2012年4月アーカイブ

研究から何が言えるでしょうか(1)

 
 ボーダーの人の子供に対する行動は様々です。
 皆さんの言動もそれに大きな影響を与えます。
 さらに子供も一人一人異なっているのです。

 ボーダーの親に共通して見られる性質に、支配的であるということがあります。
 様々な支配のスタイルを説明します。

・子供の要求を抑えつけること
 ボーダーの親はわが子を巻き込もうとします。
 子供の自立と個性を妨げ、高圧的に支配し、自分と子供のニーズを区別できません。

 その結果、子供は人との健全な境界を持つことができず、深い信頼関係を結ぶことが困難になるかもしれません。
 他人に依存し、率先して行動することができなくなります。

・完璧主義的な子育て
 ボーダーの親には非常に完璧主義的な人がいます。

 わが子の欠点や子育ての欠点を見つけられることを恐れ、わが子に最高であることを求めます。
 それが自分を反映しているからです。

 彼らは脅迫的で表面的な価値を重視します。
 無条件の愛とは正反対のものです。

 成長した子供たちは、自分が誰であるかではなく、何をするかによって評価される気持ちになります。
 彼らは常に後悔をし、自分の考えに重きを置かず、感情を表現するのが難しくなってしまいます。
 抑うつ的に気分に陥りながら、その理由を理解できません。

(次の記事に続く)

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

治療について

 
 個人療法や夫婦療法があり、通常両方が必要です。
 お子さんがいれば、お子さんにも治療が必要かもしれません。

 成功するかどうかは、セラピストの技量,問題を見つめる二人の気持ち,カップルやBPDの人の問題などによります。
 効果を見極めるのは、直感が最も有効です。
 セラピストは問題を理解しているか,進展が見られず歳月が流れていないか,治療で何か洞察が得られたか,行動に変化が見られたか、など。

 よいセラピストなら、BPDの人の過去を調べることと、いま変えるべき行動とをバランスよく行ないます。
 例えば過食をしている場合、心の深いレベルを探求しながら、過食に代わる方法に取り組んでいくでしょう。

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

決断の回避

 
 なぜ待ち続ける人がいるのか、その理由を挙げてみます。

・「だって、子供がいるんです」
 彼らは、親権を得られないと不満を言います。
 しかし実際は、噂に流され、最悪のシナリオを信じているのです。
 弁護士に会ったことがないか、もしくはたまたま悲観的な弁護士に当たって怖じ気づいています。

 子供に対する離婚の影響を過大評価し、虐待的な環境での生活や、子供への言葉の暴力の影響を軽んじています。

・「私はパートナーが良くなってくれるのを待っているんです」
 パートナーが積極的に治療に取り組んでいるなら、それもいいでしょう。
 けれども待っても結果は同じだという事実を、受け入れていないだけかもしれません。

・「独りになりたくない」
 パートナーとどれだけ一緒にいて、どれだけの愛情を得ているのでしょう。
 パートナーと離れたら誰が支えとなってくれるか、また独りでいると何を得られそうか、書き記してください。

・「経済的にも自分でやっていくのは無理です」
 皆さんは自分を低く評価しているかもしれません。
 パートナーが皆さんを置いて出ていったらどうしますか?
 できないことを考えるのではなく、何ができるかを考えましょう。

・「彼女には僕が必要なんです」
 「救済者」について書いた箇所を読んでください。(4月14日の記事)

・「未知への挑戦が怖いんです」
 起こり得る最悪のことは何か? その恐怖を口に出してはっきり言ってみてください。
 今からそれに備えていけば、恐怖に圧倒されなくなるでしょう。

・「他の誰も、私を必要としていないから」
 これこそ、皆さんが今この関係を離れる必要があることを示しているのです。

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

(前の記事からの続き)

 自己防衛の強い人たちについて、次のようなことが言えます。

・自分を弱く、無力に感じている。
・パートナーが立ち去ってくれるのを待っている。
・出口がどこにもないと感じている。
・パートナーなしでは生きられないと感じている。
・未来を恐れ、動けなくなっている。
・他人からの反対を恐れている。
・言い訳や言い逃れをして、今の関係に留まろうとする。
・以前にも別れを決意したことがあるのに、結局やめてしまった。

