かつて精神医学の創成期に、優れた臨床家たちによって記述されたカタトニアの臨床記録は、今もって色あせず、精神医学の宝として眠っている。運動障害と精神障害の関係を解き明かすかもしれないカタトニアは、今日的な意味をもつ重要な研究分野である。本書は、現在「言語の壁」によってめったに読まれることのないかつての優れたカタトニア論考を編者が選定し、一冊にまとめたものである。本書を読むと、病と格闘する医師の姿や、重症カタトニアがそのまま死にいたってしまうなどの謎めいた症状の数々が生々しく浮かびあがってくる。カタトニアとはいったい何なのか? 今こそ再考を迫る珠玉の論文集。
ガボール・S・ユングヴァリ 編
鈴木一正 訳
定価 4,950 円(本体4,500円 + 税) A5判 上製 232頁
ISBN978-4-7911-1069-8〔2021〕
Contents
1「Karl Ludwig Kahlbaum 1828-1899」
2「カタトニア」
3「カタトニーの寛解」
4「運動精神病の臨床的位置づけ」
5「カタトニー症状の本質と重要性・意義」
6「カタトニーの予後について」
7「致死性カタトニー」
8「カタトニー:夢幻様状態」
9「カタトニー研究の問題」
追加論文1「興奮している精神病患者での消耗症候群」
追加論文2「カタトニック・ジレンマ」
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