家族の皆様へ
この度は家族の皆様に定例会前後にお配りした
アンケートに基づきBPD家族に関する調査がなされ
発表されました。
これまで統合失調症のご家族の調査は
行われてきたようですが、BPD(家族)の調査
発表が行われたのは(初)だったようです。
半年前から大会の為に準備をしてきましたが
努力の結果がこのような形で終えることができ
報われた気が致します。
この後、厚労省に調査結果を提出し、
今後の学会などで家族の苦労について伝えて下さると
林直樹先生・松本俊彦先生が約束してくださいました。
こうした活動をが「BPD」に関するアンチスティグマ(偏見)
を取り除き、より安心してBPD患者が治療を受け、
地域社会資源である保健福祉によるサービスが受けられることを
願ってやみません。
そのような貴重なアンケートにお答えくださった皆様に
心から感謝を申し上げます。
また、発表日は13日だったのですが、速達で郵送してくださり
13日の午前中に届いたアンケートが8件!
このデータもちゃんと集計に登録いたしました!
林先生も感動しており、
「とても、とても貴重なデータです!
協力頂いて本当にありがたいことです。
この皆様のアンケートを決して無駄にはしません!」
とおっしゃって下さいました。
150部配布し、80名の方の返却がありました。
これら80名の方々の回答を集計しました。
(今後もこのアンケートを学会で発表してくださるそうなので
まだ回答を返却されていない方は、アンケートを送って下されば
集計に付け加えるということでした。実は、集計数が多ければ
多いほど力があるそうです。皆様のご協力を引き続きお願い致します)
このアンケートを通して実はいろんなことが見えてきました。
この調査結果をお伝えする機会があったら是非お知らせしたいと
思いますが、一つだけ皆様にとっては重要な情報源となるとおもったので
お知らせしますね。
それは、「境界性パーソナリティ障害と向合う
家族の健康状態」
非常に悪い!
という結果がでました。
平均が6・9点、気分・不安障害を疑うべき域値は、4~5以上と
言われているのですが、BPD家族の72%、65%に気分・不安障害
が疑われるということが分かりました。
これはかなりの値であり、ほとんどの方が不安障害をもっている
ということでした。
何故、重要な情報源になるかと言うと
この健康状態では、BPDを看るどころではないと
いうことで、ご自身の健康管理をしなければ
BPDと向合うことは難しということでした。
つまり、子供が恐ろしくて身動きとれない!
こんなに指導やアドバイスを受けているのに
できない自分が情けなくてしょうがない・・・
と感じている方は「できなくてあたりまえ」ということでした。
なぜなら
それは親が怠けているとか、自分に能力がないとかではなく
実はうつ病が隠れているかもしれないということでした。
隠れて「うつ」を放置し、落ち込み、頑張る、落ち込み、頑張る
を繰り返してゆくと、うつが悪化してなかなか完治しにくい状態に
なってしまいます。
夜眠れない・体が常にだるい・こともやパートナーから怒鳴られた時
体が震え固まってしまう、涙が止まらない、食欲がない、
外に出ることができないなど
不自然な症状が出ていたら迷わず
すぐに心療内科を受診して下さいということでした。
林先生とお別れする間際に
「子供どころではありません。
まずは、自分の身体を大切に!
早く受診するようにお伝え下さい!」
ということでした。
また、健康状態を管理する対処法のアンケート調査結果では
他のことに集中すること、優しい対応・他の人に相談することが
もっとも効果の高いものでした。
アンケート調査のまとめ
●家族から見たBPD当事者
受信・治療継続は、統合失調症より若干悪い。
就労率・家族との別居の比率が高く、自立能力があると
推定されるが、外に出るぶんだけ対人関係の問題が生じるため
問題も多発する(追記)
転医が多い。良い関係が当事者・家族と医療機関との間で形成され難い。
●BPD家族の苦境と対処法
(対処するのはこどもではなく
自分自身を対処することなのでお間違えなく)
緊迫した事態が生じやすいなど労苦が多い。
健康状態(GHQ12)が悪い!
対処法でよく行われるのは、他のことに集中すること。
優しい対応。有効率が高い対処法は、他の事に集中すること。
他者に相談すること。以上となります。
(都立松沢病院精神科・林直樹)
この調査結果から、これまで家族会でも「ご自身を大切」に
することを伝えてきましたが、多くの方々は子供が大変な状態なのに
自分を大切にすることなんて、とてもできないとおっしゃる方が
結構いらっしゃいましたので、
この結果をよく考慮してご自身を大切にすることや周囲にSOSを
投げかけることができるように意識されてくださいね。
BPD家族会代表 奥野栄子