2019年3月アーカイブ

「虐待」と「しつけ」

最近、幼児虐待について多く報道されています。
本当に心が痛むニュースが連日報道されています。

しかし実のところ虐待されているのは幼児だけではなく、
成人した女性・男性も虐待をうけていますし、
子供から親が暴言・暴力を受けています。
パートナーは夫から虐待を受けているだけでなく、夫も妻から虐待を受けてい
います。

成人した女性・成人した男性・親は「大人」だから放っておいても
大丈夫と思われがちですが、実のところ全く大丈夫では「ない」のです。

確かに、虐待は大人よりはるかに幼児の方が大きなダメージを受けます。
しかし、大人も子供ほどではなくて繰り返される暴言や暴力によって
大きなダメージを受けるのです。

どちらの虐待も放置することはできません。

しかし、法律でしつけと虐待に境界ラインを設けられていないことから
どこまでがしつけでどこからが虐待になるのか?わからない方が
非常に多いのです。

「しつけ」のレベルなのに虐待と表現したり、
実際虐待レベルなのに「しつけ」と認識しています。

そもそも、虐待している人は自分が「虐待」しているという
認識がないので虐待は治りません。

また、しつけと思っているので「正しいことをしている」と
思い込んでいることから虐待という認識がありません。

逆tに、自尊感情が欠落しているために虐待してしまう人もいます。

bpd当事者さんによれば自分は子供の頃に
親に虐待されたから自分が自分の子供を虐待してしまうのは
仕方がなく、そうさせた親の責任だと述べて自分の子どもを
虐待することを正当化します。

さらに自分が子供の頃に親から虐待されていたからか、
現在、立場が逆転して私から親が暴言と暴力を受けても
耐えるべきであり、それが当たり前だと認識しています。
(中には罪悪感がありながらも親に虐待することを止められない人もいます)

さらに、

親は実際に虐待しているのに、虐待していることを認識できない、
もしくは、認識することを拒絶する人・罪悪感から拒絶する人がいます。


また、
実際は虐待していないのに子育てに自信を無くしてしまった親が
子供から虐待していると言われてそのまま受身となり、暴言、暴力に
ひたすらに耐え続けている人もいます。

どちらの反応も至極バランスを欠いている反応です。
そこで、今日は「虐待」と「しつけ」についてお伝えします。

●虐待の種類
1、身体的虐待(身体を叩いたり、蹴ったりする・投げ落とす・熱湯をかける
        溺れさせる・逆さ吊りにする・異物を飲ませる・冬戸外に
        しめ出す・一室に束縛する・タバコの火やアイロンを
        押し付ける行為。その他)
2、心理的虐待(大声や脅しなどで恐怖に陥れる。無視や拒否的な態度を
        とる。著しくきょうだい間差別をする。自尊心を傷つける
        言葉を繰り返し使って傷つける。親がその気が無くても  
        本人の自尊心を傷つける行為も含まれる。暴力を目撃する・
        夫婦喧嘩も含む。その他)
3、性的虐待(子供への性交・性的な行為の教養・子供に性器や性行を見せる。
       子供の面前で親同士の性行をする。子供の前でボルノ本を
       頻繁に見たり強要する。
       胸やお尻が大きいななど特に思春期の子供に発言する。その他)
4、ネグレクト(安全に守ることができない状態。親の怠慢。育児放棄・
        育児拒否。食事を与えない。育児知識が不足していて
        ミルクの量が不適切だったりすることもネグレクトに
        入ります。(それだけ親の責任は重いということですね)
        車の中に放置する。身体や服を不潔なままにしたりする。
        子育てを他人任せにする。学校に行かせない。子供を夜
        家に残して保護者が夜出かける。など)

「しつけ」と「虐待」の違い
1、しつけとは
感情に噛ませて子供・パートナー・親をコントロールすることではなく、
自分で自分の感情や行動をコントロールできるように落ち着かせることです。

2、虐待とは
大人がもしくは力がある者が、自分の感情まかせで子どもを力づくて
コントロールしようとすることです。

幼児虐待という言葉には、残虐な扱いとイメージさせますが、
英語では、「child abuse」チャイルドアビューズと言います。
「アビューズ」は「誤用・濫用」という意味なので、大人が子供に
対して力を濫用するというイメージになります。
ですから、「私は子供に残虐なことをしたことがあるかしら?」
ではなく、「私は子供に対してどのように力を濫用・誤用したか?」
もしくは、「子供が親のどの部分を力の濫用・誤用」していると言っているのか?考えてみるといろいろ見えてくるかもしれません。

上記の点は親が子供に対する力の誤用について伝えていますが、
子供が親に向けての力の誤用・パートナー(妻・夫)に向けての力の誤用も
含まれます。


●モラル
自分が子供の頃にされてきたことだし、自分は何も影響されなかったから
子どもが単に敏感すぎるのだというような反応はいますぐ捨ててください。
あたなと子供・あなたとパートナー・あなたと親はそれぞれの時代に生まれ
別個の存在として産まれた人間なのです。
時代・文化・性別・を考慮して対応することが大事なのです。

親が育った時代と教育方針・子供の育った時代と教育方針は
違うのです。決して親はあなたを虐待したくてあなたを虐待している
のではなく、親もそのように教えられてきており、
言われた通りにしてきたことで環境や社会に受け入れられてきたために、
それが正しいと思い自分の子供にも同じことを養育してしまっているのです。

あなたと同じ、親もそのまた親も同じように教えられてきているのです。
時代と社会的な要因が変動しモラルが崩壊している世の中になってしまったので
ある意味では皆犠牲者なのかもしれません。
あなたも助けが必要なように、親もパートナーも助けが必要なのだと思います。

*しかし、命に起因する虐待は今すぐ救出が必要です。
 自分の命が危ういと感じている人は、あなたの力になってくれる
 医師・カウンセラー・保健センター・役所・警察・家族会や支援団体が
 あなたの力になってくれます!勇気を出して今すぐSOS!

次回は、虐待による脳の影響についてお伝えします

bpd家族会代表 奥野栄子








        



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