2012年2月アーカイブ

 
 「もし最初からやり直せるとしたら、どのような点を変えていきますか?」という質問には、次のような回答が寄せられました。

・もっと自分の共依存傾向を自覚します。
 流されるまま危険に陥ることがないよう、自分自身に歯止めをかけます。

・自尊心や自信,自己決定権を失う前に、専門家の助けを求めます。
 問題の発端が分かると、自分の感情に明確に対応でき、感情的脅しから逃れることができました。

・彼がどんなに怒り狂っても、知らぬ存ぜぬの私に、彼は「教師」「牧師」「精神科医」など勝手な呼び名を付けました。
 そして私を無理やり「妻らしく」させようとしました。
 どんなレッテルを貼っても、そんなものは認めません。

・彼がいくら不安定でも、友人との付き合いを断念することはしません。
 私には支えが必要なんです。

・自分の心の声や親友のアドバイスに、もっと注意を払います。
 彼から何度も電話やメール,ファックスが送られてきて、何かすごく変だなって気はしてたんです。
 神経質になっているだけだろうって自分に言い聞かせてしまいました。
 ちょっと様子が変だなと思ったら、その直感にもっと耳を傾けたいと思います。

・セラピストに、私たち双方の包括的な人格評価をしてもらうように頼みます。
 パートナーに少しでも渋る様子があったら、二人の関係の深いところにある問題が見えると思うんです。

・もうボーダーラインの女性とは結婚しないでしょうね。
 彼女は申し分ないほど素敵なときもあるんですよ。
 でも彼女の問題は、僕ひとりの力で何とかできるものではありませんでした。
 しかも僕の話に耳を傾けてくれる人を見つけるのが難しかったんです。

・彼が不安定なときは、あれこれ言うこと自体やめようと思います。
 自己弁護も話し合いも議論も一切やめます。

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

 
(前の記事からの続き)

・自分自身やお子さんへの気配りを優先させるべきです。
 適切な法的境界を設定しておかないと、犠牲になる恐れがあります。
 それは彼らに、自分の行動に責任を持つことを教えることにもなります。

・同じことが何度も繰り返されます。
 それらを書き記して、そのパターンをよく考えると、何が起こっているのかが分かります。
 そうでないと、「木を見て森を見ず」になってしまいます。

・ボーダーの人はたいてい、最も身近な人に向かって行動化します。
 彼らの同僚や近所の人は、彼らほど素晴らしい人はいないと信じているかもしれません。
 皆さんは孤立してしまう恐れもあります。
 訴訟を起こさざるを得なくなった場合、不利に働くことになります。

・境界性パーソナリティ障害に関する情報は、本やネットなどこの数年で増えてきました。
 ボーダーの人と対等に向き合えるようになってきたのです。

・このような事態を引き起こしたのは皆さんではありません。
 皆さんがコントロールできることではないのです。

 原因(Cause),解決(Cure),コントロール(Control)。
 この3つのCは、大きな手がかりとなります。
 責任の所在を明確にしてくれます。
 彼らのことは彼らの責任です。
 もう感情的なゆすりや、自殺の脅しにも動じないようにしましょう。
 一方が自立していれば、共依存など起こりません。

・治療が完了するまでは、子供を持つのは避けたほうがいいのではないでしょうか。

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

 
 今回から「パート2--外へ向かう段階」の話になります。


 だんだん冷静に考えられるようになりつつある段階です。
 自分の身を守り、自己評価の回復に乗り出し始めます。

 ボーダーのパートナーの先輩である「ようこそオズへ」のメンバーたちからの、アドバイスを紹介します。
 ノン・ボーダーラインの人がまず承知しておくべきことについて、メンバーたちから次のような提言が寄せられました。

・事態を好転させようという気持ちがあるのなら、離婚や別居を口にするのは禁物です。
 相手を見捨てるようなことを言って、自分の思い通りにしようとしてはいけません。
 ボーダーの人の心の底に潜む恐怖を煽り、問題や境界を設定するのがますます覚束なくなるでしょう。

・パートナーを愛するのと同じくらい、自分自身を愛する必要があります。

・皆さんがどのような人間であるのか、パートナーにとやかく言われる筋合いはありません。

・このような相手に恋をしてしまったからといって、皆さんに欠陥があるのではありません。
 彼らはあなたが喜びそうな自己像を作り上げていたのです。
 結婚した途端、ボーダーラインの自己像が取って代わってしまったのです。

・ボーダーの人と一緒にいると、自分には選択肢がないかのような気持ちにさせられます。
 彼らはそう思い込ませるのが実にうまいんです。
 私たちはいいように引きずり回され、そのように行動してしまうんです。
 でも私たちには選択肢があるんです。

(次の記事に続く)

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

保護命令(2)

(前の記事からの続き)

