2014年10月アーカイブ

 
○衝動性とは何か
 BPDの衝動性で最もトラブルとなるのは、マイナスの衝動でしょう。
 〈コミュニケーションのつまずき〉で、患者は不安や怒りといった強いマイナスの情動が生じ、不適応行動や軽はずみな問題行動が引き起こされてしまいます。

 プラスの衝動としては、薬物の乱用,乱脈な性行為があります。
 「調子に乗った軽はずみな言動」がトラブルを引き起こすことも多いものです。

 計画性や忍耐力の欠如は、学業や仕事を地道に続けていくことを妨げるでしょう。

○自殺企図・自傷行為
 繰り返される自殺企図,自殺のそぶりや脅しは、BPDで最も際立った特徴です。

 BPD患者が自殺を考えたり試みたりするのが最も多いのは、20代です。
 ところが実際に自殺してしまうのは、30代(半ば以降)であることが明らかになったのです。
 有効な治療がなされず、年齢を重ねてしまった患者だということでしょう。

 自傷行為は、もうひとつの特徴的な症状です。
 自傷行為が果たす役割は、不快な情動を一時的に和らげるのが代表的なものです。
 人から面倒をみてもらいやすくなること,自分自身に対する怒りを表現することなどもあります。

 また、自傷行為がメディアを通じて広がっている可能性も考えられます。

 自傷行為は自殺を目的とした行為とは異なったものです。
 自傷行為を行なう患者のほとんどは、実際に自殺してしまうことはありません。

 しかし自傷行為の既往がある場合に、自殺の危険が著しく増大するのは事実です。
 自傷行為は「重く見すぎないように、しかし軽く見すぎないように」というのが基本です。

 BPD患者の2割が、自殺あるいは「自然経過」によって、健常者より著しく高い早期死亡率を示しています。
 適切な治療や指導を受けないと、性感染症や事故などのリスクを避けることが難しいでしょう。


*「治療者と家族のための 境界性パーソナリティ障害治療ガイド」
  黒田章史(岩崎学術出版社)より

文責・稲本
 

  
○対人関係上のストレスが気分変動を引き起こす
 BPD患者の感情の強烈さ,不安定さ,触れ幅の大きさは厄介なものです。
 特に恐怖,悲哀感といったマイナスの感情、とりわけ敵意に極端な変動がみられます。

 そのためBPDは感情調節障害が基盤と考えた研究者もいました。
 しかし抗うつ薬の効果は著しく乏しく、気分安定剤も充分な効果がありません。

 BPD患者の感情不安定性を引き起こすのは、「他人からの拒絶」「孤独であること」「失敗すること」など、対人関係やコミュニケーションに関わるものが代表的です。
 より短時間で一過性のものとして、双極性障害などとは区別されます。

○怒り・不安・空虚感
 対人関係上のストレス、特に〈コミュニケーションのつまずき〉が生じたとき、患者は怒りをあらわにすることがあります。
 怒りと並行して、不安感,悲哀感といったマイナスの感情にも悩まされています。
 これらの感情は相互に移行し、怒りに先行するのは大抵、対人関係にまつわる不安感なのです。

 「見捨てられ不安」と言われるように、BPD患者は、人が自分を拒絶している,要求を満たしてくれない,無視しているといった、対人関係にまつわる不安に極めて敏感です。

 空虚感は、退屈さとは縁遠い感覚であり、むしろ絶望感や寂しさ,孤独感と密接に関連しています。
 対人関係やコミュニケーションと関わる、情動に関する問題です。
 自殺行動に先立ってみられる「空しい」という訴えを、軽く見ることは禁物です。


*「治療者と家族のための 境界性パーソナリティ障害治療ガイド」
  黒田章史(岩崎学術出版社)より

文責・稲本
 
 

 

 
○BPD患者はコミュニケーションのつまずきに弱い
 BPD患者が「相手から拒絶された」と表現する出来事は、〈コミュニケーションのつまずき〉と呼んだほうが正確で、治療の上でも有益だと思われます。
 〈コミュニケーションのつまずき〉とは、自分と他人の違いが明らかになった、「えっ?」という状態です。

