精神科領域の評価尺度はまさにSSRI(Simple, Sensitive, and Reliable Instrument;簡便で感度が高く信頼性の高い計器)が求められる時代である。第2世代抗精神病薬の時代の第2世代薬原性錐体外路症状評価尺度DIEPSSは1994年以来、伝統と創造の国、日本で広く使用され、確かなエビデンスが蓄積されてきたSSRIであるが、いまその真価が発揮され、東アジア諸国、そして世界で使用される時代が到来した。わが国で4000名以上の読者が手にして学んだあの日本語版DIEPSS解説書「薬原性錐体外路症状評価尺度の評価と診断」の増補改訂版である本書が、時代と世界の要請に応じて、ついに英語版で刊行された。
MADRS、YMRS、BPRS、SDSS、BAS、IDS-C、DIGSなど精神科領域の主要評価尺度日本語版を確立してきた著者が、DIEPSS解説書日本語版では紹介していないDIEPSS開発の契機となる、定型抗精神病薬時代に開発された「第1世代」錐体外路症状評価尺度の日本語版開発を断念した経緯を本書であかしている。子供銀行発行の壱万円札が流通業界では通用しないように、もはや形だけのスコア集めは臨床研究の世界では通用しなくなった。
稲田俊也 著
定価 4,180 円(本体3,800円 + 税) B5判 並製 80頁
ISBN978-4-7911-0722-3〔2009〕