 虐待者のもうひとつの特徴は、「分離トラウマ」です。
 皆さんなしには生きていけないと信じ込み、絶望や怒りの引き金となります。

 また、アルコールや薬物は反応を鈍くさせるので禁物です。
 一時的に引きこもり状態に陥り、パートナーにとらわれる危険があります。
 いつまでも傷つきやすいまま、自分自身やお子さんに充分な配慮ができなくなってしまうでしょう。

 自分の弱さを少しでも克服するために一歩を踏み出してください。
 周囲の状況を常に自覚するようにしてください。
 パートナーと暮らしていたときの習慣を変えると、好ましい変化が生まれるかもしれません。

 暴行に対する用心はし過ぎるくらいの方が良いですが、過剰な警戒は一種のストレスになります。
 自分自身をいたわることが何よりも重要です。
 自分のために何かをする時間を確保してください。

 どんな過ちをしてしまったとしても、自分を許してあげてください。
 皆さんは前へと進んでいます。
 もはや犠牲者ではありません。

 お子さんがいる方は、自分の前向きな姿勢に気付く必要があります。
 そうすればお子さんも、自分のそういう面を見つけるでしょう。
 親が強くなれば子供も強くなります。
 親が未来を信じれば、子供に希望を与えるのです。

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

平成24年1月現在の家族会財務収支

東京家族会

   収入  13,000円 ・ 1月8日(1,000円×13名)    (①)

                 

   支出  22,122円                     (②)

          内訳 1月8日会場費   4,840円

              1月8日資料費   1,640円

              12月23日資料費 1,380円

              3月24日会場費 14,000円

              振込手数料     262円

 

   収支   ‐9,122円 ・ A (①-②)

 

 

☆ A -9,122円 + 455,450円(12月末残) = 446,328円

上記 ご報告いたします。

財務報告は奥野代表の会計監査済みです。

 

            BPD家族会事務局

保護命令(1)

 保護命令が発令されると、虐待者には自宅から出るように命じ、子供たちから引き離します。
〔*注:本書の記述はアメリカにおける状況です。
 日本の保護命令は、DV防止法に基づきます。

 配偶者や恋人からの暴力によって、生命・身体に重大な危険性がある場合、被害者は裁判所に保護命令を申し立てることができます。
 加害者が被害者に近づくことを禁ずる接近禁止命令と、同居している場所から加害者が出ていく退去命令があります。
 これに背くと、加害者には罰則が与えられます。〕

 保護命令があっても、相手を思い止まらせることができないかもしれません。
 皆さん自身が自分の責任で身を守らなければなりません。
 支えてくれる人たちと親密なコミュニケーション取ることが必要です。

 パートナーが皆さんやお子さんを殺すと言ったり、自殺すると脅すときは、深刻に受け止めなければなりません。
 彼ら自身無意識にその計画を進めていることもあり得ます。

 パートナーが武器を持っていたり、以前に使用した経歴がある場合は、致命的な暴行へ発展する危険性が高まります。
 また、パートナーがうつ状態で、人生に希望を見いだせなくなったとしたら、危機的な状況です。
 自分の行動がどんな結果を招くか顧みず、自分を危険にさらすことがあります。
 暴行のサイクルを断ち切らない限り、それは続いていくでしょう。

(次の記事に続く)

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

警察の関与

 
 警察への連絡はそれ自体、虐待の証拠になりますし、虐待者の行動を深刻に捉えている証拠にもなります。

 警察に連絡する際には、まず安全な場所を見つけ、慎重に言葉を選び、明瞭に話します。
 声を上げたり叫んだりすると、かえって応答を鈍くします。
 名前,住所,通用口の場所なども伝えます。
 何が起こったのか、はっきりと述べましょう。

 パートナーが武器を使用した場合、できるだけ詳しく武器の説明します。
 可能なら対応した警察官の名前を聞き、電話をかけた日時に添えてメモしておきましょう。

 警察が到着すると、提出した証拠書類などについて尋問を受けることになります。
 できれば、状況を知っている友人に同席を依頼してください。

 ボーダーの人は、皆さんのせいにして偽りの申し立てをすることがあります。
 特に虐待者が女性の場合、警察は彼女らの言い分を信じるかもしれません。
 証拠を作り出すこともあります。
 そのときのために先程の証拠書類が重要です。

 冷静さを失ってはいけません。(深呼吸しましょう。)
 何より大切なのは、パートナーの思惑に乗らないことです。
 自制心を失うのは彼らの思う壺です。

 病院で治療を受けた場合は、それを文書で証明してもらいましょう。
 拘束命令や保護命令を要請することもあるかもしれません。
 訴訟も視野に入れ、地域の手続きを詳しく知っておきましょう。
 行政機関には様々な援助があります。

 警察に連絡すると、その後6ヶ月以内に再び暴行される危険性が50%以上さがることが分かっています。
 暴れ回っていた人も、適切な介入によって、自分の過剰な支配欲に気付くようになります。

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

安全対策(3)

 
(前の記事からの続き)