 しかしBPD患者は、対人関係で必然的に生じる〈コミュニケーションのつまずき〉を受け入れて耐える力,それを乗り越えてさらにコミュニケーションを志向していく力が極めて乏しいのです。

 そのため彼らは、2つの両極端の方向に向かいがちです。
 1つは、つまずきのない、なめらかなコミュニケーションをひたすら志向する方向で、もう1つは、他人とのコミュニケーション自体を暴力的に断ち切ろうとする方向です。

 1つ目には、できる限り波風を立てないような会話を心がけて対処していきます。
 これに重きが置かれ過ぎると、自分の一番したくないことに賛成してしまうといった、患者自身にとって不都合な事態が生じることになります。
 そして、他人とのコミュニケーション自体を暴力的に断ち切るという、第2のパターンに移行するわけです。

○〈人〉からものを学ぶことに伴う苦痛に耐えることができない
 これら2つのパターンを積み重ねる結果、人からものを学ぶことの苦痛に耐える能力,人から自分の気持ちや考えを学ばれることの苦痛に耐える能力が、大きく損なわれてしまいます。
 それは、相互理解を目的とするコミュニケーションの絶好のチャンスを逃すことになります。

 これまで「BPD患者は対人関係に対処するスキルが乏しい」といった、一般的な説明がなされてきました。
 しかしBPD患者は、他人に気を遣うために必要とされる基本的データ収集の時点で、失敗しています。
 自分が想像できる範囲の「外部」の、人の気持ちに気付く苦痛に耐えることが難しいのです。

 これは、「普通の気の遣い方」を身に付ける上で、大きな妨げとなってしまいます。
 彼らが常識に乏しいだけでなく、常識を身に付ける(学ぶ)能力それ自体に乏しく、〈コミュニケーションのつまずき〉を起こしやすくするという、悪循環になってくるのです。


*「治療者と家族のための 境界性パーソナリティ障害治療ガイド」
  黒田章史(岩崎学術出版社)より

文責・稲本
 

 
 対人関係上の問題は、BPDを他の障害から識別する上で最も役立つ特徴とされています。
 BPD患者は他のパーソナリティ障害と比べても、著しく友人関係で苦痛を感じやすく、孤独感を抱きやすいとも指摘されます。
 これまでBPDの主な性質は、衝動性や感情不安定性であるとされ、対人関係上の問題はそこから派生したものにすぎないと見なされてきましたが、最近の研究はそれにも疑問を呈しています。

 対人関係に関連した診断基準の1と2は、BPD患者が他人と親密になりたいと強く望みながら、「見捨てられる」のを同じくらい恐れるという、一見矛盾した奇妙な対人関係について述べたものです。
 他人に対する理想化から価値下げへの態度変更は、「見捨てられた」と感じた際に、しばしば急激に生じますから、対人関係は不安定で激しいものとなってしまうのです。

 人間は他人と親密になりたいと望むのは当然です。
 従ってBPDの対人関係の特徴は、「拒絶される」「見捨てられる」ことに対する恐れだということになります。

 ただしBPD患者が語る「見捨てられ」や「拒絶」は、些細に見えるような、予想外の出来事の積み重ねなのです。
 それは〈物〉ではなく〈人〉との関係で起こりやすいことも覚えておいてください。

 相手の表情,口調,視線の予想外の変化など、一見小さな出来事の数々が、患者にとって大きな苦痛が生じるきっかけになってしまいます。
 それは「大切な相手」であるとは限りません。
 初めて会った店員が挨拶をしてくれなかったといった状況でも、BPD患者が絶望し大騒ぎする引き金となります。


*「治療者と家族のための 境界性パーソナリティ障害治療ガイド」
  黒田章史(岩崎学術出版社)より

文責・稲本
 

  
Ⅰ BPDとコミュニケーションの病理
 BPDの「些細なきっかけで急に怒り出したり、大量服薬したりする」という問題行動は、ある特定の状況で、特定のメカニズムに従って生じると言ってよいものです。
 周囲の人が最も困惑するのは、それらの症状がどういう状況,メカニズムで生じるかが分からないことです。

