2013年6月アーカイブ

いま決断すること(4)

 
○選択の余地のない関係
 ボーダーの人の親,子供,兄弟姉妹がいる場合などは、決めるべきなのは、境界を設定して守ること,自分が押しつぶされないようにすることです。
 その人とどれだけ接するか、どれだけエネルギーを費やすかなどに、境界を設けることができます。

 一貫した手本と、ボーダーの人の行動に対する一貫した反応を示し、境界を強化してください。
 関係が大きな苦痛をもたらし、相手に変化する気がないなら、一時的または永久に関係を絶つ選択肢もあります。

 ex.
 私はボーダーの息子のことに集中しすぎて、自分や夫や娘のことを見失っていた。
 私は、息子が引き起こす混沌から身を引かなければならなかったの。

 息子にはこの境界が不服だったみたいで、3年も連絡を絶ったの。
 でも彼も、境界があっても何の関係もないよりましだって思ったみたい。
 今はちょっと不自然だけど、何とかやっていけるの。

 彼は私たちなしでも生きていけるって学んだ。
 私も、息子を変えることはできないって認められるようになったの。

○癒しと希望
 あなたが何を決断しようと、そこには希望と癒しがあります。
 ひとつの関係が終わる際の癒し、愛する人がBPDから回復する希望です。

 ex.
 ボーダーの夫と離婚して10年、私は自分自身について沢山学んだ。
 それまで避けてきたことや、認めようとしなかったことを。
 前より意識的に生きてるわ。

 彼を責めても意味がないし、状況が良くなるわけじゃない。
 彼は私を傷つけた以上に、彼自身を傷つけてたのよ。
 彼が感じていた孤独,恐怖、それが彼に対する私の怒りを鎮めてくれるの。

 私は彼を見捨てた。酷い罪悪感を感じていたわ。
 でもそれを手放さなくてはならなかった。
 私は彼を助けられなかったけど、自分を破滅させることもできなかったのよ。

*「境界性パーソナリティ障害=BPD」第2版(星和書店)より

文責・稲本
 

いま決断すること(3)

 
○子供が巻き込まれたら
 自分が不幸でも子供のためには一緒にいるべきでしょうか? 
 しかし、不幸な親と妄想的な親に挟まれているよりは、一人の幸せな親と暮らしたほうがずっとましです。

 子供にとって解決不能な葛藤や、言葉の暴力,虐待にさらされることのほうが、離婚よりも悪影響です。

○選択した関係
 選択した関係ならば、ボーダーの人が本気で回復を約束した時、ノン・ボーダーの人は喜んで彼らを支えます。
 ボーダーの人が責任を取らない場合は、ノン・ボーダーの人がどんなに頑張っても、結局その関係は終わってしまいます。

 幾つかの例を紹介します。
 ex.
 彼女は僕が愛している女性で、たまたま精神疾患を持っていただけなんだ。
 治療を受けたり入院したりして、彼女との関係はもっと親密なものになったよ。
 彼女に誠意を尽くしたご褒美は素晴らしいものだ。
 恋に落ちた時と全く同じ明るさ,情熱,美しさなんだ。
 BPDの恐怖や混乱は消え去っていた。
 彼女も僕も成長したんだ。

 ex.
 彼とは何度も別れたけど、彼が謝って、どう変わるか言ってくれたら、元に戻るの。
 彼は親切だしかっこいいし、気前もいい。
 怒りを爆発させたり、暴力を振るったりしない。
 自分の行動を改めようと真面目に合張ってる。
 リスクも承知だけど、彼を愛しているし、彼との人生を楽しもうと思ってるの。

 ex.
 コミュニケーションする努力は私の仕事だった。
 境界線を引くのも、病気を理解するのも私。
 でも片方の人が何でもする関係なんて、そんなのありかしら? 
 勇気が要ったけど、私は切ったの。
 彼の苦悩は彼に返してあげた。
 そんなことができる力が私にあったなんて思ってなかった。
 でも私が自分の気持ちを取り戻したって、全然問題ないんだわ。
 誰にでもこういう選択の自由があるのよ。

*「境界性パーソナリティ障害=BPD」第2版(星和書店)より

文責・稲本
 

いま決断すること(2)

(前の記事からの続き)
 
4.決定段階
 相手との関係について、何らかの決断を下そうと悩みます。
 何ヶ月、何年も続くかもしれません。

 自分自身の価値観,信念,期待,思い込みなどをはっきり理解する必要があります。
 例えば、離婚に反対する保守的な家系の出身のために、暴力を振るう妻と別れずにいるのかどうか? 
 他人のものではなく、自分自身の価値観で行動することが大切です。

5.決定期
 決意を実行に移します。
 時間をかけ、何度も迷い、別の選択を模索す人もいます。
○白か黒かではない関係
 白か黒かだけではなく、沢山の選択肢があります。