・救急箱や、重要な書類,カード,保険証,その他を入れた、「非常用持ち出し袋」を用意しましょう。
 着替えや子供のおもちゃを入れておくといいかもしれません。
 それを信頼できる人の家や職場などに置かせてもらってください。

・虐待について一部始終を記録しておくのは、極めて重要です。
 目撃者がいれば、その人の名前なども書き留めます。
 パートナーの障害を証明できる、治療請求書や入院記録なども控えておきましょう。

 ここまでやるのは抵抗があるかもしれません。
 皆さんがパートナーを愛しているのは分かります。
 でも、皆さんの大切な人とこの障害を区別して考えましょう。

 パートナーの行動を文書で証明するには、法的な助言を得るべきでしょう。
 弁護士,警察,保護施設に連絡してください。

 物的証拠や目撃者がない場合、水かけ論になりがちです。
 写真やビデオ,録音など、物理的な証拠を残すことを考えましょう。
 ボーダーの人の行動を見ていない人たちに、事態の深刻さや危険さを信じてもらう助けになります。

・喧嘩が始まりそうになったら、誰か大人の人を自宅に呼んでください。
 パートナーの行動化を防げるかもしれませんし、目撃者になってもらえるかもしれません。

・お子さんがいる人は、一刻も早く弁護士に相談するべきです。
 皆さんだけが家を出る事態や、パートナーに逆らってお子さんを連れ出すことにならないようにしなければなりません。
 法的に有利にはならないからです。

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

安全対策(2)

 
(前の記事からの続き)

○第2のステップは、虐待的な家族で固守されている鉄則を破ることです。
 外部に助けを求めるべきでしょう。
 自分の力だけで何とかしようとしても、もはや無理なのです。

 周囲の人、専門家、信頼できる人、誰でも構いません。
 虐待について胸を張って語ってください。

○皆さんとお子さんを守るための有効な計画を立てておきましょう。
・自宅の様々な所からの逃げ道を確認してください。

・手頃で見つかりにくい場所に、車と自宅のスペアキーを確保しておきましょう。
 ある男性は、スペアキーを近所の家に隠し、その家の人は逆に彼の家に自分の鍵を隠しました。
 こうすれば鍵と家を一致させることはできません。

・警察に連絡するための暗号を決めておくとよいでしょう。
 そしてお子さんや周りの人に教えておいてください。

・安全な逃げ場,交通機関を頭に入れておいてください。
 2通り考えておくといいでしょう。
 友人やタクシー会社の電話番号も控えておいてください。

・廊下など狭い場所で言い争いを始めるのは避けてください。
 包丁など危険な道具がある場所も避けましょう。

・皆さんの個人口座を準備したほうがよいでしょう。
 銀行からの連絡は信頼できる人宛にしてください。
 家を出るための資金を貯めておくのは、非常に大切なことです。

・秘密の場所に現金を用意しておくのも必要です。
 信頼できる人の家などがいいでしょう。

(次の記事に続く)

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

安全対策(1)

 
 皆さんが自分の安全を守るための対策を考えていきます。
 事前に方針を決めておくことで、皆さんとお子さんの危険性を小さくすることができます。
 暴力行為が起きてしまっても、この先の危害を防ぐこともできます。

○何よりも重要なのは、虐待や暴力行為について自分を責めるのをやめることです。
 「もし自分が~~していれば」「~~すべきだったのに」という言葉は忘れましょう。
 皆さんが何をしようと、パートナーは理由を見つけては皆さんを責めるに違いありません。

 罪悪感だけでなく、犠牲者の多くは屈辱感を感じます。
 罪悪感は過ちを犯してしまったという感情で、屈辱感は自分の存在を過ちと捉える感情と言えるでしょう。

 虐待を受けることで、中毒にも似た屈辱的感情が起こるといいます。
 するとますます身動きが取れなくなり、自由な選択や、自分を守ることができなくなります。
 屈辱感により思考は停止し、「普通」の関係とは何か全く分からなくなり、何がまともなのかも判断できなくなってしまうのです。

 暴力を目撃した子供は、屈辱的な思いに駆られます。
 子供にとって、自分の親が暴行されるのを見ることは、自分が暴行されるのと等しいのです。

 このように、虐待によって認知が歪み、思考力が鈍り、緊急事態に直面していながら、迅速な対応が取れなくなってしまいます。
 そんなサイクルが永遠に続き、皆さんが積極的な態度に出ない限り、事態は悪化の一途を辿るのです。

(次の記事日続く)

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

男性に対する虐待(3)

 
(前の記事からの続き)

 男性の被害者はどうしたらいいか、いくつか提案してみます。

・現実から目をそらしたり無視してはいけません。
 暴力を軽く考えず、信頼できる人にぜひ相談してください。
 皆さん自身が話さなかったら、誰も助けようがありません。

