2012年3月アーカイブ

平成24年2月現在の家族会財務収支

 

   収入  64,016円                     (①)

          内訳 2月12日東京家族会(14名×1,000円)  14,000円

              2月26日東京家族会(20名×1,000円)  20,000円

              2月5日 関西家族会(15名×2,000円)  30,000円

              通帳利息                   16円

                 

   支出  108,440円                     (②)

          内訳 2月12日東京会場費     3,670円

              2月26日東京会場費     2,730円

              4月8、22日東京会場費   28,000円

              4月6月関西会場費      3,720円

              2月関西出張交通費     44,300円

              資料コピー代金       3,620円

              懇親会費          22,400円

 

   収支   ‐44,424円 ・ A (①-②)

 

 

☆ A -44,424円 + 446,328円(1月末残) = 401,904円

上記 ご報告いたします。

財務報告は奥野代表の会計監査済みです。

 

            BPD家族会事務局

 
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 浮気をすることで、本来皆さんが得られるものの幻を味わえるかもしれません。
 しかし実際に手に入れるのはやはり無理なのです。
 この思いが、深い悲しみを引き起こすでしょう。

 浮気は罪悪感を抱き、自己像に矛盾します。
 何故皆さんは浮気をする必要があったのか、その理由に進んで目を向けてくれるセラピストに相談すべきです。

 
 次に、ノン・ボーダーラインの人の話を紹介します。

・ボーダーの人は、脳の科学的物質に由来する「ハイ」な気分を求めている人が多いんじゃないか。
 性的体験は、一時的にハイな状態を作り出します。

・ボーダーの妻は、僕が浮気をしていると非難しました。
 パーティで僕に15秒ほど話しかけた女性がいれば、それで充分なんです。
 しかも、突然それを言い出したのは半年後でした。

・パートナーとの危険な事柄にどう対処すべきか、浮気を通して答を得ることができたんです。
 僕は人生に変化を求めていたんですね。
 でも浮気は自分を卑しめ、消耗させます。

 僕は自分の行動を正当化しようとしましたが、ボーダーの人と同じことをしていると気づきました。
 浮気を打ち明けると、妻は元の鞘に収まることを許しました。
 でも全て僕が悪いということになってしまうんです。
 もう一度同じことになったら、もう彼女のもとに留まることはないでしょう。

・別れたいとボーダーの妻に伝えるのは、究極的に難しいことです。
 でもきちんと話をしたほうが、浮気をしたり、"ドアをピシャリと閉め"たりするより、結局早道だと自分に言い聞かせています。

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

 ノン・ボーダーラインの人は、浮気をしている人が多いことが分かっています。
 ボーダーの人との関係で欠けている、身体的,感情的な結びつきを満たそうとしているのでしょう。

 一方、浮気をしていないのに、浮気をしたといって告訴されるノン・ボーダーラインの人は、それに輪をかけて多いことも確かです。
 これはボーダーの人の自己評価の低さ,見捨てられ不安が原因です。

 ボーダーの人も浮気をすることがあります。
 彼らは見捨てられることを恐れ、置き去りにされたときのために、浮気相手を作っておくのです。
 彼らは性的に求められると、心の空虚感が幾らかでも満たされるのでしょう。

 浮気は自分をダメにする行為,または自己嫌悪の表れとも考えられます。
 物質乱用や衝動的な行動の結果、浮気に走ることもあるかもしれません。
 これも呑み込まれ/見捨てられ不安の一端でしょう。
 

 浮気は次のような点を示してます。

・結婚生活が困難な状況
・欺かれても相手の浮気に快く耐える人は、共依存について知るべきかもしれません。

・言葉の微妙な意味合いに気を付ける必要があります。
 ある妻は、他の男性とセックスしたことは「ない」と言いました。
 ところが彼女はこう言うのです。
 「男性と寝たことはあるけれど、彼はコンドームをしていたから、正確には『触れていない』のよ」

・ボーダーの人が浮気をしても、それは不安と障害が原因だと是非理解してあげてください。
 彼らは浮気を皆さんのせいにするかもしれませんが、そんな言葉を真に受けないでください。
 不信感を抱かずに問題を解決することも可能です。
 彼らはなぜ浮気をしたかも分かっていません。

・皆さんが浮気をしている場合、浮気は一時的な対策に過ぎず、根本的な解決にはなりません。
 いつか夢から覚めるときが来るのです。

(次の記事に続く)

