月経前不快気分障害(PMDD)
エビデンスとエクスペリエンス
月経前に「学校や仕事を休んでしまう」「勉強や仕事の能率が極端に落ちる」「家事が全くできない」「子どもを虐待してしまう」「暴言を吐いてしまう」「暴言や口論、人間関係のトラブルが増える」…、そしてこれらが元で離婚や退職を余儀なくされた女性たちを著者は何例も診てきた。
DSM-5において、抑うつ障害群の下位診断名として独立した疾患となった月経前不快気分障害(PMDD)。欧米ではありふれた疾患という認識があるが、わが国ではPMDDを診たことがないという精神科医も少なからずいる。
本書は、PMDDの基礎知識─歴史・疫学・原因(仮説)など──、診断、鑑別診断、治療、何科が診るべきか、などについて治療ガイドラインの作成にも関与してきた著者が、エビデンスと臨床経験を交え、明快に解説する。
PMDDを、PMS(月経前症候群)や精神疾患の月経前の悪化ときちんと鑑別し、適切な治療を行うために必携の1冊。
山田和男 著
定価 2,530 円(本体2,300円 + 税) A5判 並製 112頁
ISBN978-4-7911-0948-7〔2017〕
Contents
第0章 月経前不快気分障害(PMDD)~月経の前だけうつ病になってしまう女性たち~
1.はじめに
2.月経前の抑うつ
3.独立した疾患としてのPMDD
第1章 PMDDとは
1.PMDDの特徴・症状
2.PMDDの歴史
3.PMDDの疫学
4.PMDDの原因(仮説)
第2章 PMDDの診断
1.DSM-5の診断基準
2.DSM-Ⅲ-RやDSM-Ⅳ(DSM-Ⅳ-TR)における扱い
3.ICD-10における扱い
第3章 PMDDの鑑別診断
1.PMDDとの鑑別を要する状態(総論)
2.月経前症候群(PMS)
3.精神疾患の月経前の増悪
第4章 PMDDの治療・1~PMDDの治療に関するエビデンス~
1.PMDDの治療に関するエビデンス
2.薬剤群ごとのエビデンス
3.エビデンス・レベルごとにみた分類
4.エビデンスからみたPMDDの治療法
第5章 PMDDの治療・2~文献レビューと治療ガイドライン~
1.系統的レビューとメタ解析の結果
2.PMDDの治療ガイドライン
第6章 PMDDの治療・3~間欠療法と継続療法~
1.“間欠療法”という治療法
2.治療のエビデンス
3.間欠療法と継続療法の使い分け
4.症状出現日服用療法について
5.筆者の治療経験より
第7章 PMDDの治療・4~いつまで治療すべきか?~
1.治療期間に関するエビデンス
2.筆者の治療経験より
第8章 PMDDは誰が診るべきか?
1.DSM-5に取り上げられたということは・・・
2.鑑別診断の問題
関連書
双極性障害の生物学的治療ガイドライン:躁病急性期の治療
H.Grunze, E.Vieta, G.M.Goodwin,
C.Bowden, R.W. Licht, H.J.Moller,
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山田和男(東京女子医科大学 東医療センター 精神科 教授) 訳