2012年6月アーカイブ

後ろを振り返りながら、前進していく

 
 自分自身や他人を信頼できるようになるのは、すぐにできることではありません。
 新しい関係を始めていくためには、危険を冒す心の準備が必要です。

 ボーダーの人と別れてぽっかり空いた心の穴を、一刻も早く埋めなくてはという気持ちに駆られている人もいるでしょう。
 あるいは、もう二度と別の関係に乗り出すことはないだろうと思い込んでいる人もいるでしょう。
 過去の関係から引きずってきた重荷を捨てるには、セラピーも役立ちます。

 あなた自身が、相手を信頼できず試そうとしたり、見捨てられるのではないかと脅えたり、激しく怒り狂って分裂するかもしれません。
 この障害はあなたに大きな爪痕を残しています。
 癒しの時間を取ること、それが大切なのです。

 新しい人を愛するとき、その人がボーダーの人と同じ言動をすると思ってはいけません。
 元パートナーに抱いている怒りが、皆さんの今後の関係に影響しないようにしなければならないのです。

 これまで皆さんは自分を押し殺してきたかもしれません。
 しかしもうそろそろ、自分との対話を始めてみてはどうでしょう。

 皆さんは独りぼっちではありません。
 他の男性たち,女性たちが、同じ道を見事に歩んできたのです。
 皆さんにもできるはずです。

(以上)

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

BPDと離れたあとの人生

 
 全てを失ったあと、引き続き深い悲しみの時期が訪れます。
 自分自身に癒しの時間を与えることが重要です。

 イネイブラー〔*注〕の傾向がある人は、自分が救うことのできる新しい"犠牲者"を見つけてしまうかもしれません。
〔*注:イネイブリング:相手の責任の肩代わりをし、相手に責任を取らせないこと。
    相手のためと思っていることが、逆に相手の症状を持続させる。〕

 他人から必要とされていると感じることは、麻薬のようなものです。
 しかし、いま皆さんを必要としている最も重要な人物は、皆さん自身です。

 皆さんはボーダーの人に対して、はらわたが煮えくり返るような思いをしたこともあったでしょう。
 同様に、これまで全く知らなかったような情熱的な体験をしたこともあるでしょう。

 ボーダーの人から否定的なことを沢山言われて、その多くを信じるようになりませんでしたか。
 でも皆さんはこの関係を乗り越える強さがありました。
 これらの問題も克服できるはずです。

 皆さんが健全な自己感覚を取り戻すまでは、別の人との真剣なお付き合いを始めるのは賢明とは言えないでしょう。
 皆さん自身がどれほど素晴らしい人物か、もう一度再発見してください。

 自分自身や、自分の選択に確信が持てるようになるまで、心理療法が効果的だと思います。
 今までボーダーのパートナーを選んだのが1回ではない方は、子供時代の問題があるのかもしれません。

 サポートグループやインターネットから情報を得ることができます。
 自分が一人でないことを確信できるでしょう。

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

皆さんが親権を持つとき

 
 わが子をボーダーの親から過剰に守りたくても、お子さんには年相応の方法で真実を伝えてください。
 それが彼らを思いやりのある、優しい人間として育てることになります。
 お子さんは後悔や罪悪感に駆られることなく、ボーダーの親を愛することができるでしょう。

 子供が、ボーダーの行動とその人自身を区別して考えられるように助けてください。
 子供の行動化などに対しては、確固とした境界を設定するのがいいでしょう。
 子供に、自分の感情や行動の責任を取ることを教えられます。
 子供が肯定的なことをしたときに関心を示せば、それを強化することになります。

 重要なのは、一貫性があるということです。
 ボーダーの親にそれが欠けていようと、皆さんが一貫性のある愛情のこもった行動を取ることで、子供たちに愛と信頼を築くことができるでしょう。
 パートナーに関わるより、まずお子さんに心を傾けるべきなのです。

 

 お子さんがいない場合でも、確固たる個人的境界を維持することが大切です。
 皆さんが去ると決意したなら、あくまでそれを貫くことで、元パートナーも徐々に手放すことができるようになるでしょう。

 ボーダーの人からの脅迫は深刻に受け止め、適切な機関に報告してください。
 自殺や自傷の脅しや実行が増えるかもしれません。
 しかし、例え元パートナーが自分を傷つけたり命を絶ってしまったりしても、皆さんの責任ではありません。
 彼らは誰かを責めようとしたかもしれませんが、責められた人の責任ではないのです。

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

元パートナーとの共同の子育て

 
 お子さんがいる場合、学校のことや結婚式などで、元パートナーと顔を合わせることになります。
 どう対応するか、頭の中でリハーサルしておきましょう。

 ボーダーの人の「行動」と「人物」を分けて考えてください。
 お子さんにも対処の仕方を伝えておきましょう。

 お子さんが元パートナーと住んでいる場合、お子さんと連絡を続けていくのは非常に大切です。
 パートナーがそれを妨げたら、どのような障害があったか、皆さんがどれほど努力したか、記録を取ってください。
 障害が続くなら、弁護士に連絡し、話し合うことが必要です。

 生活費の支払いを命じられたら、論争などをせず支払いに応じてください。
 保健を利用できるなら、お子さんの分も補償されるようしてください。

 お子さんの教育にも関わっていくことも大切です。
 成績のコピーを見せてもらったり、学校を訪ねたり、お子さんと直接話してみてください。

 この時期はお子さんにとっても辛いものになります。
 皆さんのお子さんへの愛情が不変であることを、何度でも伝えてください。

 ボーダーの親を悪く言うことは抑えなければなりません。
 お子さんが両親のどちらかを選ばなくてはならない気持ちに追い込んでしまいます。

 ボーダーの親がお子さんに、皆さんのことを悪く言ったとしましょう。
「そのことでお前は混乱しているだろうね。
 私の考えを話してもいいかな」
 などと切り出し、元パートナーを責めることなく、お子さんを安心させてください。

 皆さんが一貫して変わらないことが、お子さんにとって重要です。
 それがお子さんとの絆を強く保つことになるでしょう。

*「愛した人がBPDだった場合のアドバイス」星和書店(ランディ・クリーガー)より

稲本

 

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