 このメカニズムを明らかにするため、DSMの診断基準を、対人関係,情動,衝動性,認知という、4つの領域に分けて説明します。
 これらの全ての症状は、対人関係の問題が最も大きく関わっています。
 対人関係の問題を、「コミュニケーションの病理」という視点から捉え直したいと思います。

Ⅱ BPDの病理がみられる4つの領域
 DSM-5では、以下の9つの診断項目のうち、5項目以上を満たせばBPDと診断するとされます。

1.現実に、または想像の中で見捨てられるのを避けようとするなりふりかまわない努力
2.理想化とこきおろしとの両極端を揺れ動くことによって特徴づけられる、不安定で激しい対人関係
3.同一性障害:著明で持続する、不安定な自己像または自己感
4.自己を傷つける可能性がある衝動性で、少なくとも2つの領域にわたるもの。
 たとえば浪費,性行為,物質(麻薬,覚醒剤,アルコールなど)乱用,無謀な運転,むちゃ食い
5.自殺の行動,そぶり,脅し,または自傷行為の繰り返し
6.顕著な気分反応性による感情不安定性(たとえばエピソード的に生じる強い不機嫌, イライラ,あるいは数時間続く不安など)
7.慢性的な空虚感
8.不適切で激しい怒り,または怒りの制御の困難
9.一過性のストレスに関連した妄想様観念,または重篤な解離性症状


*「治療者と家族のための 境界性パーソナリティ障害治療ガイド」
  黒田章史(岩崎学術出版社)より

文責・稲本
 

 

「通常の治療」の限界

 
 BPD患者が家を破壊し、母親に激しい暴力をふるい、金を脅し取ったりすることを、主治医がまったく知らないというようなことは、日常茶飯事です。
 個人面接は、基本的に「患者自身が問題だと思っていること」「患者にとって関心があること」に沿ってなされるからです。

 BPD患者にとっては、例えば「店員が目を合わせてくれなかった」といったことはしばしば大問題ですが、親への暴力などはさしたる問題ではありません。
("親のせいでこうなった"のですから。)

 適切な治療のためには、こうしたテーマをリアルタイムで取り上げ対処する必要があります。
 その目的に対して、個人面接という治療スタイルは基本的に向いていません。

 BPD患者は自分が表に露出している問題について、ほとんどあるいは不十分にしか把握していません。
 患者に不足しているのは、自分の言動に関する精確な認知なのです。

 このような治療の落とし穴に落ちないためには、日常生活の中で患者の表面をよく観察しており、それを語る「他人(患者自身や治療者でない第三者)」が必要です。
 BPD治療の中に「他人(第三者)」を積極的に取り入れたのは、下坂とリネハンでした。

 下坂は「常識的家族面接」の中で家族面接を,リネハンは「弁証法的行動療法」の中で集団技能訓練を、不可欠な要素として用いました。
 「患者-治療者」という閉ざされた二者関係が、BPD治療に引き起こす問題を乗り越えようとしたのです。

 ただし「他人(第三者)の視点」を活用するためには、さまざまな工夫を凝らさなければなりません。
 本書の治療のアプローチと、これまでの方法の違いがあるとするなら、その「工夫」の違いだろうと思います。


*「治療者と家族のための 境界性パーソナリティ障害治療ガイド」
  黒田章史(岩崎学術出版社)より

文責・稲本
 

治療にまつわる落とし穴

 
 BPDが医療機関で正しく診断される保証はありません。
 きちんと診断された場合でも、的外れな治療や逆効果の介入を受けることも珍しくありません。
 診断すらされていない場合、効果に乏しい薬物治療を受ける可能性が高いのです。

○診断をめぐる問題
 BPDの患者は大抵、自傷行為や大量服薬を繰り返す,些細なことで怒りを爆発させるといった、派手な症状で受診します。
 しかし彼らはうつ病,不安障害,適応障害などの診断を受けることがほとんどです。

 しかも、そうした診断は必ずしも間違ってはいないのです。
 BPD患者は抑うつ症状を示すことが珍しくありません。
 ストレスの多い状況下でBPD患者はほとんど、DSMでうつ病の診断基準を満たすと言っていいくらいです。
 DSMの大うつ病が、診断の定義を過剰に広く取っているためです。

