | 青山久美 | ||
4. | 大麻関連精神障害の臨床的特徴と治療 | 梅野 充 | ||
5. | 日本において可能なヘロイン(オピオイド)依存症の解毒治療 | 麻生克郎 | ||
6. | ベンゾジアゼピン依存の治療 | 佐谷誠司 | ||
7. | ベンゾジアゼピン常用量依存の治療 | 稲田 健 | ||
8. | 救急医療の現場における過量服薬と精神科医療の問題 | 井出文子 | ||
9. | 脱法ハーブの成分と行動薬理学的影響 | 舩田正彦 | ||
10. | 脱法ハーブ誘発性の精神神経症状とその急性期治療 | 井出文子 | ||
11. | 薬物使用障害者の福祉的支援をめぐる現状と課題 | 宮永 耕 | ||
12. | 薬物使用障害からの回復─ダルクでの観察─ | 近藤千春 | ||
13. | 民間機関とどのように連携するか? | |||
1)ダルクにおける薬物依存症者支援 | 栗坪千明 | |||
2)「やめた」後に残る課題と回復支援の多様性─三重ダルクの実践から─ | 市川岳仁 | |||
3)アパリの司法サポート | 尾田真言 | |||
4)薬物依存症者家族会の活動 | 小松崎未知 | |||
14. | 司法関連機関における介入 | |||
1)刑務所における薬物再乱用防止プログラム | 谷家優子,上原 央,安達泰盛 他 | |||
2)少年施設における薬物再乱用防止プログラム | 伊藤雅美 | |||
3)保護観察における薬物事犯者の処遇及び薬物処遇プログラムについて | 西﨑勝則 | |||
4)更生保護施設における女性薬物使用障害者の支援 | 伊藤絵美 | |||
15. | 薬物使用障害と性的マイノリティ,HIV | 嶋根卓也,日高庸晴 | ||
16. | 薬物使用障害臨床における司法的問題への対応 | 松本俊彦 | ||
コラム─物質使用障害とアディクションの臨床から学んだこと─ | 姜 昌勲 | |||
第 IV 部 アディクション | ||||
1. | 病的ギャンブリング | |||
1)病的ギャンブリング─総論と今後への展望─ | 佐藤 拓 | |||
2)精神科クリニックにおける病的ギャンブリングの治療 | 伊波真理雄,阿部 誠,今井裕子 | |||
3)病的ギャンブリングの集団療法 | 田辺 等 | |||
4)病的ギャンブリングに対する内観療法の使い方 | 河本泰信 | |||
5)民間回復施設における病的ギャンブリングの支援① ─ワンデーポートの活動─ | 中村 努 | |||
6)民間回復施設における病的ギャンブリングの支援② ─リカバリーサポート・ネットワークの活動─ | 西村直之 | |||
7)民間回復施設における病的ギャンブリングの支援③ ─セレニティパークジャパンの活動─ | 矢澤祐史 | |||
8)司法書士による病的ギャンブリングに対する支援 | 稲村 厚 | |||
9)ギャンブル問題を抱える家族に対する支援 | 田中紀子 | |||
2. | 窃盗癖の臨床的特徴と治療 | 竹村道夫 | ||
3. | インターネット依存(嗜癖)の臨床的特徴と治療 | 中山秀紀,三原聡子,樋口 進 | ||
4. | 性的嗜癖行動に対する包括的地域トリートメント | 斉藤章佳 | ||
コラム─物質使用障害とアディクションの臨床から学んだこと─ | 孫 漢洛 | |||
第 V 部 物質使用障害とアディクションをめぐる様々な問題 | ||||
1. | 複雑な症例の治療 | |||
1)重複診断症例の臨床的特徴と治療① ─統合失調症─ | 池田朋広,常岡俊昭,稲本淳子 他 | |||
2)重複診断症例の臨床的特徴と治療② ─パーソナリティ障害─ | 小林桜児 | |||
3)重複診断症例の臨床的特徴と治療③ ─アルコール症と摂食障害の併存例の特徴と治療─ | 鈴木健二 | |||
4)重複診断症例の臨床的特徴と治療④ ─発達障害─ | 朝倉 新 | |||
2. | 司法関連の問題 | |||
1)精神鑑定 | 岡田幸之 | |||
2)心神喪失者等医療観察法における物質使用障害患者の治療 | 今村扶美 | |||
3. | 地域支援に際して無視できない問題 | |||
1)精神保健福祉センターにおける地域アディクション対策 | 五十嵐雅美 | |||
2)女性のアディクションへの援助 | 大嶋栄子 | |||
3)クロスアディクションを抱える女性の臨床経過と回復について | 天羽 薫 | |||
4)アルコール・薬物依存症と子育て支援・児童虐待防止 | 森田展彰 | |||
5)ドメスティックバイオレンスと依存症治療 | 妹尾栄一 | |||
6)アディクションとAC | 信田さよ子 | |||
コラム─愛しすぎる女たちをめぐる臨床家の越境─ | 岩井圭司 | |||
事項索引 |