・ボーダーの人が境界を侵したときは、一時的にその場を離れる
・関係をしばらく絶つ(数日~数ヶ月)
・ボーダーの人の行動を個人的に受け取らない
(相手が私だからやっているのだと受け取らない)
・関係は続けるが、別々に住む
・親密度を弱める
・一緒に過ごす時間を減らす
・趣味や友だち付き合いなどに、バランスよく時間を使う
・ボーダーの人が治療を受け、変化しようとする場合だけ、関係を続けると伝える
 彼らに約束を守らせ、破ったら去る
・あなた自身がセラピーを受け、問題が解決するまで、決定を先延ばしにする

○自分自身への問い
 パートナーとの関係について、自分自身に問うべき質問があります。

・この関係から何を得たいか,何を必要としているか
・自分の感情をさらけ出せるか
・身体的な危険はないか
・子供にどんな影響があるか
・自尊心に影響を与えているか
・ボーダーの人と同じくらい、自分自身を愛しているか
・ボーダーの人が変化する用意ができたときだけ、受け入れているか
 変化がなくてもやっていけるか
・お金など、実際的な問題は何か
・自分が幸せになる権利があると思っているか
・人の犠牲になるときだけ、自分に価値があると思っているか
・最も気が休まるのはいつか
(その人といる時か,一人の時か,他の人といる時か)
・家族たちに逆らっても、自分の決定をできるか
・本当に自分自身で決断しているか,人がしてほしいことをしているだけか
・自分の決定の法的な結果はどうか
・私が友人の立場だったら、どうアドバイスするか

*「境界性パーソナリティ障害=BPD」第2版(星和書店)より

文責・稲本
 

いま決断すること(1)

 
 ノン・ボーダーの人は、ボーダーの人との関係をとても続けられないと思いながら、去ることは想像ができないし、不可能のようです。
 ノン・ボーダーの人は皆、同じ気持ちを抱いています。
 今は見えていなくても、あなたには選択の自由があります。

○ノン・ボーダーの人が経験する5つの段階
 一般的に次の段階を順に経験するでしょう。
 大抵は行きつ戻りつします。

1.混乱段階
 ボーダーの人の行動の理由を理解しようと苦しみます。
 見込みのない解決策を探したり、自分を責めたり、混沌の中で生きようとしたりします。

 BPDの知識を得ても、知的なレベルで本当に理解するには何週間も何ヶ月もかかるでしょう。
 感情的なレベルで理解するにはもっと長い時間が必要です。

2.外向段階
・注意をボーダーの人に向ける
・ボーダーの人に専門的な援助を受けるよう迫ったり、彼らを変化させようとする
・問題行動を誘発しないよう全力を尽くす
・ボーダーの人を理解したり、共感しようとするうち、学ぶことは全て学ぶ

 ノン・ボーダーの人が怒りや悲しみを理解するには、長い時間がかかります。
 特に、親や子供がBPDの場合はそうです。
 障害は本人の責任ではないと頭では理解していても。

 自分の怒りを抑圧し、代わりに抑うつや無力感や罪悪感を抱きます。
 この段階で必要なのは以下のことです。
・自分の感情を認め、対処する
・ボーダーの人に自分の行動の責任を持たせる
・彼らが望み通りになる幻想を捨てる

3.内向段階
 ノン・ボーダーの人は内面に目を向け、正直に自分を見つめようとします。
 この段階の目標は、二人の関係で自分が果たしてきた役割を、より深く理解することです。
 自己批判でなく、洞察と自己発見です。

(次の記事に続く)

*「境界性パーソナリティ障害=BPD」第2版(星和書店)より

文責・稲本
 

事実ねじ曲げ作戦との戦い(3)

 
(前の記事からの続き)

 子供から不当な告発を受けたときのアドバイスです。

・子供の診断や行動の記録を残しておく。
・あなた自身の行動も記録しておく。
 アリバイになるかもしれません。
・他の子供たちが、あなたの無実を証言する気があるか訪ねておく。
・ボーダーの子供と会うときは、必要なら第三者を同席させる。
・告発を深刻に受け止める。
 雪だるま式にコントロールが及ばなくなります。

《防衛的にならず、質問に答える》
 虐待に関する児童相談所などの調査は、詰問のように感じるかもしれませんが、明白な証拠でなければ告訴にはなりません。
 防衛的で非協力的な態度は不利益になります。
 子供を愛していると伝え、法的な質問には正直に答える必要があります。

 批難されるべきは子供ではなく病気です。
 本当の敵は以下のことです。

・否認:すぐに解決するだろうと期待して何もしない
・希望的観測:ボーダーの人が心を入れ替えると思い込む
・感情的になる:理にかなった解決でなく、感情的に反応する
・殉死:自分が傷ついても、ボーダーの人を傷つけられないと思う
・孤立:自分だけで問題を解決しようとする
・法的手続の遅れ:危機的状況になるまで弁護士を雇わない