 家庭内暴力は男女どちらか一方から始まるのではなく、双方から始まります。
 むしろ女性が最初に手を出す割合のほうが、著しく高いと言っていいでしょう。
 それを認めないと、相手を叩いてもいいというメッセージを子供に伝えてしまいます。
 やがて子供たちはその教えを、自分自身の夫婦関係へ移行させていきます。

・ネットでは、虐待される男性向けの情報が多々紹介されています。
 「虐待された男性(または女性)」と入力すれば、豊富な情報が手に入るでしょう。
〔注:これはアメリカでの話ですが、日本のサイトでもいくつか出てきます。〕

・暴力を深刻に受け止めてください。
 男性は女性が攻撃してきても真面目に受け止めませんが、エスカレートする可能性があります。
 女性に叩かれたら、最初のときに、再びこういうことをしたら二度と会わないと釘を刺すべきです。

・殴られたからといって、殴り返すのは禁物です。
 お子さんを連れて安全な場所に非難してください。
 女性を力で抑えつけようとしたら、皆さんの方が「虐待者」呼ばわりされるだけです。
 皆さんには「清廉潔白な経歴」が必要です。

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

男性に対する虐待(2)

 
(前の記事からの続き)

 助けを求める屈辱感から、男性は家庭内暴力にどう反応するか、以下に例を示します。

「自力で何とかできる」男気の装い:
 親しい人からの攻撃は、身体だけでなく心までも傷つけます。
 うつ状態や物質乱用を招き、自信を失い、自殺に至る可能性もあります。

「男は無言」:
 家庭内暴力を周りの人や専門家に口外しないというのは、男女に共通しています。
 しかも男性は女性よりも、強い疑いやあざけりの目で見られるため、ますます口を閉ざしてしまうのです。

現実逃避:
 男性は悲惨な家庭生活に目を背け、そこから逃れようと会社で残業をしたり、自宅でも書斎やガレージなどにこもったり、車中や友人宅で寝泊まりすることもあります。
 

 なぜ男性は女性のもとに留まるのでしょう? 
 法的に男性のほうが、わが子との連絡が絶たれることを恐れています。
 また、自分がパートナーを助けられると思い込んでいることもあります。

 加えて、離れることで感情的に不安定になりたくないという思いがあります。
 関係を失う恐怖と、その後の未知の恐怖から、不健全なパターンを繰り返すのでしょう。

失敗に対する恐怖:
 男たるもの妻子を養えなければ本物の男ではない、と従来言われてきました。
 「できて当然」のことができないという気持ちに駆られるのかもしれません。

子供に対する懸念:
 男性は自分が盾になることで、わが子を虐待から守るという思いがあります。
 わが子が支配的な妻の掌中にあっては、会うこともままならないと思っています。

男性のための拠り所が少ない:
 女性のためには緊急電話相談や保護施設がありますが、男性を対象にしたものはほとんどありません。
 それどころか施設を運営する人々が、「男性被害者」は存在しない,いたとしても問題にするまでもない、と考えていることもあります。

(次の記事に続く)

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

男性に対する虐待(1)

 
 男性に対する暴力は、当初考えられていたよりはるかに多いことが分かっています。
 家庭内暴力には、女性からの、もしくは男女双方からの攻撃が含まれているのです。
 アメリカのある州では、家庭内暴力検挙者の35%が女性というデータもあります。

 女性の場合は、物を投げる,叩く,蹴る,押しのけるといった傾向があります。
 金切り声で叫ぶ,相手を眠らせない,睡眠中に襲いかかる,男性の急所を攻撃する,噛みつく,武器を使用する傾向も女性のほうが高いものでした。
 付け狙うというストーカー行為は、男性と同じくらい女性にも見られます。

 男性は、銃で脅す,首を絞める,散々に叩きのめす,髪の毛を引っ張る,押しのける,わしづかみにする,突き飛ばすといった行動が多く見られます。
 男性による虐待的行動のほうが命に関わる危険性が高いかもしれません。

 では何故、暴力を振るうのは男性だけだという社会通念が根強いのでしょう? 
 下記のような理由から、男性は虐待を報告したがりません。

・男性は自分を犠牲者と考えていません。
 男として自分が彼女を守ってやらなくてはならないと思い込んでいます。

・誰に相談したらいいか分からないこともあります。
 決まりが悪い,相談しても信じてもらえない,自分のほうが逮捕されると恐れています。

・緊急電話相談や避難場所がありません。
 逃げたら子供を置いていかざるを得ないという思いもあります。

・虐待を受けるのを「女々しい」と捉えています。
 自分の力で対処しなくてはならないと考えてしまいます。

(次の記事に続く)

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

度を越した「愛情」(2)

 
(前の記事からの続き)

 さらにフォワード博士は、次のように述べています。

・警告サインに注意してください。
 不適切な嫉妬を抱いたり、皆さんのプライバシーを侵害しようとすることもあります。
 「信じられないほどの良い」感情も警告サインです。

