自分の境界を、ボーダーの人に伝える番です。
彼らのあなたに対する行動が、友人の前や公共の場などでは違っているとしたら、他の状況でもコントロールできるはずです。
彼らが行動を変化させるのには、助けが必要でしょう。
ただし境界を守るのを決めるのは彼ら自身です。
また、彼らに行動の変化は求めるられますが、どう感じるべきか押しつけることはできません。
「怒鳴るな」とは言えても、「怒るな」とは言えないのです。
私たちは不可能なことをしたがります。
相手の反応をコントロールしたがるのです。
変化したがるだけでなく、変化を相手にも気に入ってほしいと思います。
うまく自己主張したいと同時に、称賛や強化を得たいと思うのです。
○境界を伝える
あなたとボーダーの人が落ち着いていて、元気なときにするのがよいでしょう。
うまくいっているときには、ノン・ボーダーラインの人も気分を台無しにしたくないので、問題を取り上げたがらないかもしれません。
その気持ちに打ち勝つべきかもしれません。
コミュニケーションの方法として、「DEAR」というものがあります。
Describe(描写),Express(表現),Assert(主張),Reinforce(強化)の頭文字です。
《描写すること(Describe)》
状況(でき事)を客観的に、はっきり描写してください。
判断を加えたり、どう感じたかを述べることなく。
ビデオカメラのつもりになるとよいかもしれません。
《表現すること(Express)》
あなたの気持ちや意見を明確に表現してください。
自分の感情には責任を持ちましょう。
「あなたのせいでこんな気持ちになった」とは言わず、「私はこう感じた」と言ってください。
前もって考えておくといいかもしれません。
あなたが怒っていると、ボーダーの人は自分が愛されていることが理解できません。
彼らを大切に思っていることを、気付かせてあげてください。
《主張すること(Assert)》
簡潔に、境界を主張してください。
それが正しく、常識的で「そうすべき」だからではなく、あなたがそうしたいのだということを説明しましょう。
正当化したり、長々と説明したり、議論しようとしないでください。
「あなたの言うことは分かる。
でも私の見方は違う。
そのような振る舞いをやめてほしい」
というメッセージを繰り返し伝えてください。
《強化すること(Reinforce)》
境界から得られる利点を強化してください。
プラスの効果について説明しましょう。
相手をコントロールしようとして、彼らに恐怖感を与えないでください。
相手に反抗しているのではなく、自分のために行動していることをはっきりさせてください。
自分がどうしたいかを主張し、良い結果になる可能性(例.楽しく過ごせる)を強化します。
(次の記事に続く)
*「境界性パーソナリティ障害=BPD」第2版(星和書店)より
文責・稲本