 これまでのDSMでは、うつ病とBPDの診断基準をともに満たす患者は、Ⅰ軸障害(パーソナリティ障害と精神遅滞を除くすべての精神疾患)として大うつ病,Ⅱ軸障害(パーソナリティ障害)としてBPDと診断されることになっていました。
 しかし実際は、Ⅱ軸障害について評価されることは少なかったのです。

 アメリカのある研究では、外来のBPD患者の97%が見逃されている可能性があります。
 こうした人たちはまず薬物が処方されるでしょう。
 そして十分な効果を示す可能性はほとんどありません。

 パーソナリティ障害があるうつ病患者は、そうでない患者に比べて、悪化するリスクが2倍で、自殺の既遂率が高く、寛解まで時間がかかります。
 それを回避する上で、DSM-5でⅠ軸・Ⅱ軸の区分けを取り払ったのは、極めて望ましい改変です。


*「治療者と家族のための 境界性パーソナリティ障害治療ガイド」
  黒田章史(岩崎学術出版社)より

文責・稲本
 

BPDは「パーソナリティの障害」なのか

 
 BPDという診断を付けることに臨床家が反対するのは、「境界」という言葉の曖昧さだけが原因とは限りません。
 「性格(パーソナリティ)の障害」は治療できないから、診断するメリットがないという部分も少なくないのです。

 しかし最近なされたアメリカの研究は、そうではないことを表しています。
 290人のBPD患者を、入院時点から10年間追跡調査した結果、寛解(少なくとも2年間、診断基準を満たさない状態が続く)した患者の割合は、2年目で3割以上であり、10年後には93%に達していました。

 ただし、それは必ずしも彼らの社会的予後がよいことを意味してはいません。
 良好な心理社会的機能を獲得したBPD患者の割合は、調査開始10年後でも21%にすぎず、他のパーソナリティ障害(48%)や大うつ病(61%)に比べてはるかに低かったのです。

 BPDは、寛解が持続しやすいこと,他方で社会的機能の不全が重篤なのが特徴です。

 BPDは、遺伝的要因が強いパーソナリティ特性(習慣的な行動,思考,感情のパターン)と、環境的背景による精神症状の組み合わせで、生じる病態だと見なされるようになっています。

 従って、BPDを「性格(パーソナリティ)の障害」と見なすのは無理があります。
 これまでDSM-Ⅳでは、パーソナリティ障害を通常の精神疾患とは異なるものとしてⅡ軸に囲い込み、"特別扱い"されてきましたが、2013年のDSM-5で多軸診断が放棄されたのも、そのような事情を反映しています。

 「性格だから治らない(治りにくい)」というのは大きな誤りなのです。


*「治療者と家族のための 境界性パーソナリティ障害治療ガイド」
  黒田章史(岩崎学術出版社)より

文責・稲本
 

 
○はじめに
 ここでは境界性パーソナリティ障害を、自傷行為,自殺企図,摂食障害,家庭内暴力,不登校,非行,薬物依存などと関連のある、行動化を示す病態と考えてください。
 BPDは患者だけでなく、家族にも大きな苦痛をもたらす深刻な障害です。

 BPDは専門家にとっても、充分な理解や認識がなされてはいません。
 しかし、著しい遺伝性を持つこと,予想外に症状が改善されやすいことが、最近明確になってきました。

 にも拘らずBPDは、依然として不当にマイナスのイメージがあり、専門家のほとんどはBPDと関わるのを避けようとします。

○「境界」という言葉について
 70年以上前の精神分析の全盛時代、「境界」という用語が導入されました。
 精神分析を行なう場合に「境界統合失調症」の状態に退行してしまう、特殊な神経症の患者を指していました。

 カーンバーグは、神経症的パーソナリティ構造と、精神病的パーソナリティ構造の双方に接している、中等度のパーソナリティ構造を、「境界パーソナリティ構造」と名付けました。
 これは、①自己同一性ができていないか脆弱,②原始的防衛(分裂,投影性同一視)の傾向がある,③ストレス下で現実検討能力が一時的に低下してしまうような、パーソナリティ障害構造を意味していました。