・パートナーがどのような行動を取ろうと、皆さんには責任のないことです。

・法的援助を求めましょう。
 避難所(シェルター)を探し、警察,友人,家族などに助けを求めてください。
 家を出たり、電話の発信者通知も外しましょう。

 思いつく限りの対策を講じることが必要です。
 パートナーの暴力が最も危険を極めるのは、皆さんが彼らのもとを離れたときです。

・どのような連絡にも一切応じてはいけません。
 連絡を取ろうとすることは、パートナーに対して関心を示すことになってしまいます。

 構わないでほしいと言いたい気持ちになるかもしれません。
 でもここで連絡を取ってしまったら、ずるずると相手との接触を続けることになるだけです。

 相反する感情を抱くノン・ボーダーラインの人にとって、パートナーとの連絡を控え、様子を窺うのは、実際には非常に難しいことです。
 まだパートナーとの関係を断ち切る準備ができていないのかもしれません。
 ボーダーの人はそれを悟り、ますます自分の意見を押しつけてくるでしょう。

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

度を越した「愛情」(1)

 
 相手から圧倒せんばかりの関心を寄せられてしまう、それが度を越した「愛情」です。
 げんこつではなくチョコレートが攻撃手段だとしても、受ける側の不安に変わりはありません。

 ノン・ボーダーラインの人が離れていったとき、ボーダーの人はパートナーを取り戻そうとして、尋常でない行動を取ることになります。
 どれほど相手を苦しめることになろうと、目的を果たすためならどんなことでもしてしまいます。

 ボーダーの人の頭の中では、自分の行動は全てパートナーがそうするように「仕向け た」のです。
 パートナーが帰って来ようとしないから、このような行動に出るしかなかったと考えています。

 スーザン・フォワード博士は、暴力が起こりやすい状況として以下のものを挙げています。

・攻撃される側が警戒を緩めたとき。
 暴力に晒されながらも、かつて愛した人がこのようなことをすると信じられないときです。
 なかには、露骨な脅しにさえ敢えて目をつぶる人もいます。

・パートナーが物や動物,人に向かって、かつて暴力を振るったことがある。
・パートナーが薬物やアルコールの問題を抱えている。
 感情が高ぶったり、判断が鈍くなります。
・あらゆる脅しを仕掛けてくるパートナーの場合。
 ただし、その脅しは真剣に受け止める必要があります。

(次の記事に続く)

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

虐待のサイクル

 
 家庭内暴力に対策を講じないでいると、一定のパターンで虐待はエスカレートしていきます。

第1段階:どんどんエスカレートしていきます。
 ボーダーの人が犠牲者を支配しようとし、緊張が高まっていく時期です。

第2段階:ボーダーの人が破壊者と化します。
 ますます威力と支配を強めていく時期です。

第3段階:破壊的行動が弱まり、比較的落ち着きを取り戻す時期です。
 ボーダーの人が許しを請い、深い自責の念を示すこともあります。
 ノン・ボーダーラインの人は必ずと言っていいほど、幻の希望を抱き、よりを戻そうとするのです。
 しかし正しい治療を受けていない限り、またすぐ元のサイクルに戻ってしまいます。

 ボーダーの人のなかには虐待の自覚さえない人もおり、暴力的な態度を取った直後に、愛情を表現しようとします。

第4段階:虐待的な日常に戻っていく時期です。
 孤独と混乱が深まるにつれ、ふたりの関係を支えていた愛情や信頼が、音を立てて崩れていくのです。
 

 虐待に脅えながら過ごしているなら、皆さん自身の人生を取り戻すときです。
 すぐ別れるのではなくても、境界を設定する必要があります。
 パートナーが境界を顧みなければ、助けを借りてでも、虐待状況から身を潜めましょう。

 犠牲者のなかには、何の助けも得ていない人が多いのです。
 虐待の被害者である認識がないからです。
 彼らは"良い時"だけを思い出し、そういう時がパートナーの"本当の"姿だと思い込もうとしています。

 しかし暴力を軽く考えると、暴行に拍車をかけることになります。
 ボーダーの人も皆さんも助けを得ないまま、虐待のサイクルが続いてしまうのです。

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

虐待のタイプの確認

 
 皆さんのパートナーの虐待的行動には、少なくとも次のふたつのレベルが考えられます。
 自分の感情的なニーズを満たそうとして、無意識にそのような行動に出ていると思われます。
 皆さんに責任はありません。

非身体的レベル: 怒鳴る,金切り声をあげる,悪態をつく,人を脅す言葉を口にする。
 パートナーとの関係に緊張が高まり始める時期です。
 信頼や親密さは見る影もなくなるか、激減するでしょう。

 感情的虐待は身体的虐待に劣ることなく、二人の関係と皆さんの自尊心にとって危険なものです。

身体的レベル: 押しのける,突き飛ばす,平手打ちなど、相手に対する実質的攻撃。
 恐怖が増し、信頼と親密さを見いだすことはほとんど不可能と言えるでしょう。

 いずれのタイプでも、虐待を受ければ、混乱に陥ることは避けられません。
 かつて自分が恋に落ちた人の面影と、今や虐待者と化したパートナーの姿を重ね合わせようとして、試行錯誤を繰り返すことになります。

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

家庭内暴力と感情的虐待

 
 言葉による暴力も含め、家庭内暴力と感情的虐待も無視できない問題です。
 いくつかの特徴を挙げます。

・皆さんのパートナーは、皆さんが誰と会い、誰と話をしてもいいかを指示しようとしますか? 
 家庭外での活動や関係を制限,阻止しようとしますか? 
・皆さんのことを嘘つき呼ばわりしたり、人前でこき下ろしたりして、感情的ゆすりをすることがありますか? 