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

性的な事柄について話し合いましょう

 
 ボーダーの人との性的な関係は、最初に刺激的な時期が数日から数年あり、頻繁に情熱的に大胆にセックスをします。
 それが過ぎると、セックスの頻度は激減し、機械的な作業と化してしまいます。

 セックスによって操作されているように感じることもあります。
 ボーダーの人は自分が傷つきやすくなると、自分が利用されているように感じるため、その心を二人の関係をコントロールするために逆に利用するかもしれません。

 あるボーダーの人の女性は次のように説明しています。
「私は受け入れられる実感を求めていたんだと思います。
 セックスをしたがれば、私のことを愛してくれると考えたのかもしれません。

 でもその後、彼が私を愛していると確信して満足し、セックスが減ってきました。
 セックスを通して、愛してくれる人を手に入れようとしたんじゃないでしょうか。」

 熱狂は一気に燃え上がる代わりに、一気に冷めてしまうことがあり、軽蔑に変わることさえあります。
 パートナーは、あなたがこんなことをしたからセックスはお預けよ、と言うかもしれません。

 あるノン・ボーダーラインの人は述べています。
「彼女は前の夫を"罠に陥れ"、わざと妊娠しました。
 子供がいれば絶対に自分を見捨てないと考えたんでしょう。
 セックスは見捨てられ不安から解放されるための手段なんです。

 でも僕は経済的にも感情的にも、子供を持つこと認めませんでした。
 彼女は罰として、セックスを拒むようになりました。」

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

自分の感情的なニーズを満たすこと

 
 ボーダーの人の熱烈な愛の告白は本物なのでしょうか? 
 それとも偽物に過ぎないのでしょうか? 
 一般化して答えるのは無理があります。
 しかも人間の相性は不思議なもので、他の人たちとは比べられません。

 人は最初に惹かれるものがあると、それを真の愛情と勘違いしてしまいます。
 時を重ねて深まっていく愛情はあまり重視されません。

 境界性パーソナリティ障害の人たちには、(意識的か無意識的かは分かりませんが)、ノン・ボーダーラインの人がこうあってほしいと望む通りの人物のように振る舞う才能があります。
 ノン・ボーダーラインの人はたちまち「恋に落ちて」しまい、のめり込んでいくのです。
 ノン・ボーダーラインの人は口々に、パートナーには「どうも妙に」思われる節があった,でも深く考えなかった、と言います。

 パートナーはどれほど「本当の自己」をさらけ出していたでしょうか? 
 本当の深い信頼関係が築かれるには長い歳月がかかります。
 ボーダーの人の中には、「いとしい君を愛してる」という刺激的な恋愛感情の先にある、「僕の靴下どこにあるの?」というような心が通い合う愛情に進めない人がいます。

 最初の愛情が徐々に冷めてきたころ、ボーダーの人は別の「もっと刺激的な」愛人へ乗り換えてしまいます。
 無意識のうちに、それまでの二人の関係を壊そうとすることさえあります。

 もし皆さんにそんなことが度々起こるようなら、皆さんは無意識に、より深い関係へ進めそうにない相手を選んでいるかもしれません。
 深い愛情で結ばれていない関係など、何の意味もありません。

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

境界性人格障害は治るのでしょうか? 

 
 境界性パーソナリティ障害の患者は一人一人異なっています。
 ボーダーの人とノン・ボーダーラインの人の関係も、それぞれみな異なっています。

 皆さんはパートナーに彼らのやり方を変えてくれるよう求めるわけですから、皆さん自身も進んで自分のやり方を変えていくのが当然と言えるでしょう。
 では、パートナーは自分の行動を変えていく気があるのでしょうか? 

 これにはふたつのステップがあります。
 第一に行動を、次に感情を変えるというステップです。

 例えば皆さんが、復学したいとパートナーに言ったとしましょう。
 パートナーは見捨てられた気持ちになるかもしれません。
 しかしパートナーは、あなたが夜の授業に出ている間、自分が子供の面倒を見ると言うこともできるのです。

 次のステップは、授業を受けたからといって、パートナーに対するあなたの愛情が減るわけではないと気付くことです。
 このように変化するためには、集中的な治療が必要でしょう。

