人はなぜ死に急ぐか
小規模精神科病院50年の経験
本書は、著者自身が開設した精神科病院における50年間の自殺例をすべて洗い出し、彼・彼女らはなぜ自殺しなければならなかったのかを精緻に分析したものである。患者さんは死によって何を訴えたかったのか。自殺した統合失調症圏、躁うつ病圏、境界性パーソナリティ障害など47人の背景、状況の綿密な調査・分析によって、それぞれの事例が自殺防止のための有益な手がかりを与えてくれる。また、後半では、地方都市の精神科病院という一定点から見続けた精神科医療の過去半世紀の変化と著者自身の地域精神科医療の歩みが紹介される。現在の精神科医療がどのような歴史の上にあるのか貴重な視点から知ることができる。
高柳功 著
定価 2,090 円(本体1,900円 + 税) 四六判 並製 188頁
ISBN978-4-7911-1056-8〔2020〕
Contents
人は何故死に急ぐか――小規模精神科病院五十年の経験より
第一章 自殺した患者さんの分析
第二章 統合失調症圏の事例の分析
第三章 躁うつ病圏の事例の分析
第四章 境界例(ボーダーライン)の事例
第五章 平成の自殺急増期と新・自殺予備群
第六章 平成の自殺急増期――その背景と新・自殺予備群の人たち
第七章 自殺対策の展開
終章 人は何故死に急ぐか
精神科医療半世紀の変遷と統合失調症医療の展開
一.統合失調症の問題
二.一九六〇年代の精神科医療
三.金沢学会――精神医学における権威構造の崩壊
四.精神保健法の成立とその背景
五.昭和六十二年法改正――新しい医の哲学との出会い
六.精神科病院のアメニティ改善と地域活動
七.日本の精神科医療の将来
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