 一方、次のような兆候は自己防衛の必要がなくなっている証です。

・新しい興味や友人ができた。
・自分自身の目的を重視し、行動しつつある。
・独りでいても、現実的な問題に対応できると、心強く感じている。
・自分自身と自分の決断力に自信を持っている。
・パートナーの思い通りにさせなくなっている。
・パートナーや家族に正当性を証明する必要がなくなっている。
・自分とは何か、人生に何を求めているか理解している。

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

(前の記事からの続き)

・この本のアドバイスに従ったら、パートナーは二人の関係について責任を引き受けてくれるでしょうか?
(問題を一緒に見つめていく気持ちが、何よりも長期的な成功を予測させます。)

・パートナーとの間には、今でもスキンシップがありますか?

・皆さんは"待ち時間の罠"にはまっていませんか?
 パートナーが変わるのを既に5年待ったとしましょう。
 さらにもう1年、2年待ちますか?
(期限を設けましょう。)

・パートナーは変化が皆さんにとってどれほど重要か、気が付いていますか?
 パートナーが皆さんにとって、10段階評価でどのくらい大切か、パートナーが落ち着いているときに尋ねてみてください。
 その回答--もしくは無言の回答--は、彼らの心を雄弁に物語ってくれるでしょう。

・パートナーはこれまで、譲れない一線を侵害したことがありますか?

・酷い状況へ一転するのを恐れ、パートナーとの素晴らしい時間を持つことさえ制限していませんか?

・パートナーについて、なくなってしまったら惜しいと思うものは何でしょうか。
 「一緒にいること」や「支出を二人で負担すること」など、一般的なことですか?

・パートナーは"汚い闘い"をしますか?
 彼らは、二人のためより自分自身のために存在しているようですか?

・皆さんにとって最も重要な関心事は、保身をはかることですか?

(次の記事に続く)

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

・最も良かった時期を思い出してください。
 皆さんは現在、パートナーの本当の姿に憧れていますか? 
 それとも彼らが装っていた姿に思い焦がれていますか? 

・パートナーが皆さんまたはお子さんに、身体的な暴力を振るったことが一度ならずありましたか? 
(もしそうなら今すぐ別れてください。)

・二人の関係が壊れても誰も気に留めないとしたら、別れる可能性が高くなりませんか?
 全知の存在が別れてもいいと言ったら、とてつもなく安心しませんか?

・本当はもう別れる決意をしているのに(アパートを解約するなど)、それを認めようとしないのではないですか?

・コインを投げ、裏が出たらパートナーと別れる、表が出たら留まります。
 さあ、裏が出ました。どう感じますか?
 では表だとしたら、どう感じますか?

・頭では理解しても、心底実感していないことがあります。
 一方、心では真実に気付いていても、その裏付けを必要としていることもあります。

・皆さんとパートナーが(お子さんを抜きにして)、一緒に楽しめることがありますか?

・パートナーは皆さんが必要なものを、与えることを意図的に避けていませんか?
(もしそうなら、彼らの支配欲は思う以上に強いかもしれません。)

・皆さんは自分を恥ずかしい存在と感じていませんか?
 大切なことを話そうとしても、パートナーは皆さんを黙らせようとしませんか?

・二人の関係に捧げてきたものが、報われると思いますか?

(次の記事に続く)

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

 
 今日から「パート4 決断の段階」です。

 パートナーが態度を改めないときはどうすればよいでしょう? 
 決断に数ヶ月かかる人も、数年かかる人もいます。

 ノン・ボーダーラインの人がまず考えるのは現実的なこと、つまり子供やお金の問題です。
 しかしここでは、皆さんが「本当に求めていること」を取り上げます。

 自分の置かれた状況を認識し、自分が人生に何を求めているのかを知ることです。
 それが分からなければ、それを手に入れることはできないのです。

 アンビバレントな感情を抱える人は、自分たちの関係について決断する際、紙の一方にメリットを、もう一方にデメリットをリストアップします。
 でも、関係から去ることのメリットとデメリットを比べるのは、トマトとシリアスの重さを比べるのとは違います。