 ボーダーの人が、口では変わると言いながらなかなか変わらないときは、言葉ではなく行動に着目してください。
 行動は言葉に勝るのです。

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

奇跡を期待しない

 
 パートナーの行動を改めるよう求めることと、彼らに幸せになってほしいと願うことは別です。
 求めることは広がっていくでしょうが、それを相手に期待すべきではありません。

 皆さんだって、境界設定やコミュニケーションの方法を身に付ける練習は、できればしたくないでしょう。
 これまでのやり方を捨て、不安を抱きながら、新しいやり方を身に付けていかなければならないからです。

 しかし投げ出す必要はありません。
 むしろ期待していいと思います。
 自分の不安や相手の反応を、「失敗」か「成功」かの判断基準にしないでください。
 何事にも時間が必要なのです。

 皆さんが初めて親元を離れて暮らし始めたとき、色々な失敗をしたでしょう。
 でもそのために自宅に舞い戻っていたら、自分の失敗に縛られていたら、今頃どうなっていたでしょうか? 

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

 
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・ボーダーの人の感情を価値あるものと認める
 パートナーの感情は、彼らの世界では確かに意味があるのです。
 「あなたがそういう気持ちでいることは理解できる」と言うだけでもいいのです。
 (ここで相手の気持ちを繰り返してください。)

 相手の感情を否定せず、正当かどうかということ自体、問題にしないでください。
 皆さんが彼らの声に耳を傾けていることを示してください。
 お高くとまったり、へりくだったりしていると思われてはいけません。

・「自分にとっての現実をはっきりさせること」で自己主張
 「現実をはっきりさせること」には、事実に基づくものも含まれます。
 例えば、何か焦げている臭いがすると言っても、パートナーの料理に文句を言っているのではないということです。

 また、皆さんの意見を反映しているものもあります。
 例えば、結婚していてもそれぞれの友だちと会ってもいいということです。

 パートナーが違う意見を持っている可能性は高いでしょう。
 でも言い争いは避け、信じていることを繰り返し伝えます。
 そして、皆さんとパートナーの意見が一致しないという事実を受け入れてください。

 話し合うことでうまく解決するにしても、妥協しないにしても、説明は不要です。
 相手に付け入る隙を与えてはいけません。
 例えば次のようにいいます。
「これは僕にとって必要なことなんだ。
 僕たちは何もかも同じというわけじゃない」

・ボーダーの人の感情と行動の責任を、彼ら自身に戻す
 皆さんが彼らの力になれると伝えるのは構いません。
 しかし結局、彼らは自分自身の力で気持ちを切り換えるしかないのです。

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

 
 「PUVAS」は、投影,非難,批判的な責任転嫁,法外な要求をするボーダーの人に、役立つテクニックです。

・注意を払う(Pay attention)
・充分に理解する(Understand fully)
・ボーダーの人の感情を尊重する(Validate the BP's emotion)
・「自分の現実をはっきりさせること」による自己主張
 (Assert yourself with "My Reality Statement"

・ボーダーの人の気持ちと行動に対する責任を、ボーダーの人に取らせる
 (Shift responsibility for the BP's feeling and actions back to the BP)

 PUVとASのふたつに分けて考えてみましょう。
 PUVはボーダーの人に対してのもの、ASは皆さん自身に必要なことです。
 それぞれ正しい順序で行なってください。
 どれひとつとして省いてはいけません。

・関心を払う
 相手の言葉に真剣に耳を傾けてください。
 何を言おうか考えるのはやめます。
 ボーダーの人を変えようとしてもいけません。

 そうすることで、ボーダーの人の感情をより理解できます。
 また、裏に隠れているかもしれない感情を、うかがい知ることもできるかもしれません。

・充分に理解する
 パートナーの言うことを否定せず、穏やかに、詳しく具体的な説明を頼んでみましょう。
 責められても、身構えて自己弁護してはいけません。

 何が問題の引き金になっているか、正確な原因を突き止めるのが目標です。
 また、「いつも」とか「絶対に~ない」という言い方は誤解を招くかもしれないと、彼らに分かってもらう手助けをするのが目標です。

(次の記事に続く)

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

 
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 冷静でいること、それが大切です。
 パートナーからの投影,非難,脅しなどに呑み込まれてはいけません。
 彼らは皆さんが本気か確かめようと、皆さんを試し、要求をエスカレートしてくるでしょう。
 動じることなく、一貫した姿勢を崩さないことが重要です。