 しかし境界性パーソナリティ構造という概念は、次の2つの問題をはらんでいます。
①観察可能な行動より、心的メカニズムの理論に基づいて定義されたもの
②他のパーソナリティ障害の患者が含まれてしまう

 BPDの概念の転機となったのは、1975年にガンダーソンとシンガーの論文でした。
 不快な気分や感情,不安定な対人関係,衝動的行動といった、行動に基づいた尺度を用いて定義できることを示したものでした。
 ガンダーソンは、半構造化された面接で、信頼のおける診断を下せることも明らかにしました。

 その後も「境界」という言葉は、統合失調症,うつ病,双極性障害などと関連する可能性を持つ病態,精神病水準と神経症水準の間の病態を、意味するものとして用いられてきました。
 しかし、BPDが独立した精神障害であることが最近ますます明確になるにつれ、「境界」という用語が次第に意義を失いつつあります。

 「境界」という言葉から、この症候群の特徴である気分や対人関係の不安定さ,認知症状を連想することはできません。
 BPDが疑わしい診断だと見なされたりする理由のひとつは、「境界」という言葉の曖昧さにも由来していると思います。

 残念ながら今のところ、「境界」に代わる適切な名称は見当たりません。
 WHOの「ICD-10」では、「情緒不安定性パーソナリティ障害」として記載しています。
 しかしこれは、この複雑な障害の一面を表したものにすぎません。
 「境界」に代わるものとして提唱された名称の大半も、同様のものでした。

 この障害の多くが解明されるまで、さしあたりBPDという名称を使うのは、悪い選択ではないと思われます。


*「治療者と家族のための 境界性パーソナリティ障害治療ガイド」
  黒田章史(岩崎学術出版社)より

文責・稲本
 

 
 黒田章史先生の「治療者と家族のための 境界性パーソナリティ障害治療ガイド」(岩崎学術出版社)の内容を紹介していきます。

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〔帯より〕
 境界性パーソナリティ障害(BPD)の治療の基本は、患者の心理社会的機能を高めることを目的とした反復トレーニングを、家族の協力のもとに行なうことである。
 BPDが「治る」とは、DSMにある症状がなくなった後も続く患者の苦痛が、心理社会的機能の改善によって真に和らぐことだ。
 本書では、患者が「治る」までに必要な治療構造や技法を詳述し、治療の道筋を示す。

〔はじめに〕
 この本は専門家と家族が、境界性パーソナリティ障害を治療していく手引きとなることを目指している。
 本書を読むにあたって、精神医学や心理学,BPDに関する予備知識はほとんど必要ない。
 むしろ「BPD治療の常識」とされてきたものを全く知らない人のほうが、はるかに理解しやすいかもしれない。

 従来のBPDの見方や治療法に慣れ親しんでいるほど、著者の治療法を理解するのが難しい人もいるのではないかと思う。
 BPDの治療において、心理社会的能力を高めること『だけ』を追究する場合に、どのような治療構造や技法を用いる必要があるか、患者はどのような治療経過を辿っていくか、先行研究がないからである。

 本書がBPDの臨床に関わる専門家や家族にとって、「良質の受験参考書」となり、BPD治療という「難関」を突破する上での力にならんことを。


〔目次〕
【第Ⅰ部】境界性パーソナリティ障害をどのように理解するか
第1章 境界性パーソナリティ障害とはどのような病気か
第2章 境界性パーソナリティ障害患者のふるまいをどう理解するか

【第Ⅱ部】境界性パーソナリティ障害患者と関わる際の基本と治療の原則
第3章 境界性パーソナリティ障害患者との関わり方の基本
第4章 境界性パーソナリティ障害治療の基本原則

【第Ⅲ部】境界性パーソナリティ障害治療の実際
第5章 治療の始め方
第6章 治療の進め方
第7章 トレーニングの実践:境界性パーソナリティ障害はどこまで治るのか
第8章 受診しない患者に対する対応
第9章 自傷,自殺企図,暴力への対応
第10章 治療に役立つ5つのポイント


*「治療者と家族のための 境界性パーソナリティ障害治療ガイド」
  黒田章史(岩崎学術出版社)より

文責・稲本
 

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