・それぞれの役割について、断定的にルールを決めていませんか? 
・性的持論を並べて、皆さんのセックスの仕方などを批判したりしませんか? 
・物を投げつけたり壊したり、刃物で脅したりしませんか? 

・自分自身やペット、誰かに危害を加えると言って脅しませんか? 
 または実際に脅しを実行することはありませんか? 
・皆さんを押しのけたり突き飛ばしたりしませんか? 
 お前なんか死んでしまえ,刑務所には入れ,そうすれば俺は幸せになれる、などと口にしませんか? 

・資産管理一切を牛耳ろうとしませんか? 
・本来なら皆さんがしそうもない行動を強要しませんか? 
・皆さんが約束を破ったと言って、寝ているのに無理やり叩き起こしたりしませんか?

・子供を手先のように使ってメッセージを伝えたり、親と他の兄弟たちとの間に対立を引き起こしたりしませんか? 
・乱暴や虐待的行動をしておきながら、それを認めなかったり、皆さんのせいにしたりしませんか? 
・あの手この手で皆さんのやる気をそいだりしませんか? 
 あなたの言うことなんて誰も信じやしない、などと言いませんか? 

 以上のうち、例えひとつしか該当しなくても、程度によっては危険信号であるとに変わりはありません。
 虐待的なパートナーは何らかの介入を試みないと、ますます拍車がかかります。

 一刻も早く助けを求めてください。
 「今度こそ変わるから」と言うかもしれませんが、躊躇する必要はありません。
 皆さんは自分自身とお子さんの安全を守る責任があるのです。

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

 
稲本

 

第一段階における他の問題

 
 ノン・ボーダーラインの人はボーダーのパートナーを愛するうえで、いくつかの段階を経ていきます。
 第一段階(混乱の段階)の問題を、いくつか取り上げたいと思います。
 これらの多くは、「境界設定」によって対処することができます。

・パートナーの障害に対応するなかで、自分のアイデンティティを見失う。
・常に混沌とした状況にいる。
・パートナーの金遣い,自殺・自傷の試みなど、破壊的な行動を心配している。
・巧妙に操作されていると感じている。
・自分の責任でもなく、取り組むこともできない障害を持つ相手に、道徳的義務感を抱くことに釈然としない。
・パートナーのために、法律,仕事,金銭その他の問題に直面している。
・子供を守ることを考え、不安,懸念,混乱を抱いている。
・パートナーの愛情行為は本物なのか、それとも障害の一部なのかという疑問に駆られる。
・パートナーの行動が豹変したことに、自分が何をしたのかという疑問に駆られる。
・平穏を乱したくないために、どこまでパートナーの要求を受け入れるべきかという疑問に駆られる。
 パートナーから浮気を疑われたために、人に会うこともやめてしまった。

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

孤立することの悪影響(2)

 
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○ベトナム捕虜
 ベトナム戦争で捕虜となり、帰還した人々の報告によると、他の捕虜と暗号でコミュニケーションを図ったことが、孤立と拷問に耐えられた大きな要因だということです。
 見つかれば拷問される恐れも省みず、連絡を取り合ったのです。

 生き長らえることができたのは、他の捕虜を支えるために自分が必要だと知ることができたからでした。

○学習された無力感
 魚の実験を紹介します。
 水槽の中央にガラスの仕切りを入れ、一方にバラクーダ、一方に餌の魚を入れました。
 バラクーダは餌を捕らえようとするたびにガラスにぶつかります。
 そしてとうとう餌を諦めたのです。

 その後、仕切りガラスを外しましたが、バラクーダはその向こうに行こうとせず、餓死してしまいました。
 バラクーダは、「学習された無力感」と呼ばれる状態に陥ったと考えられます。

 学習された無力感は、人間(特に子供)にも当てはまります。
 自分の感情を傷つける人や状況から、我が身を守ろうと何度も試みながら、うまくいかなかったときなどに起こります。

 多くのノン・ボーダーラインの人が我が身を救えない無力感も、その一例でしょう。
 部屋から出ていくことさえ考えつかなくなってしまうのです。
 極限まで打ちひしがれてしまったことが原因です。