 皆さん自身も変わる必要があるのです。
 自分の考えを明確に主張し、それを最後まで貫いてください。

 アイ・コンタクトを図ることも大切です。
 話は立ったままのほうがいいかもしれません。
 少なくとも、相手より低く構えないことです。
 真剣な表情で、説得力のある声で話してください。

4.強化
 今後、こういうことをもっと強めていくつもりだと伝えてください。
 最初に段取りを決めておくのがいいかもしれません。
 例えば、決めた日時にお金を返さないなら食事を出さない,さらに1ヶ月たっても返さなければ鍵を変える、などです。

 何をしたら(何をしなかったら)、どういう結果になるかをパートナーに理解させるのです。
 境界設定に対して、パートナーは罵倒し批判するに違いありません。
 従って、予め答を用意しておいてください。

 パートナーが何と言おうとも、その多くは彼らが彼ら自身について感じていることなのです。
 それが分かれば、その仮面の背後にある本当の声に耳を傾け、彼らを理解できるでしょう。

 皆さんの境界を、心の障害を持つ人に決めさせてはいけません。
 境界を設定することは、彼らのためでもあるということを心に留めておいてください。

 *「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

 
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2.表現
 状況についての皆さんの感情や意見を明確に表現してください。
 自分の感情には自分で責任を持ちます。
 例えば「あなたのせいでこんな気持ちになった」などは禁句です。
 自分の感情を正確に把握するには、前もって充分考えておく必要があるかもしれません。

 例えば、ボーダーの人との同居でこの先生活費をまかなっていけるか、「不安」でいるという気持ちを表現します。
 自分の感情を表現するのであって、話の矛先を相手に向けてはいけません。
 そのようなことをしたら相手を刺激して、修羅場と化すだけでしょう。

3.主張
 自分の境界設定の主張です。
 境界は明確で、分かりやすいものにしてください。

 そして、何故それを求めるのか説明します。
 それが正しいから,普通だから、という理由ではなく、皆さん自身がそうしたいから,そうしてくれると自分の気分がよくなるから、そう説明してください。

 価値判断や双方の立場の「良し悪し」をめぐる議論は避けてください。
 そうするだけで、言い争いの半分はなくせるはずです。

 必要ならば繰り返してください。
 境界を設定することの利点を強調します。
 皆さんにとって必要なものを得ることで、どんな良い効果があるかをパートナーに説明してください。

 状況によっては、現状を続けていくとどんなデメリットがあるか、そして現状を続けるつもりがないことを伝えてください。

(次の記事に続く)

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

 
 「DEAR」というのは、感情や問題を、本来の持ち主であるボーダーの人の元へ返そうという方法です。
 マーシャ・リネハン博士によるもので、描写(Describe),表現(Express),主張(Assert),強化(Reinforce)の頭文字です。

 パートナーが今までと同じことをしても、もう見返りを得られないようにします。
 そうすることで、彼らが変わる可能性が高くなります。
 皆さんの欲求不満が解消される可能性も高くなるかもしれません。

 皆さん自身も行動を改める必要があります。
 言い争いをやめ、相手を尊重し、お互い対等であるように、です。

 パートナーが機嫌がよいときに、境界設定について話し合ってみましょう。
 せっかくのよい雰囲気をそのままにしておきたい衝動を、乗り越えなくてはなりません。
 セラピストの前で話せればそれがよいでしょう。

1.描写
 まず、誇張や批判をせず、今の状況をそのまま描写してください。
 その状況にどのように感じたかは説明する必要はありません。
 できる限り客観的に、明確に描写します。
 都合よく事実を変えたり、ボーダーの人を見透かすようなことを言ってはいけません。

 パートナーが話をさせてくれない場合には、第三者が同席したほうがいいかもしれません。
 手紙を書くという方法もあります。

 例えば、ボーダーの人が失業して、あなたは好意で自宅に彼を住まわせてあげたとします。
 でも、余分な出費がかかることに気付いたという、「事実」をそのまま伝えます。
 パートナーがあなたに負担を強いているなどと言ったら、たちまち喧嘩になるでしょう。

(次の記事に続く)

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

 
 境界設定をはっきりさせるには、自分が何を求めているのか明確にしておく必要があります。
 友人に相談してみてはどうでしょう。
 口に出して話すと、自分が何を望んでいるか、判断する助けになります。

