ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)をまなぶ
セラピストのための機能的な臨床スキル・トレーニング・マニュアル
近年の精神療法の歴史を見ても、ACTへの関心の高まりは驚くほどである。ACTは、関係フレーム理論から情報を得て、言語がどのように機能し、それが人間の苦しみや悲惨さの増大につながっていくのかを探究している。また、ACTでは、ネガティブな思考や感情を除去すべき問題として治療ターゲットにするのではなく、個人の行動とその行動が起こる文脈に焦点を置いている。クライエントが言語に縛られず、心理的柔軟性をもって価値に基づいた生活を送れるようにアクティブに働きかける。
ACTを学ぶためには、実践、実践、そして良い情報が必要である。本書は、ACTの基礎を学ぶのに欠かせないワークブックである。豊富な事例を含む解説や実践エクササイズで、ACT臨床家として必要な姿勢や技法を身につけることができる。
ジェイソン・B・ルオマ、
スティーブン・C・ヘイズ、
ロビン・D・ウォルサー 著
熊野宏昭、
高橋史、
武藤崇 監訳
定価 3,850 円(本体3,500円 + 税) A5判 並製 628頁
ISBN978-4-7911-0725-4〔2009〕
Contents
第 1 章 ACTの6つのコア・プロセスとその共通ターゲット
精神病理のACTモデル
ACTの6つのコア・セラピー・プロセス
ACTの定義
第 2 章 ウィリングネス/アクセプタンスの育成
ウィリングネスとは何か
なぜ,ウィリングネスなのか
ウィリングネスと脱フュージョンのつながり
何がこのプロセスのきっかけとなるのか
その方法はどのようなものか
コア・コンピテンシーの実践
第 3 章 認知的フュ−ジョンを弱める
脱フュージョンとは何か
なぜ,脱フュージョンか
何がこのプロセスのきっかけとなるのか
その方法はどのようなものか
セッション内での脱フュージョンを活用する
脱フュージョンを適用する際の柔軟性
コア・コンピテンシーの実践
第 4 章 「今,この瞬間」との接触
「今,この瞬間」との接触とは何か
なぜ,「今,この瞬間」と接触するのか
何がこのプロセスのきっかけとなるのか
その方法はどのようなものか
コア・コンピテンシーの実践
第 5 章 概念としての自己と文脈としての自己を区別する
概念としての自己
文脈としての自己
なぜ文脈としての自己を内容としての自己と区別するのか
何がこのプロセスのきっかけとなるのか
その方法はどのようなものか
コア・コンピテンシーの実践
第 6 章 価値に沿った方向性を見出す
価値とは何か
なぜ,価値か
この章の内容
何がこのプロセスのきっかけとなるのか
価値についての機能的な会話とはどのようなものか
その方法はどのようなものか
コア・コンピテンシーの実践
第 7 章 コミットされた行為のパターンを形成する
コミットされた行為とは何か
なぜ,コミットされた行為か
ウィリングネスとコミットされた行為の関連
何がこのプロセスのきっかけとなるのか
その方法はどのようなものか
コア・コンピテンシーの実践
第 8 章 ACTを用いたケースの概念化
なぜ,ケースの概念化か
ACTケース概念化プロセスの概要
ケースの概念化のサンプル
ケースの概念化の実践
継続的なプロセスとしての機能分析
ACTのケース概念化は伝統的なCBTとどう異なるのか
第 9 章 ACTの治療スタンス:ACTを実行するためのACTの使用
ACT治療スタンスのコア・コンピテンシー
3つのレベルでのACTプロセス:クライエント,セラピスト,関係
治療関係のACTモデル
治療関係をターゲットとする
コア・コンピテンシーの実践
第10章 ACTというダンスの踊り方
6つすべてのプロセスを具体的に示す面接記録サンプル
ACTのトラブルシューティング:7つのよくある落とし穴
落とし穴を探す実践練習
実践:ACTモデルで柔軟性を構築する
セラピストの対応の選択に影響を与える文脈
よくある質問
結論
関連書
不安障害のためのACT
ゲオルグ・H・アイファート、ジョン・P・フォーサイス 著
三田村仰、武藤崇 監訳
三田村仰、武藤崇、荒井まゆみ 訳
よくわかるACT
ラス・ハリス 著 武藤崇 監訳
武藤崇、岩渕デボラ、本多篤、寺田久美子、川島寛子 訳
ACTをはじめる
スティーブン・C・ヘイズ、スペンサー・スミス 著
武藤崇、原井宏明、吉岡昌子、岡嶋美代 訳
ACTを実践する
パトリシア・A・バッハ、 ダニエル・J・モラン 著
武藤崇、 吉岡昌子、 石川健介、 熊野宏昭 監訳