 例え健全な自己評価を持ち、幸せな子供時代を送ってきた人であっても、例外ではありません。
 まして、幼少期に恵まれなかった人(傷つきやすい人)なら、数ヶ月で牢獄に捕らわれたようになってしまうでしょう。

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本


孤立することの悪影響(1)

 
 孤立は極めて恐ろしいものです。
 人から希望,自己評価や個性を奪います。
 強力なだけでなく、即効力をも秘めているのです。

 皆さんがどれほど孤立してきたか、いくつか質問をしますので、判断の目安にしてください。

・パートナーと付き合い始めてから、友人が減っていませんか? 
・もしそうなら、それはパートナーが、人と会うことを控えるよう要求するからではありませんか? 
・プライベートな生活を人に知られたら恥ずかしいと思いますか? 
・理不尽だと気付きながらも、従わざるを得ない"ルール"がありますか? 
・パートナーのせいで、友人や家族と疎遠になり、犠牲を払っていませんか? 
・パートナーのために外出を避けていませんか? 
・新しい友人ができたとき、パートナーはその人に会いたがらないことはありませんか?
・電話中にパートナーが帰宅したとき、その電話について質問されたくなくて、電話を切ってしまうことはありませんか? 
・パートナーの詮索を避けるため、異性との連絡を控えていませんか? 
 

○囚人研究
 ある実験が行なわれました。
 男子学生をふたつのグループに分けて、一方は「捕らわれる側」、もう一方は「捕らえる側」という設定です。
 "牢屋"に両グループを入れ、それぞれの役割を演じるようにとだけ指示し、あとは何も言いませんでした。

 すると、"看守"側は辛辣になり、過剰に厳しい態度を取る学生もいました。
 "囚人"側は外界から孤立するにつれ、うつ状態に陥りました。
 看守からクズ呼ばわりされると、自分をそう考えるようになったのです。
 看守はますます残忍になりました。

 驚いたことに、囚人は誰も文句を言わず、実験をやめたいとも言わなかったのです。
 関係者の精神状態が懸念され、実験は早々に打ち切りになりました。

 数年後、学生たちは依然として、実験時の無力感,孤立感を忘れていませんでした。
 むしろ、あれが実験だったことを忘れ始めていたのです。

(続く)

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

 
稲本

 

感情的,物理的な距離を置くこと

 
 距離を置くというのは、ノン・ボーダーラインの人にとって生やさしいことではありません。
 比較的取り組みやすい、物理的な距離を置くことから始めるといいでしょう。
 パートナーが見捨てられることを恐れていれば、段階的に進めていく必要があります。

 別の部屋へ行く,出かける、何でもよいのです、皆さん自身のための時間を持ってください。
 パートナーのためにではなく、皆さんの気持ちを落ち着かせるための時間です。

 さらに進んで、数日間家を空けるのもいいでしょう。
 もし自分や他人を傷つける気持ちに駆られていたら、精神科の診察を受けてください。

 その際、ボーダーの人に対して、
「あなたから離れる時間が必要なの」
 と正直に言うよりも、悪意のない嘘をついたほうがいい場合もあります。

 お子さんがいる場合は、言うまでもなく安全と安心を確保しなければなりません。
 お子さんに消極的な行動が見られたら、彼らにも休息が必要です。

 自分なりのペースがつかめれば、パートナーとの関係を考える余裕が生まれるはずです。
 その関係が及ぼしてきた影響を振り返ることもできるでしょう。

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より
 
稲本

 

あなたはひとりぼっちではありません

 
 ノン・ボーダーラインの人と一口に言っても、立場は一様ではないでしょう。
 しかし本質的には、皆さん同じようなことを経験しています。
 皆さんは、「感情が事実を作り上げる」「否認」「分裂」「合理化」「鬼ごっこ、お前が鬼だ」「全てお前のせいだ」というゲームのなかで、知らないうちにボーダーの人の相手をしてるのです。

 「ようこそオズへ」〔*注〕では、新しいメンバーからのメールは、たいてい次のような書き出しで始まります。
「私と同じ経験をしてきた人がこんなにも沢山いるなんて信じられません」
〔*注:ランディ・クリーガー氏が運営する、ノン・ボーダーラインのためのネット上のサポートグループ。〕

 皆さんのパートナーは「ボーダーラインのめがね」で、全てのものを歪めていているのです。
 それでも皆さんは、罪悪感,悲しみ,空虚感に駆られているかもしれません。
 済んだことで自分を責めているのではないでしょうか。

 皆さんは、パートナーと間で抱いていた夢を失ってしまったのです。
 愛情は失われていませんが、信頼は消えてしまいました。
 でもこれは、皆さんの力ではどうしようもないことだったのです。

 ボーダーの人との生活は、希望や自己イメージに必要なものを無理やり奪ってしまいます。
 私たちにも感染し、引きずり下ろそうとします。
 けれどもその一方で、自分の中の忍耐力,思いやり,優しさ,品性を感じさせてくれるでしょう。

