《第32巻増刊号:高齢者のための精神科医療》
精神科医療の現場で急増している高齢の患者への対応を解説した決定版!高齢化社会を迎え、認知症をはじめ、統合失調症や気分障害などの精神疾患を持つ高齢者に対応する場面が増えている。一般精神科医もそうした高齢の患者への対応に精通しなければならない。本増刊号は、高齢化による病像変化、身体機能の低下に伴う薬剤調整、高齢発症の精神疾患や認知症合併例への対応、さらには自動車運転や終末期医療などの社会的・倫理的問題や、医療経済面も取り上げた。高齢者の診療を行う機会のない精神科医はほとんどいない現状において、高齢者のための精神科医療を網羅した、すべての精神科医療関係者必読の書。
編集:「精神科治療学」編集委員会 B5判 並製 424頁 通巻380号
JANコード:4910156081074
発刊にあたり | 宮岡 等 | |||
第1章 : 心理社会的背景 | ||||
1. | 近年の人口動態と高齢者の増加 | 松田晋哉 | ||
2. | 高齢者の脳にみられる生理的変化 | 東 晋二,新井哲明 | ||
3. | 高齢者の心理―「老い」をめぐる受容・変容・不寛容― | 小松尚也 |
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4. | 高齢者を支える家族の負担 | 諏訪さゆり | ||
5. | 高齢者をとりまく社会環境 | 粟田主一 |
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第2章 : 高齢者にみられる精神症状の特徴 | ||||
1. | 高齢者の精神症状の特徴―若年者と比べて― | 白木 俊,萩原徹也,天野直二 | ||
2. | 高齢者で鑑別を誤りやすい精神症状 | 飯沢美文,荻原朋美 | ||
第3章 : 知っておくべき検査 | ||||
1. | 簡易知能検査 | 高野由美子,佐々布亜希子,三成 綾他 | ||
2. | 様々な認知機能検査とその特徴 | 船山道隆 | ||
3. | 高齢者における認知機能検査の意義と限界 | 船山道隆 | ||
4. | 画像検査(X 線 CT および MRI) | 松田博史 | ||
5. | 核医学検査 | 松田博史 | ||
6. | 神経生理学的検査 | 伊藤ますみ | ||
7. | 今後期待される検査 | 石井賢二 | ||
第4章 : 治療 | ||||
1) 身体療法 | ||||
1. | 高齢者における薬物療法 | |||
1-1. 高齢者における薬物動態─抗精神病薬を中心に─ | 大村祐貴,中島振一郎 | |||
1-2. 高齢者で注意すべき薬物相互作用 | 鈴木映二 | |||
1-3. 高齢者におこりやすい向精神薬の副作用(心循環器系) | 久村正樹 | |||
1-4. 高齢者におこりやすい向精神薬の副作用(消化器系) | 秀野武彦 | |||
1-5. 高齢者におこりやすい向精神薬の副作用(神経系) | 小田陽彦 | |||
1-6. 認知症治療薬の副作用 | 大石 智 | |||
1-7. 高齢者で使いにくい向精神薬,使いやすい向精神薬 | 工藤 喬 | |||
2. | 高齢者に対するECTの意義と問題点 | 板垣 圭,竹林 実 | ||
2)ケアと非薬物療法 | ||||
1. | 高齢者における精神療法の意義と限界 | 上田 諭 | ||
2. | 認知症に対するケアと非薬物療法 | |||
2-1. 精神科医療におけるパーソン・センタード・ケア | 水野 裕 | |||
2-2. 回想法 | 島原雅美 | |||
2-3. バリデーション | 三田村知子,都村尚子 | |||
2-4. リアリティ・オリエンテーション訓練―記憶障害に応じた支援のために― | 若松直樹 | |||
2-5. 音楽療法のエビデンス | 佐藤正之 | |||
2-6. 認知活性化療法 | 山中克夫 | |||
2-7. 運動療法 | 仙波浩幸 | |||
3)社会資源の利用など | ||||
1. | 地域包括ケア | 石川智久 | ||
