診断基準6.顕著な気分の反応による、不安定な感情
(通常は2~3時間続き、2~3日以上続くことはまれ)
大抵の人は気分が悪いと感じると、気分を良くするために何かすることができます。
ボーダーの人はそれが難しく、数時間のうちに強い怒りから抑うつ,イライラ、不安というように揺れ動きます。
それを予測できず、とても疲れてしまうのです。
診断基準8.不適切で激しい怒り.怒りを制御できない
ボーダーの人の怒りは激しく、予測不可能で、論理的に話しても抑えることができません。
またその正反対に、怒りを全く表現できない人もいます。
少しでも怒りを表したらコントロールを失ってしまうとか、相手から仕返しをされるという恐怖心を抱いているのです。
また怒りだけでなく、あらゆる感情を強く感じます。
DSMの診断基準で怒りが強調されるのは、身近な人にとって怒りが最も問題をもたらすからだと言う人がいます。
リネハンも、ボーダーの人は感情に皮膚がなく、わずかに触れただけで苦痛にもだえるのだと言っています。
ボーダーの人は次のように言います。
「親から受けていた虐待を止めるために、怒りを返すことが生き残る手段になったんだ。
みんな僕を傷つけてきたから、皆にも傷ついてほしい、怒りの最中にはそう思ってしまうんだ」
「一番気にしているのは、愛を失うこと。
追い詰められると、恐ろしくなって、怒りでそれを表現するの。
怒りは恐怖よりましよ。
自分が傷つきやすいって思わなくてすむから。
やられる前にやるだけよ。
人が不当に扱われたときに感じる本当の怒りは、全く感じないの。
感じるには自己が必要だけど、私には自己がないから」
診断基準9.一過性の妄想様観念,または重い解離症状
解離は、非現実感,違和感,感情の麻痺,感情の分離を感じるものです。
ボーダーの人は苦しい状況や感情から逃れるために、解離を起こします。
"抜け出た"ような感じから解離性同一性障害まで、様々なレベルがあります。
ストレスが多いほど、解離しやすくなります。
*「境界性パーソナリティ障害=BPD」第2版より
文責・稲本