BPD当事者が話しかけてきたときや相談してきたときには、出来るだけ凡人として語ることです。私たちの多くは個性などを持たない凡人ですが、ここでふれていることはそのことではありません。BPD当事者と適切に関わるためには、凡人「普通のものだけが登場する普通の世界の住人」として関わるべきなのです。
それでは、凡人として語る8つの方法について具体的に説明していきます。ここでのポイントは「小さな子供に言葉を教えるときに養育者の取る態度と基本的に同じであること」です。
凡人として関わる8つの方法
1.何かを描写したり、BPD当事者に指示や問いかけをするときは、「個性的で」「風変わり」な言い回しを避け、徹底的に素直に、正面から、真面目に、まっすぐに内容に対して適した言葉で語るように心がけること
2.皮肉や比喩的な表現を出来るだけ避け、どうしてもそれらを用いる必要があるときは、それらが皮肉や比喩であることを明らかにした言葉を付け加えること
3. BPD当事者の話し方が舌足らずであったり、不完全なときは、周囲の人々の側で寄り添って「理解してあげるのではなく」のではなく、BPD当事者の表現が周囲の人々に理解できるレベルに達するように「言葉で助け舟を出してあげる」こと。周囲の人々の助けを借り、そこまで達成できたのであれば正面から褒めること
4. BPD当事者の置かれた前後の状況やふるまいから判断して、「そのようなときに普通の人はどう感じるか」といこうとを婉曲な言い回しを用いつつも積極的に指摘すること
例:「こんなことがあったのだから、普通は悲しくなっちゃうものだけど~あなたはそうでもないかしら」「こういうときは、普通怒りたくなるものだけど、まああなたがどう感じるかわからないけど~」などの言い回しを多用すること
5. BPD当事者と会話するときは周囲の人々は呼び方や言い回しを、出来る限り言葉の意味のプロトタイプ*に沿ったものにするように心がけること*具体例は後日説明いたします
ポイント:「典型的でない」「個性的で」「風変わり」な呼び方や言い回しを出来る限り避けること
6. BPD当事者が「典型的でない」「個性的で」「風変わり」だと思える呼び方や言い回しをしたときに、周囲の人々は「面白い」と反応したり、「理解してあげる」よりも、それらが言葉のプロトタイプから脱線していることをやんわりと指摘するように心がけること
7.周囲の人々が自分自身のしていることについて、自分の置かれた文脈や状況から、自分が感じたり考えたりしてもおかしくない内容について、しばしばひとりごとを言うようにすること
例:「ああ、困っちゃったなあ」「あら間違えちゃった」「ああ、悲しくなっちゃった」など
8. BPD当事者がしていることについて、周囲の人々がその文脈や状況から、常識的に感じたり、考えたりしてもおかしくない内容を、やんわりと口に出していくこと
例:BPD当事者が怒鳴ったときに「おお怖い」「そんなに怒らなくても良いじゃない」など
参考文献:
「治療者と家族のための境界性パーソナリティ障害治療ガイド」 黒田章史著 岩崎学術出版社 2014年3月10日
これらの共通のポイントは周囲の人間が常識的な反応ができる方向に当事者を導く手助けをしていること、やわらかく伝えることが挙げられます。個人的な意見ですが、DBT(弁証法的行動療法)の対人関係スキルの一つであるDEAR MANにも通じる部分があるように思えます。
文責:吉本
それでは、凡人として語る8つの方法について具体的に説明していきます。ここでのポイントは「小さな子供に言葉を教えるときに養育者の取る態度と基本的に同じであること」です。
凡人として関わる8つの方法
1.何かを描写したり、BPD当事者に指示や問いかけをするときは、「個性的で」「風変わり」な言い回しを避け、徹底的に素直に、正面から、真面目に、まっすぐに内容に対して適した言葉で語るように心がけること
2.皮肉や比喩的な表現を出来るだけ避け、どうしてもそれらを用いる必要があるときは、それらが皮肉や比喩であることを明らかにした言葉を付け加えること
3. BPD当事者の話し方が舌足らずであったり、不完全なときは、周囲の人々の側で寄り添って「理解してあげるのではなく」のではなく、BPD当事者の表現が周囲の人々に理解できるレベルに達するように「言葉で助け舟を出してあげる」こと。周囲の人々の助けを借り、そこまで達成できたのであれば正面から褒めること
4. BPD当事者の置かれた前後の状況やふるまいから判断して、「そのようなときに普通の人はどう感じるか」といこうとを婉曲な言い回しを用いつつも積極的に指摘すること
例:「こんなことがあったのだから、普通は悲しくなっちゃうものだけど~あなたはそうでもないかしら」「こういうときは、普通怒りたくなるものだけど、まああなたがどう感じるかわからないけど~」などの言い回しを多用すること
5. BPD当事者と会話するときは周囲の人々は呼び方や言い回しを、出来る限り言葉の意味のプロトタイプ*に沿ったものにするように心がけること*具体例は後日説明いたします
ポイント:「典型的でない」「個性的で」「風変わり」な呼び方や言い回しを出来る限り避けること
6. BPD当事者が「典型的でない」「個性的で」「風変わり」だと思える呼び方や言い回しをしたときに、周囲の人々は「面白い」と反応したり、「理解してあげる」よりも、それらが言葉のプロトタイプから脱線していることをやんわりと指摘するように心がけること
7.周囲の人々が自分自身のしていることについて、自分の置かれた文脈や状況から、自分が感じたり考えたりしてもおかしくない内容について、しばしばひとりごとを言うようにすること
例:「ああ、困っちゃったなあ」「あら間違えちゃった」「ああ、悲しくなっちゃった」など
8. BPD当事者がしていることについて、周囲の人々がその文脈や状況から、常識的に感じたり、考えたりしてもおかしくない内容を、やんわりと口に出していくこと
例:BPD当事者が怒鳴ったときに「おお怖い」「そんなに怒らなくても良いじゃない」など
参考文献:
「治療者と家族のための境界性パーソナリティ障害治療ガイド」 黒田章史著 岩崎学術出版社 2014年3月10日
これらの共通のポイントは周囲の人間が常識的な反応ができる方向に当事者を導く手助けをしていること、やわらかく伝えることが挙げられます。個人的な意見ですが、DBT(弁証法的行動療法)の対人関係スキルの一つであるDEAR MANにも通じる部分があるように思えます。
文責:吉本