2. | 認知症初期集中支援チーム | 鷲見幸彦 | ||
3. | 認知症疾患医療センター | 粟田主一,枝広あや子,杉山美香 | ||
4. | 高齢者が利用できる社会保障制度、社会資源 | 畠山 啓 | ||
5. | ケアギバーへの支援 | 松本一生 | ||
4)その他 | ||||
1. | 認知症の入院適応および入院長期化 | 熊谷 亮 | ||
2. | 認知症の人の責任能力と家族の介護義務 | 新里和弘 | ||
3. | 後見人制度をめぐる諸問題 | 齋藤正彦 | ||
4. | 認知症と自動車運転 | 上村直人 | ||
5. | 認知症の人と家族の会の活動について | 中村重信 | ||
6. | 社会的保障―保険や副作用被害救済制度― | 伊藤賢伸 | ||
7. | 認知症医療における専門医の役割―認知症はだれが診るのが適切か?― | 前田 潔,尾嵜遠見 | ||
第5章 : 疾患各論 | ||||
1)認知症 | ||||
1. | アルツハイマー型認知症 | 新井平伊 | ||
2. | レビー小体型認知症の診断と治療 | 橋本 衛 | ||
3. | 前頭側頭型認知症(FTD) | 福原竜治 | ||
4. | 血管性認知症 | 丹羽 篤,冨本秀和 | ||
5. | 認知症と誤診されやすい疾患―特発性正常圧水頭症― | 數井裕光,吉山顕次 | ||
6. | いわゆるBPSDをどう考え,どう対応するか | 池田 学 | ||
2)高次脳機能障害 | ||||
1. | 失語,失認,失行 | 中川賀嗣 | ||
2. | 健忘症候群 | 森山 泰,三村 將 | ||
3. | 社会認知障害・前頭葉症候群 | 生方志浦,村井俊哉 | ||
3)高齢者特有の精神疾患 | ||||
1. | せん妄(高齢発症) | 八田耕太郎 | ||
2. | 妄想性障害(高齢者の幻覚妄想状態) | 安田 学 | ||
3. | 遅発性パラフレニー | 小野江正頼 | ||
4. | 遅発性緊張病(高齢発症) | 萩原徹也 | ||
5. | 接触欠損妄想症 | 古城慶子 | ||
6. | 口腔内セネストパチー | 宮地英雄 | ||
7. | 皮膚寄生虫妄想 | 久松徹也 | ||
8. | シャルル・ボネ症候群 | 森本陽子 | ||
9. | 音楽幻聴 | 馬場 存 | ||
10. | 退行期メランコリー | 古野毅彦,前川 恵 | ||
4)その他の精神疾患―高齢発症と高齢による変化― | ||||
1. | 高齢者うつ病―認知症の初期症状としてのうつ状態も含めて― | 宇和典子 | ||
2. | 双極性障害(認知症との関連を含む) | 井藤佳恵 | ||
3. | 高齢化した統合失調症への対応 | 落合結介,忽滑谷和孝 | ||
4. | アルコール依存(高齢発症) | 遠山朋海 | ||
5. | 行動嗜癖(パチンコ依存など) | 河本泰信 | ||
6. | 高齢者の不安障害 | 山本泰司 | ||
7. | 高齢者の心気症と慢性疼痛―心療内科の立場から― | 金沢文高,嶋田佳樹,細井昌子 | ||
8. | 高齢発症の適応障害 | 明智龍男 | ||
9. | 睡眠障害(高齢発症) | 竹内 暢,井上雄一 | ||
10. | トラウマ症状の超長期経過 | 蟻塚亮二,當山冨士子 | ||
11. | 食行動および口腔における問題 | 枝広あや子 | ||
12. | 中年期・高齢期になって気づかれる自閉スペクトラム症と ADHD | 志賀利一 | ||
13. | 高齢発症てんかんと認知症 | 赤松直樹 | ||
第6章 : その他の問題 | ||||
1. | 認知症診療における倫理性と科学性 | 宮岡 等,大石 智 | ||
2. | 高齢者の自殺 | 宮本浩司,張 賢徳 | ||
3. | 高齢者の緩和ケア | 櫛野宣久,古茶大樹 | ||
4. | 高齢者に対する虐待 | 加藤伸司 | ||
5. | 死別反応 | 中里和弘 | ||
6. | 新しい認知症治療薬開発の現状 | 竹下佳秀,柴田展人,新井平伊 | ||
事項索引 |