 むしろ、2匹の犬をシーソーの両側に乗せることに似ているかもしれません。
 それぞれが常に動き、上がったり下がったりし続けるのです。
 またボーダーの人というのは、態度を明確にさせられることを拒みがちです。

 必要なのは、医師のように関係を診断する方法です。
 以下の質問に対する回答と、皆さんの考えを書き記してください。

(次の記事に続く)

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

健全な関係:不可能ではありません

 
 健全な関係とはどのようなものでしょう。

・自分の気持ちに正直になれる。
・自分は愛されていると思える。
・パートナーに共感しながらも、自分が相手の病気を治す責任はない。
・お互いにニーズを抱えつつ、バランスをが取れている。
・パートナー以外にも、友人や趣味を持つ。
・過ちは認め、先へ進んでいく。
・支えが必要なときは助けを求められる。
・一方だけが責任を取ったり、与えるのではない。
・重要なことは二人で決められる。
・問題について話し合える。
・自分の時間を確保できる。
・パートナーを愛しながら、自分が一人の大人であると自覚し、時にはパートナーなしでも生きていける。
・お互いにいらだちや怒りを伝えられる。
 完璧である必要はない。

 以上が無理だという人は、臨床家と共に取り組んでください。
 パートナーに何が起きても、皆さんが前向きでいれば、うまく事態に対処できるでしょう。

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

平成24年3月現在の家族会財務収支

収入  101,400円                     (①)

          内訳 3月 4日東京家族会(3名×1,000円)   3,000円

              3月24日東京家族会(24名×2,000円)  48,000円

              3月24日東京懇親会(12名×4,200円)  50,400円

                              

支出   86,988円                     (②)

          内訳 3月 4日東京会場費     4,450円

              3月24日東京講師謝礼   30,000円

              3月24日東京懇親会費   52,538円

               

   収支   14,412円 ・ A (①-②)

 

 

☆ A 14,412円 + 401,904円(2月末残) = 416,316円

上記 ご報告いたします。

財務報告は奥野代表の会計監査済みです。

恋愛依存症

 
 恋愛依存症者は愛という考えを愛しているといいます。
 新しい関係がもたらす興奮を求めています。
 相手が誰かより、甘い状況が重要です。

 興奮が冷めてしまうと、今度は強く否認します。
 相手がどんな人物かは知りたくないのです。
 現状に決して満足することなく、ますます幻想にのめり込みます。

 その他、境界設定を難しくさせる問題として、下記のようなことがあります。

・恐れ,義務感,罪悪感でしか自分の欲求を適えられない。
・子供やペットに関する脅し。
・自分は無力で、パートナーより劣ると思っている。
・いつかパートナーが間違いに気づき、彼らの行動が奇跡的に変わると信じている。
・宗教を通じて、苦しみは善だと教えられてきた。
・女性の場合、決断は男性が下すべきと信じている。
 男性の場合、紳士は淑女に譲るべきと信じている。
・激しいドラマがなくなったら、生活はつまらなくなると思っている。
・パートナーに捨てられることを恐れている。
・関係がなくなるくらいなら、惨めな関係でもあったほうがいい。
・問題を乗り切る方法を教えてくれる人がいなかった。
・ひどい扱いを受けるほど、自分が愛されていると証明する。
 パートナーとの関係が、かつての親の関係と似ている。

 皆さんは、家族や友人などのサポートグループが必要です。
 皆さんをあるがままに受け入れてくれる人たちと親睦を図りましょう。
 PUVASやDEARを参考にしてください。

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より 

稲本

 

皆さんは「救済者」なのでしょうか? 

