ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)における価値とは
クライエントの価値に基づく行動を支援するためのセラピストガイド
アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)の重要な構成要素の一つである「価値」について徹底的に解説した。「価値」とは,「人生のコンパス」と言えるものであり,クライエント自身が何に価値を置くかを明確にすることによって人生の方向性が明確になり,価値に沿った行動に取り組めるようになる。本書は,ACTの中でも難易度の高い「価値」にまつわる課題をセラピーで取り扱うために必要な知識とツールを提供する。豊富なワークシートやエクササイズは,クライエントが価値づけられた行為を発見し,探り,コミットするために役立ち,セラピストの大きな助けとなるだろう。
ジョアン・C・ダール、
ジェニファー・C・プラム、
イアン・スチュアート、
トビアス・ラングレン 著
熊野宏昭、
大月友、
土井理美、
嶋大樹 監訳
定価 4,950 円(本体4,500円 + 税) A5判 並製 348頁
ISBN978-4-7911-1065-0〔2020〕
Contents
第1章 イントロダクション:ACTにおける価値
・哲学的前提
・行動分析学と価値
・ACT,価値,そして最新の心理療法
・まとめ
第2章 ACTとRFT
・関係フレーム理論
・アクセプタンス&コミットメント・セラピー
・まとめ
第3章 フュージョンと潜在的な言語のトラップ
・問題を暴く:フュージョンの影響
・言語のトラップ1:概念としての自己とのフュージョン
・言語のトラップ2:感情に関する思考とのフュージョン
・言語のトラップ3:理由とルールという言語的に解釈されたものとのフュージョン
・言語のトラップ4:結果とのフュージョン
・まとめ
第4章 ACTにおける価値づけのプロセス
・ステップ1:中核となる価値を同定する
・ステップ2:行動の機能を探る
・ステップ3:価値のためにゴールを選択する
・ステップ4:選択を評価し,行動パターンを作る
・まとめ
第5章 コンパッションと治療関係
・自己に対するコンパッション:必要条件
・治療関係における価値の役割
・治療プロセス:歴史と歴史が出会う
・治療関係を改善する
・セラピストの価値を宣言する
・クライエントとセラピストの価値が衝突したとき
・まとめ
第6章 価値に基づいたケースの概念化とアセスメント
・価値とよくみられる問題
・ライフライン(life line)を確立する:体験的メタファー
・ケースの概念化のまとめ
・価値の的(Bull’s-Eye)を使ってクライエントの価値をアセスメントする
・価値のアセスメントを用いるときの治療的な落とし穴
・価値づけられた道筋にコミットしていくための文脈を作る
・まとめ
第7章 ACTのコア・プロセスと価値
・脱フュージョン:字義どおり(literality)の意味を手放す
・「今,この瞬間」への気づき:体験に対するオープンな状態を育む
・文脈としての自己を育む:体験を超越する自己
・アクセプタンスとウィリングネス:心理的苦痛があるときに価値づけられた生活を送る
・まとめ
第8章 コミットされた行為の発展と維持
・柔軟性:価値づけられた行為の重要な要素
・価値を試す
・何が価値を維持するのか?
・価値の的ワークシートを用いてコミットされた行為を促す
・セラピーで価値づけられた軌道(valued track)を維持する
・クライエントと価値づけられた行動計画を展開する
・まとめ
第9章 価値のコンパス
・価値のコンパス:セラピーの針路を作る
・セラピーの開始時に価値のコンパスを使う
・価値のコンパスをセラピーの中期に応用する
・価値のコンパスをセラピーの終結間近に応用する
・価値に合致して生きる:いくつか重要な問題点
・まとめ
関連書