2012年12月アーカイブ

自分自身を大切にしましょう

 
 ノン・ボーダーラインの人は、相手の問題を解決できるのは自分だけと思いがちです。
 自分が相手を変えられるという幻想は、彼ら(つまり、彼ら自身を変えられる唯一の人)から責任を奪うだけです。

 24時間、愛する人の苦痛を肩代わりすることもできますが、ボーダーの人を助けることにはなりません。
 彼らを助ける最善策は、あなたがあなた自身を大切にすることです。

○愛情を持って離れましょう
 個々人には他人の病気に責任はありません。

・他の人の行動や反応に悩まない
・他の人の回復のために、あなた自身を利用させたり虐待させたりしない
・他の人が自分でできることはしない
・危機的状況を作らない
・自然の成り行きで生じる危機を避けない

 離れることは、親切なことでも不親切なことでもありません。
 自分たちの状況を現実的・客観的に見ることができ、賢い選択ができるようになるのです。

○あなた自身の人生を取り戻しましょう
 あなた自身の幸福を早く手に入れてください。
 ボーダーの人とあなたは別の人間です。
 ボーダーの人はあなたと一時的に離れても生きていけるし、戻ってきたらあなたがまだ大切に思っていることが分かるでしょう。
 退くことが、実際には関係を築くことになるのです。

 セラピストになったり、彼らの心理分析をするのは、あなたの務めではありません。
 以下の、3つの「c」と3つの「g」を覚えてください。

・私が原因(cause)ではない
・私がコントロールする(control)ことはできない
・私が治す(cure)ことはできない
・ボーダーの人から離れよう(get off)
・ボーダーの人のやり方から抜け出よう(get out of)
・自分の人生を生きよう(get on with)

 人生を楽しんでください。
 趣味でも交遊でも、リフレッシュして視野を広めましょう。
(過食や過飲はやめてください。)

 ボーダーの人の行動は根深いものです。
 ボーダーの人が少しずつでも良い方向に進んでいるなら、褒めてあげてください。
 好ましい点があれば、評価してください。

○あなた自身のアイデンティティと自尊心を高めましょう
 非難や批判をされていると、自尊心は地に落ちるかもしれません。
 自尊心が低いために、他人に自分を利用させたり、虐待され続けたり、自分自身を傷つける人たちがいます。

 あなたの自己価値が傷ついていたら、直ちにそれを修復する手順を踏んでください。
 ボーダーの人に頼ることはしないでください。
(ボーダーの人でも、他の人に対して支持的になれる人が沢山います。)

*「境界性パーソナリティ障害=BPD」第2版(星和書店)より

文責・稲本
 

 
 ボーダーの人は世界を白か黒かで見て、スプリッティングを起こします。
 表側(理想化)と裏側(こき下ろし)がありますが、ノン・ボーダーラインの人は、自分は神でもなければ悪魔でもないと理解する必要があります。

 ボーダーの人が言う良いことを楽しめばいいですが、あまりにも早急に愛や献身を誓うときは、彼らは空想上のあなたを見ているかもしれません。
 彼らは極端に理想化したり否定的になったりするので、あなたはそれを翻訳して解釈することが重要です。

 例えば交通事故で娘を失った父親が、医師を「やぶ医者」と罵り非難しても、医師は父親の言動は状況のせいであって、自分の責任ではないと理解しています。

 またボーダーの人は、実際のでき事ではなくでき事への解釈が、あなたと全く異なった結論に達します。
 ex.
ノン・ボーダーラインの人が言ったこと
「悪いんだけど仕事で、今日の予定はキャンセルしなけりゃいけなくなったんだ」
ボーダーの人が聞こえたこと
「今夜は君と出かけたくない。もう君を愛していないんだ」

 ex.
ノン・ボーダーラインの人が言ったこと
「今日は娘が試合に勝って誇らしいよ。食事に行ってお祝いしよう」
ボーダーの人が聞いたこと
「君より娘を愛してる。彼女には才能があるけど君にはないな。僕の愛情の全てを娘に与えて、君は無視するよ」