 
 「関係依存症者」と呼ばれる人がいます。
 ある種の関係(どれほど酷い関係でも)なしでは「完全」と感じられない人のことです。

 「救済者」というタイプの関係依存症者があります。
 治療が必要な人に惹かれる人たちです。
 自分がその問題を改善できると信じています。

 しかしそれは何と勝算の薄い試みでしょう。
 救済者は、パートナーの問題を解決すれば、完璧な恋人になると信じているといいます。
 そして自分は、優しく思いやりのある世話人として認められると確信しているのです。

 ボーダーの人もノン・ボーダーラインの人も、最も恐れているのは見捨てられることです。
 愛する人が自分なしではいられないと確信すると、しばしの間、この最大の恐怖を和らげられるのです。

 以下の点に思い当たる節がありつつも、自分はパートナーを変えられると信じているなら、皆さんは救済者と言えるかもしれません。

・嘘をついてでもパートナーをかばうことがある。
・返してもらえないのにパートナーにお金を貸す。
・パートナーを助け出すのが役割になっている。
・パートナーは浮気や過去について隠し事をしている。
・パートナーは自分や家族を害することに中毒になっている。
・パートナーの破壊的行動から逃れるには、警察や友人の助けが必要である。
・パートナーに治療を受けさせることで頭が一杯である。
・問題が消えれば完璧な関係になると信じている。
・仕事を探すなど、本来パートナー自身がするべきことを引き受けている。
・パートナーに充分なことをしていないという罪悪感に駆られている。
 パートナーのために自分の生活を蔑ろにすることに罪悪感がある。

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

羞恥心を探索すること

 
 次の質問を読み、最初に心に浮かんだことを書いてください。

1.これまでの人生で最も恐ろしく感じたことは--
2.これまで誰にも打ち明けられてかったことは--
3.いい子ぶるのが嫌でたまらないと思うことは--
4.人に知られたら嫌われてしまうと思うことは--
5.自分自身について嫌悪していることは--
6.人に何かを求めようとすると、こう感じる--

 以下の質問にも答えてください。

1.自分自身についてよい気分になれるときは--
2.人は自分を好いてくれると思うときは--
3.自分を誇りに思うことは--
4.人が自分を頼りに思ってくれることは--
5.自分について最も好きな点は--

 最初の質問リストに対する答えは、自分について最も屈辱的に感じていることを教えてくれるでしょう。
 2番目の質問リストは、そのような感情をどう埋め合わせているかを教えてくれます。

 第2のリストで回答に迷った人は、自分の人生で何が羞恥心の原因となっているか、セラピストと共に明確にすることをお勧めします。
 そして皆さんにとっても、お子さんにとっても、最良の決断ができるようになってください。

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

羞恥心のサイクル

 
 境界設定が難しいのは、ノン・ボーダーラインの人もボーダーの人と同じく羞恥心を持っているからです。
 羞恥心というのは、自分に良くないところがある,核となる部分に欠けたものがあるという感情です。

 ボーダーの人への不満の奥には、彼らにそのようにされても仕方がないという懸念があります。
 見捨てられ、一人残されてしまうこと、それは誰もいないより恐ろしいのです。

 羞恥心は、人を勤勉で有能にするといいます。
 有能であることによって、一時的でも羞恥心から解放されるからです。
 例えば、ボーダーの人の世話をすることが、ノン・ボーダーラインの人には"素晴らしい"ことになるのかもしれません。
 あるいは、自分の時間や願望を犠牲にすることで安堵するのかもしれません。

 このような羞恥心の束の間の解放に、皆さんは虜になります。
 そして、他の人,特に皆さんの家族によって、それが強化されるのです。
 羞恥心の発端は子供時代に遡ります。

 羞恥心を克服するためには、自分のネガティブな感情に向き合うことが必要です。
 そしてそれを表現し、それに挑戦し、今までと違った角度から自分を捉えるようにします。

 そうすることで、新たな自分のルールを作れるようになります。
 神にすがったり、自分を罰する態度へ逃げ込むことなく、羞恥心という悪魔に対峙できるようになるのです。
 羞恥心はもはや、自分のちょっとした秘密に過ぎなくなるでしょう。

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

境界を設定することへの恐れ

 
 恐れ,義務感,罪悪感、このような恐怖のために、皆さんは同じパターンから抜け出せなくなってしまいます。
 自分の欲求よりも相手の欲求を優先してしまうのです。
 でも実際は、例え皆さんのパートナーが何と言おうと、彼らの反応はあなたの責任ではありません。