 ノン・ボーダーラインの人は、人に何かを与えられる素晴らしい人たちです。
 恋愛関係で責任を背負い込み、一方的に与えてばかりという人が多いのです。

 しかし皆さんがパートナーの障害に深く関わるほど、彼らを救うのは難しくなります。
 皆さん自身の感情を検討し、選択肢を見極め、自分の感情をボーダーの人の感情から引き離すことが必要です。
 物理的,感情的に距離を置き、「呑み込まれてしまわないこと」が重要なのです。

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より
 
稲本

 

パートナーを「変える」には(2)

 
(前の記事からの続き)

・ボーダーの人が障害を抱えていることを納得させようとする。
 ところが彼らは、病気なのはあなただと思っている。
・関係に何も求めなくなる。話をすることをやめる。

・素晴らしいパートナー関係を築いている,全て順調だと人から思われるようにする。
・悪い関係でも何もないよりはマシと、呪文のように唱える。
・相手がわめけば、こちらも怒鳴る。相手が叩けば張り倒す。

・ボーダーの人ほど自分を愛してくれる人はいないと思い込む。
 彼らが何をしても責任はない。
 彼らを変えられるのは自分しかいないと思っている。

・ボーダーの人が激しく怒り狂っても、それに甘んじるしかないと考える。
 こちらがどんな気持ちでも、相手の話をじっと聞く。
 その場を離れたら「見捨てられた」といって責められ、ますます酷くなると考える。

・BPDについてよく知らない専門家を信じて、助けを求める。
・周りの人がどんなに心配しても、無視をする。
・ボーダーの人のニーズが、自分や子供のニーズより重要であると信じている。
・自分は犠牲者であり、自分には何の支配権もないと考える。

・今まで挙げた方法を試してみようとする。しかし本当のリスクを冒したりはしない。

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より
 
稲本

 

パートナーを「変える」には(1)

 
 ボーダーのパートナーを「変えよう」として、人はあらゆることをします。
 でも結局、気付くことになるのです。
 ボーダーの人の行動と思考を変えられるのは、ボーダーの人自身だけだということを。

 以下に挙げる方法のいくつかを、経験したことがありますか? 
 この演習は自分を叱るためではありません。
 無意識に行なっていることを、意識的な決断に変えることが目的です。

 以下に挙げるようなことを、あなたは続けていきたいですか? 
 実際にうまくいったことがありましたか? 
 うまくいかないのに、何故それを繰り返すのですか? 
 うまくいったとして、ボーダーの人を変えたのは本当にあなたですか? 

 実際にどのようなことが行なわれているか、例を挙げましょう。

・ボーダーの人の言動を、全て論理的に説明しようとする。それを繰り返す。
・ボーダーの人の感情的理由を全て説明しようとする。
・100回目になってやっと警告する。しかし実行はしない。

・自分の生活は一切省みず、ボーダーの人を治せば、自分も幸せになると信じている。
・いつか奇跡が起こることを待っている。
・適切な方法が見つかれば、"異質な人物"の行動を変えられると言い聞かせる。

・受け入れがたい行動は無視する。こんなことは事実ではないと納得する。
・ボーダーの人が幸せになるまで、自分を変え続ける。

・関係に終止符を打つ。でも、相手に変わるからと言われて元の鞘に納まってしまう。
 それを何年間も繰り返す。

(続く)

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より
 
稲本

 

「ゾーン」にいる人のために(2)

 
(前の記事からの続き)

 自分の不幸に見て見ぬふりをしていませんか? 
 夫婦生活のなかで揉み消したものを明らかにするためには、自分の結婚生活が通常どのようなものであるか、原点に戻って考えることが鍵となります。

・普段から疲労,不安,緊張を感じていますか? 
 不幸が無意識のうちにそのような形で表れているのかもしれません。

・パートナーのそばにいるとき、興奮や胃痛,みぞおちの虚無感,苛々,震えなどを感じませんか?

・孤独や虚しさを感じますか? 
 パートナーを避けるために自宅から離れていませんか? 

・信頼を裏切られるようなことをされても、軽く水に流していませんか? 
 それは親密さに飢えているからではありませんか? 

・現実の怒り,つらさ,孤独を、夢のなかで発散させていませんか? 
 

 自分の感情を全て理解してるとは限りませんが、それらの感情を健康な形で解放させることが必要です。
 何かのきっかけで当たり散らすことはやめましょう。

 パートナーに、意地の悪い、強烈な手紙を書いてはどうでしょう? 
 相手を最も傷つけることを書いてください。
 ただし投函するのはやめましょう。

 スポーツや、競争心を煽るゲームをしてみるのもいいでしょう。
 信頼している友人がいるなら、パートナーの役をしてもらい、思いっきり怒鳴らせてもらってはどうでしょう? 
 気持ちのいいお風呂や、アロマ,音楽,深呼吸などをし、ゆっくりくつろいでください。

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より
 
稲本

 

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