 態度を改めるよう求めたら、パートナーは別れると言って脅すかもしれません。
 そうなったらどうするか、何度も自分に問いただしてみることが必要です。
 見捨てられ不安は、ノン・ボーダーラインの人にもよく見られます。
 酷い関係でも、ないよりはましと考えるのです。
(パートナーに変化を求める前に、本書全体を読んでください。)

 当面の目標を、曖昧なものから具体的なものにしてください。
 「パートナーが軌道修正できるようにする」ではなく、「パートナーが家賃を払い、大人としての責任を持って生活できるよう力を貸す」のようにです。
 あるいは、「3月15日までに家賃を支払ってもらう」といったものです。

 セラピストへの相談も必要かもしれません。
 パートナー自身には、できるレベルで立ち直っていこうとする意志が必要です。

 パートナーにうつ症状や自殺願望が見られたら、専門機関に連絡しなければなりません。
 一人で何とかしようとしてはいけません。

 忘れてはいけないのは、パートナーが現状を心地よく感じてしまったら、彼らはずっと変わろうとしないということです。

 

 
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 ボーダーの人の行動を手助けしているのは、実は皆さんかもしれません。
 パートナーのものであるはずの苦しみ,怒り,問題,否定的な感情を、皆さんが代わりに引き受けてしまっています。

 お互い無意識に行なっているかもしれません。
 目くじらを立てても現状が維持されるだけで、変化が生じることはありません。
 真の変化を二人とも恐れているかもしれません。

 例えば、パートナーにお金を貸しても返ってこない場合、返済を求めると彼らは大声を上げ、お前は俺を愛していないんだ,金に飢えているんだと責めるでしょう。
 一方で、彼らが友だちと街で一晩過ごしている姿が目に入ってきます。
 こうして、皆さんのパートナーが負うべき問題や感情を肩代わりすることになるのです。

 堪忍袋の尾が切れたとき、攻撃的な反応として怒りをぶつけます。
 攻撃的な反応が現れるのは、もはやこうするしかないと感じたときです。

 しかし自分が権力的,支配的な立場にあるときは、攻撃をしかけることはありません。
 攻撃とは、力のない弱い立場から発せられる反応です。
 相手がこちらの言葉に耳を貸そうとせず、激しい怒りで応戦してきたら、もはや誰にも勝ち目はありません。

 皆さんに必要なのは、自らの主張をはっきり示すことです。
 パートナーにお金を返す気があるかどうかに焦点を向け直すことなのです。

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

 
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 パートナーを操作して変化させようとするのは有効ではありません。
 操作とは、飴と鞭のように、治療を受けなければ見捨てると脅したり、治療を受けたらご褒美を与えるというようなことです。
 これで彼らの行動が改まったとしても、操作がなくなればたちまち元に戻ってしまうでしょう。

 変化を望まないボーダーの人は、自分がうまく騙せるセラピストを狡猾に選びます。
 あるいはセラピストを非難して、治療を中断させます。

 変化については、ふたつの面に注目してください。
 パートナーがどのような行動をし、どのような感情を抱いているかということです。
 人は感情より行動のほうがコントロールできるものですが、ボーダーの人は感情と行動の距離が短いのです。

 本当の変化は内面から起こります。
 それには、彼らの防衛機制がうまく働かないようにするだけです。
 防衛機制には、否認、合理化、分裂、投影があります。

 合理化とは、自分のことを正当化する理屈を作り出すこと。
 分裂は、全てを白か黒か、善か悪かに分けて理解すること。
 投影は、自分の中の否定的な性質や感情を、人のせいにしてしまって、自分では認めないことです。

(次の記事に続く)

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

 
 ボーダーラインは治療可能です。
 ただし良くなっている人々全てに共通することがあります。
 彼らが皆、自分が問題を抱えていると理解し、良くなりたいと望んでいることです。

 しかし「ようこそオズへ」の人たちのパートナーのほとんどが、自分に問題があることを否定します。
 そもそもこの障害には、「自分に良くないところがある」と当人が自覚していない傾向があります。

 ボーダーの人の考え方を、無理やり改めさせようとしてもうまくいきません。
 あなたは病気です,障害があります,治療が必要ですと説得させようとしても、裏目に出てしまいます。
 ひどい言い争いになり、ボーダーは皆さんの方だと逆に言われるでしょう。

 人に何かをさせたり感じさせたりするというのは、それ自体きわめて難しいことです。
 人が何かをするのは、自分にとって利益があるときです。
 一方、不快なことは避ける傾向があるのです。

