病的なものは、あくまでも病態心理としての「状況意味失認」であり、それが統合失調症における唯一の障害である。
30年前に著者が研究の場を生物学的精神医学から精神病理学に転じたのは、統合失調症の病態生理追究のための仮説を求めてのことであった。
統合失調症は、脳という臓器の障害に基づく身体疾患であるから、他の身体疾患と同様に病態生理が考えられなければならない。しかし精神機能、心の異常を呈するわけであるから、病態生理が即、精神症状を形成するものではない。その病態生理に応じて病態心理が形成され、その病態心理が精神症状として顕現すると考えられる。こうして著者は、統合失調症の病態心理を30年にわたり追究し、「状況意味失認」という病態心理に到達した。
本書は、「統合失調症の病理発生と症状形成に関する臨床的ないし精神病理学的自説」の全貌を分かりやすく解説する。
メールマガジン登録・解除 E-mailアドレスを入力しご希望の項目ボタンを押してください。-->メールマガジンサンプル