 彼らは見捨てられることを恐れているのでしょう。
 脳内化学物質の異常かもしれません。

○ボーダーの人の行動の「引き金」と「原因」

 ボーダーの人の言動を個人的に受け取らないためには、その「原因」と「引き金」を区別することが重要です。
 あなたがボーダーの人の反応の「引き金」となっても、あなたが「原因」を作っているわけではありません。

 精神障害のある人は、時に不合理な行ないをすると分かれば、あなたのストレスや緊張は和らぐでしょう。

○サポートと確認を求めること
 ボーダーの人の家族のコミュニティに参加し、自分と同じ状況にいる人たちと交流を持つと、ボーダーの人の言動が自分たちの責任ではないことに、心から納得がいくでしょう。

○ボーダーの人の行動を個人的に受け取らない
 ボーダーの人が浮気をして、パートナーと別れるとします。
 パートナーはそれを個人的に受け取らないようにしても、気持ちは治まらないかもしれません。
 でも、物事を個人的に取らないことと、悲しみを克服することには、大きな違いがあります。

 自分にコントロールできないことで自分を責める必要はありません。
 別れるのは自分が原因ではないのです。

*「境界性パーソナリティ障害=BPD」第2版(星和書店)より

文責・稲本
 

 

 
○ボーダーの人はいつ助けを求めるか
 変化して得られるものが、変化するための障害に勝るとき、人は自分を変えようとするものです。

 ある人は、障害と生きる苦痛が、変化への恐怖よりも耐えがたいのでしょう。
 別の人は、自分の行動が子供に悪影響を及ぼしていることに気付きます。
 大切な人やものを失って、自分の中の悪魔に直面する人もいます。

 ボーダーの人の欠点を指摘したり、理屈付けをしたり、懇願しても、ボーダーの人に治療を受けさせるには逆効果です。
 大概は、あら探しや非難という結果に終わります。

 治療を受けないと、愛する人が離れるのではないかと危惧して、治療に同意することがあるかもしれません。
 しかし、どんな臨床家でも、助けを求めない人を助けることはできないのです。

○あなたにできること
 感情のジェットコースターから降りるためには、あなたが誰かを変えるという幻想を手放さなければなりません。
 この考えから開放されたとき、真に自分の力を使うことができます。
 あなた自身を変える力です。

 岸壁で光を放つ灯台と同じです。
 船は灯台の案内に従うこともできるし、無視して進むこともできます。
 船の運命は船が握っており、灯台の責任ではありません。
 灯台は灯台のベストを尽くすだけなのです。

*「境界性パーソナリティ障害=BPD」第2版(星和書店)より

文責・稲本
 

自分自身を変化させること

 
 パソコンの不具合により、記事の掲載が中断してしまっていました。
 本日から「境界性パーソナリティ障害=BPD(第2版)」の、第Ⅱ部「自分自身の人生のコントロールを取り戻すこと」の内容紹介をします。
 

●ボーダーの人に治療を強要することはできません

 あなたには、あなた自身の考えや感情を持つ権利があります。
 良くても悪くても、正しくても間違っていてもです。

 そして、他の人たちも皆、自分の考えや感情を持つ権利があるのです。
 お互い相手に同意しないかもしれませんが、それで良いのです。

 あなたには、愛する人の行動をコントロールすることはできません。
 それはあなたの役目ではないのです。

 以下があなたのすべきことです。
・自分自身を知る
・自分の価値観と信念に基づいて行動する
・自分が何を必要としているか、周りの人に伝える

○ボーダーの人の否認の理由
 ボーダーの人にとって、自分が不完全だと認めるのは、恥と自己不信のラセンに陥れます。
 存在が消滅するような恐怖です。

 それを避けるためにボーダーの人は、強力な防衛機制を用います。
 自分にはおかしな所などないという、否認です。
 自分を失うくらいなら、家族などを失うほうがましかもしれません。
(それを理解すれば、助けを求めるボーダーの人の勇気を心から尊重できるでしょう。)

 変化や未知に対する恐怖は、抵抗しがたいものです。
 そのため否認は極端に強力になります。

(次の記事に続く)

*「境界性パーソナリティ障害=BPD」第2版(星和書店)より

文責・稲本
 

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