子どもの精神科臨床
児童思春期精神医学の第一人者が、初めて子どもの精神科臨床について総括的に論じた渾身の一冊。子どもの育ち、とりわけ一貫して関心を寄せてきた思春期心性についての理解と、それらの臨床への応用の成果がまとめられた本書は、子どもの心の臨床における極めて重要な指針となる。P・ブロスの思春期論を核としたその特性、児童思春期の精神疾患の生物‐心理‐社会的な捉え方、子どもの精神疾患の概念の整理、様々な対象や設定に応じた精神療法論など、いくつかの大きなテーマにそって、子どもへの温かな眼差しとともに、心の診療のあり方に関する著者の現在の思想が明確に示されている。子どもの心の臨床に携わるすべての方へ。
齊藤万比古 著
定価 4,950 円(本体4,500円 + 税) A5判 上製 400頁
ISBN978-4-7911-0896-1〔2015〕
Contents
序章 深き森を往く道はあくまでも冥い
第一部 子どもの心とその病理の理解のために
第1章 思春期の病態理解─前期思春期を中心に─
第2章 思春期:集団と個の桎梏を越えて─10歳から15歳にかけての心性を中心に─
第3章 児童・思春期精神疾患の発症仮説と病態─発達危機という文脈での理解─
第4章 思春期児童への治療的援助(講義録)─被虐待児の支援のために─
第二部 子どもの心の諸問題
第5章 子どもの精神疾患と心身症
第6章 子どもの「不安症」の理解のために
第7章 子どもの強迫性障害
第8章 子どもの気分障害
第9章 不登校の児童思春期精神医学的観点
第10章 日本児童青年精神医学会誌上での不登校論の展開
第11章 素行障害概念の展開と精神療法の可能性
第三部 子どもの心の治療(精神療法を中心に)
第12章 思春期前半期の子どもの診察中の困難
第13章 エビデンスに基づく子どもの精神療法
第14章 児童精神科における入院治療
第15章 子どもの強迫性障害への力動的精神療法の意義
第16章 子どもの入院治療における精神療法的観点
第17章 児童思春期臨床における精神療法
第四部 子どもの心の臨床現場と専門家の育成
第18章 子どもの心の専門医をどう育てるか
第19章 子どもの心の診療と連携─地域に必要なネットワーク─
第20章 児童思春期精神科病棟の現状と課題
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