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体験を聴く・症候を読む・病態を解く

精神症候学の方法についての覚書

体験を聴く・症候を読む・病態を解く
心的体験から精神症候を読み取り、さらに精神症候から病態心理を読み解くという精神症候学の方法を論じ、ひいては個々の患者の病態構造の把握のための、そして各々の疾患の病態生理の追究のための方法としての精神症候学を呈示する画期的書。各章を通じて、統合失調症の精神症候を個々に取り上げ、その病態心理の究明のために著者が編み出した独自の方法を述べる。
増補改訂 分裂病症候学』(2001)ならびに『精神科臨床を始める人のために』(2007)の姉妹書であり、いまもって精神病理学的探求心の衰えを知らない著者の、ライフワークの総決算ともいえる書。
中安信夫 著
本体価格 2,600 円 + 税 四六判 上製 208頁
ISBN978-4-7911-0656-1〔2008〕

Contents
序論 心的体験,精神症候,病態心理
I. 心的体験
 1. Jaspers, K.における心的体験の定義の欠如
 2. 分離脳研究から見た心的体験の定義
 3. 自我意識もまた対象意識である
 4. 意識上・自覚的認知をもたらすものとしての対象化
II. 精神症候
 1. 症状と徴候の一般的定義と精神医学におけるその適用困難性
 2. 概念の明細化と術語の付与に関する2つの方法と精神症状/精神徴候の区別
 3. 精神症候の素材としての心的体験への付帯条項
III. 病態心理
 1. 病態心理の定義
 2. 精神疾患概念における病態心理の位置づけ
第1章 症候の進展と後退─症候は形を変える─
〈要説〉背景思考の聴覚化─幻声とその周辺症状をめぐって(1985)
I. 体験を聴く
II. 症候を読む
III. 病態を解く
 1.〈背景思考の聴覚化〉仮説の着想
 2.〈背景思考の聴覚化〉仮説の証明
【補遺1】「超越的他者」の一つの解釈
【補遺2】自生内言から導かれるべきは〈背景思考の発語化〉であった!
第2章 認識のフォーカシングと体験の様相─症候は違って見える─
〈要説〉分裂病最初期にみられる「まなざし意識性」について(1988)
I.体験を聴く
II.症候を読む
 1. 実体的意識性の併存への注目
 2. 「見られる」─「見る」の一極統合としての「まなざし」
III. 病態を解く
 1. 「まなざされる→自己保存の危機」という生得的認識の存在
 2. 「自己保存の危機→まなざされる」という反転した認識の存在
 3. 「自己保存の危機」という主体の認知が状況意味失認によってもたらされる
【補遺3】入(出)眠時幻覚,およびictal fearに随伴する実体的意識性
【補遺4】緊迫困惑気分/対他緊張とその関連症状の形成機序
第3章 ダブルメッセージ性への着目─症候は人を欺く─
〈要説〉「自我意識の異常」は自我の障害か─ダブルメッセージ性に着目して(1987)
I. 体験を聴く
II. 症候を読む
 1. 自分の眼は自我のアナローグである
 2. 統合失調症においては患者が自我意識異常を語りうる
III. 病態を解く
 1. 自我意識異常の成立機転としての〈非自我の意識化〉論の妥当性
 2. 魔女としての「統合失調症=自我障害」論からの解放
第4章 対象化の障害という視点─症候は時には穿って診るものである─
〈要説〉離人症の症候学的位置づけについての一試論─二重身,異常体感,実体的意識性との関連性(1989) 
I. 体験を聴く
II. 症候を読む
 1.「離人症=自我障害」論の否定
 2. 離人症体験の3つの特異性
III. 病態を解く
 1.「対象化の障害」という視点
 2. 一対のものとしての‘対象化性質の脱落態’と‘対象化性質の幻性態’
【補遺5】離人症と広義の実体的意識性の臨床的併存はファントム短縮論(安永浩)によって説明できる
第5章 自己保存本能の果たす役割─症候は「自己保存の危機」によっても形作られる─
〈要説〉緊張病症候群の成因論的定義─偽因性原始反応として(1991)
I. 行動を観る
II. 症候を読む
III. 病態を解く
 1. 原始反応と緊張病症候群の類似性─相似態か,それとも相同態か?
 2.「自己保存の危機」という認識の存在
 3.「偽因性」の拠ってきたるところ
【補遺6】ヒステリーとは精神危急反応である
第6章 逆ジャクソニズムという考え方─症候は騙されて作られる─
〈要説〉背景知覚の偽統合化─妄想知覚の形成をめぐって(1986)
I. 体験を聴く
II. 症候を読む
 1. Huber, G.とGross, G.の妄想知覚論ならびにJaspers, K.の意味妄想への着目
 2. 〈背景知覚による注意転導性の亢進〉から〈背景知覚に対する被害的自己関係づけ〉への症状発展
III. 病態を解く
 1. 了解不能な注意転導とそれに続く了解可能な「妄想反応」
 2. 状況意味失認と偽統合反応
終論 方法としての精神症候学
I. 擬態に欺かれたものとしての要素心理学的症候分類
II. 方法としての精神症候学

反面教師としてのDSM

中安信夫 著

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