 一方、助けを受けること,他者や自分の身体を傷つけないこと,自分が完璧でないと認めることは、私たちに課せられた責任です。
 皆さんが皆さん自身の人生を生きること、それは皆さんの責任なのです。

 パートナーが境界性パーソナリティ障害であるのは、彼らの責任ではありません。
 しかし、それに対して何かの手立てをすること、それは彼らの責任です。

 パートナーからどのような反応が返ってきても驚かないように、予め計画を立てておきましょう。
 皆さんはこの世で唯一無二の存在なのですから。

 *「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

人にどう扱ってほしいですか? 

 
 なぜ人からこのような酷い扱いを受けなくてはならないのか、ノン・ボーダーラインの人たちはしばしば理解できません。
 同じようなことが、皆さんの多くの人間関係でも起こっていませんか? 
 皆さんの願望に相手が合わせるより、相手の願望に皆さんが合わせていませんか? 

 そうだとしたら、皆線の境界が尊重されていないのは明らかです。
 それは、皆さんも彼らの境界を尊重していないからです。

 皆さんがどこまで相手の要求を受け入れるか、人はすぐに察知するものです。
 原稿の締め切りに甘い部署と厳しい部署では、どちらの原稿がいつも締め切りに間に合うでしょうか。

 相手が大声で怒鳴ったとき、皆さんがそれを受け入れてしまったらどうなるでしょう。
 嫌なことを要求されたとき、それを受け入れてしまったら、何を意味するでしょう。
「私には止める権利はない。
 私は犠牲になるしかない」
 実質的にはそう言っていることになるのです。

 それを変えたいと思うなら、それ相応の姿勢で臨まなければなりません。
 何は許容でき、何はできないか、はっきりと述べる必要があります。

 そして「PUVAS」と「DEAR」を用いて、あくまでそれを貫くのです。
(ジオログ3月15日~19日の記事参照)

 ボーダーの人が感情の渦に包まれているとき、理屈では絶対に勝ち目はありません。
 元来どれほど頭がいいボーダーの人であってもです。

 ボーダーの人の多くは、危機的状況にない限り、極めて論理的でいられます。
 これを「状況依存的能力」といいます。
 けれども見捨てられ不安や分離不安などにより、感情的問題が起こるのです。

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

何を求めていますか?

 
 今回から、パート3「内へ向かう段階」になります。
 

 パートナーとの関係のなかで、皆さんが何を求めているか、探検者になったつもりで明らかにしてください。
 それは無意識的なものが多いでしょうから、セラピストの助けが必要になるかもしれません。

 私たちは一体どのような人と恋に落ち、またその人と恋に落ちるのは何故なのでしょうか? 
 これは人生最大の謎のひとつです。
 何故今のような関係を持つことになったのか、その道のりを明確にし、何らかのパターンがあるかどうか、現在の関係をありのままに冷静な目で見ることが必要です。

 私たちは基本的にふたつの理由からパートナーを選ぶといいます。
 ひとつは、自分を育ててくれた人たちの肯定的な面と否定的な面の両方を、相手が持っていること。
 もうひとつは、私たちが子供の頃に奪われてしまった自分の肯定的な面と否定的な部分を、相手が補ってくれること。

 そのような最初の関係が、現在の状況に影響を与えたことは確かでしょう。
 自分や相手を責めるのではなく、何故このような関係に足を踏み入れたのか、そして何故身を引くことになったのか、当時の関係を素直に見つめることが大切です。

 ある男性の例です。
 彼は長子として生まれ、幼い弟妹の面倒を見ることで、自分の価値を認められると感じていました。
 父親はアルコール依存症だったため、一家の大黒柱になる無言のメッセージがあったかもしれません。

 その後彼は、パートナーとの出会いと別れを2回経験しましたが、そのふたりには明確なパターンが浮かび上がってきました。
 ふたりとも周囲の世話が必要な人物だったのです。

 彼らの世話をすることで、彼は自分が愛されていること、必要とされていることを実感しました。
 その関係は、共依存以外の何ものでもなかったのです。

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

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