臨床家がなぜ研究をするのか
--精神科医が20年の研究の足跡を振り返るとき--
統合失調症の解明に一筋の光
1症例から始まった発見「カルボニルストレス」
統合失調症は軽症化したといわれるようになった一方で、依然として病によって社会へ戻ることができない患者さんがいる。困難を抱える患者や家族の存在を忘れることなく、臨床と研究をどちらも尊重し、日夜研究を続けてきた、著者の思いとは……? 遺伝子の研究、カルボニルストレスの発見など、著者の挑戦の歴史が、豊富な図表を交えて語られる。あすへの希望を信じて統合失調症の解明にいどみ続けてきた著者の二十年の歩みが、この一冊にこめられている。
糸川昌成(東京都医学総合研究所) 著
定価 2,090 円(本体1,900円 + 税) 四六判 上製 248頁
ISBN978-4-7911-0835-0〔2013〕
Contents
第一章 ドーパミンD2受容体遺伝子の解析を手掛ける──かけだしの研究者の頃
・コラム 遺伝子とDNA
第二章 統合失調症研究の難しさ──精神医学が避けられない自然科学の謎
第三章 精神疾患と進化──なぜ精神疾患はなくならないのか
第四章 精神科治療の未来について──夢を語る、そして夢の実現に向けて
第五章 医療従事者が燃え尽きないために──私が心がけていること
第六章 遺伝か環境か──セロトニンとグルタミン酸
第七章 アメリカ留学──初めて外国人になってみて
第八章 臨床医が研究する意義──新研修制度前の大学の日常から
第九章 論文の書き方──臨床家が研究の視点を持つとき
第十章 カルボニルストレス── 一症例から始まった発見
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