 また、自分の世界観を裏付けるような情報は耳に入れ、否定するような情報は拒否する傾向もあります。
 皆さんの「欠点」に対するパートナーの見解も、同じことがいえます。

 ボーダーラインは、世界に対する反応の仕方の障害で、その人の子供時代,環境,脳に原因がある可能性が高いものです。
(従って、パートナーが治療を求めなくても、皆さんへの当てつけではありません。)
 否認ということこそ、この障害を裏付けるものです。

 かえって機能の高くないボーダーの人のほうが、自分の不安や孤独の原因を求めようとするかもしれません。
 適切な治療を受けることで、良い結果を得られることがあるでしょう。
 彼らは彼らなりに、できる限り問題に対処しようと辛い経験をしてきているのです。

(次の記事に続く)

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

 
(前の記事からの続き)

・パートナーが離婚したいとわめいても、それに同意してしまったら、皆さんのほうがパートナーを虐待することになってしまいます。

・彼らを幸せにしてあげられないことに責任を感じて、自分を責めてはいけません。
 それは皆さんのせいではないのです。

・パートナーをあがめたてまつることは避けましょう。
 パートナーが皆さんにそうするのも認めてはいけません。
 上がったものはいずれ落ちる、これが鉄則です。

・お子さんの保護監督権を取れるよう全力を尽くしてください。
 BPDが治っていないなかで、お子さんを育ててはいけません。

・BPDというのは、皆さんが何を言ったか、何をしたかに関わりなく現れてくるものです。
 嫌な気分に巻き込まれることはありません。

・家を出る覚悟なら、明確な期限を決めたほうがいいでしょう。

・離婚を考えているなら、とにかく証拠記録を残してください。
 メモ用紙でも構いません。
 BPDの人と闘う場合、この方法しかありません。

・離婚するとなると、長く苦しい法律上の闘いになります。
 できるかぎり楽にこの闘いを乗り切ってください。

・BPDに対しては、一貫した態度で臨んでください。
 態度を緩めると、ボーダーの人は繰り返し皆さんを試そうとするでしょう。

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

 
 他のノン・ボーダーラインの人たちに、以下のようなアドバイスをが寄せられました。

・パートナーのことでヤキモキすることはもうやめましょう。
 自分自身に何が必要か、自分の心に尋ねてください。

・皆さん自身のセラピーを受けたほうがいいでしょう。
 投影から逃れるためにも、感情に対処するためにも、皆さんには支えや助けが必要です。

・日記を付けてはどうですか。
 ついついそれほど酷い状況ではないんじゃないかと、現実から目を逸らしてしまいがちですが、現実はやっぱり酷いんです。

・できる限り情報を手に入れてください。
 サポートグループに連絡してもいいでしょう。

・境界を設定し、維持することが必要です。
 皆さん自身が決意を固めることが大切です。

・皆さんの話を偏見なしに信じてくれる人たちの助けを信頼しましょう。

・家族の絆だけを主眼とする集団や牧師には注意してください。
 彼らはBPDを理解することすらできないのです。

・BPDの人の行動は、モラルの問題ではなく医学的な問題です。
 この生物学については日々新たな発見がなされています。

・皆さんが相談している人たちは、BPDによる苦しみを経験したことがあるでしょうか。
 そうでないとしたら、教育を受けていないコンサルタントに相談しているのと同じです。

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

 
 「最初から知っていればよかったと思うことは何ですか?」という質問への回答は、次の通りです。

・彼女の家庭では虐待が行なわれていたんです。
 虐待は人の心を破壊する恐れがあり、それが回復するまでには、気が遠くなるほど長い時間がかかるということです。

・理屈じゃないということです。
 どれほど彼女を説得しようとしたことでしょう。
 彼女が一体どのように物事を見ているのか、何度も理解しようとしました。
 「これにはPUVAS」(後述)が力を発揮してくれました。
 彼女が僕を味方であると感じられるようにすると、彼女は僕の言葉に耳を傾けられるようになります。

・夫婦の生活にかかる負担を、私ばかりが背負い込む必要はなかったんです。

・あまりに長くこんな負担に晒されたら、私自身にもボーダーの症状が表れかねないということです。

・私のパートナーは、自分が必要と感じることは私も当然必要としていると思い込んでいました。
 初めから理解していればよかったです。

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

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