 真実はおのずと明らかになり、嘘も最後は暴かれます。
 適切に行動することで、その日が来るのを早められます。

*「境界性パーソナリティ障害=BPD」第2版(星和書店)より

文責・稲本
 

事実ねじ曲げ作戦との戦い(2)

 
(前の記事からの続き)

○ボーダーの子供から、いわれのない虐待の告発を受けたら
 子供が不当に親を虐待で訴えることがあります。
 その理由としては、主観的な被害への復讐,不公平に扱われたことへの仕返し,両親の信頼関係を引き裂こうとする試みなどです。

《不当な告発への対処》
 訴えられた親は多くの場合、子供や家族から離れて暮らすよう、裁判所から命じられます。
 子供と暮らすことになる他方の親は、子供と配偶者の双方を支え、誠意を保とうとする葛藤を抱えます。
 他の家族や友人なども、子供と親のどちらに誠意を示すか、窮地に陥るでしょう。

 子供から不当な告発を受けたときのアドバイスです。

・子供の診断や行動の記録を残しておく。
・あなた自身の行動も記録しておく。
 アリバイになるかもしれません。
・他の子供たちが、あなたの無実を証言する気があるか訪ねておく。
・ボーダーの子供と会うときは、必要なら第三者を同席させる。
・告発を深刻に受け止める。
 雪だるま式にコントロールが及ばなくなります。

《防衛的にならず、質問に答える》
 虐待に関する児童相談所などの調査は、詰問のように感じるかもしれませんが、明白な証拠でなければ告訴にはなりません。
 防衛的で非協力的な態度は不利益になります。
 子供を愛していると伝え、法的な質問には正直に答える必要があります。

 批難されるべきは子供ではなく病気です。
 本当の敵は以下のことです。

・否認:すぐに解決するだろうと期待して何もしない
・希望的観測:ボーダーの人が心を入れ替えると思い込む
・感情的になる:理にかなった解決でなく、感情的に反応する
・殉死:自分が傷ついても、ボーダーの人を傷つけられないと思う
・孤立:自分だけで問題を解決しようとする
・法的手続の遅れ:危機的状況になるまで弁護士を雇わない

 真実はおのずと明らかになり、嘘も最後は暴かれます。
 適切に行動することで、その日が来るのを早められます。

(次の記事に続く)

*「境界性パーソナリティ障害=BPD」第2版(星和書店)より

文責・稲本
 

事実ねじ曲げ作戦との戦い(1)

 
 ボーダーの人はそれぞれ独自の存在で、対応の仕方も異なります。
 行動を起こす前に、状況を理解しているメンタルヘルスの専門家に相談してください。

 境界性パーソナリティ障害が精神疾患であることを認識してください。
 彼らは細やかな心遣いと敬意をもって扱われるべきなのです。
 怒りや仕返しで彼らを傷つけないでください。

○攻撃されにくくすること
 事実ねじ曲げ作戦に対処する最善の方法は、予防です。
 事前に対策を講じて、自分を守りましょう。

 事実ねじ曲げ作戦は仕返しの場合と、理由が見当たらない場合があります。
 以下の手順を踏んでください。

・ボーダーの人を巻き込む行動を自分がしていないか,ボーダーの人がどんな反応を示すか、考えてください。
・あなた自身の、攻撃に弱いところはどこでしょう? 
 最悪の事態に備えつつ、最善を期してください。
・計画を立てて実行してください。

○反応しないという手
 反応することがボーダーの人の行動化を長引かせることがあります。
 あなたを彼らの下に引き留めるためかもしれません。
 感情的な反応は彼らの行動へのご褒美になってしまいます。

 相手の行動の短期的結果と長期的結果を考えてください。
 結果が無意味だったり、あなたを困らせるだけのものならば、放っておくのが一番よいかもしれません。

○言いがかりについて人と話すとき
 ボーダーの人はあなたに関するデマを言いふらすかもしれません。
 それに対してどうしたいのか自問してみてください。
 身の潔白を証明したいのか、友情関係が失われないようにしたいのか。

 さほど大きな問題を起こさないとしたら、彼らの嘘が嘘だと分かるようにするのが一番いいでしょう。
 しかし、周りが嘘を信じる重大な状況になっていたら、誤解を解く必要があります。

・腹が立っても、落ち着いて、自制心を保って行動する。
・相手が噂を本当だと思っているなら、深刻な事態だと伝える。
・ボーダーの人をけなさない。
 ボーダーの人を心配していることを伝え、嘘の理由が分からず混乱していると認める。
 心理的問題について議論すると、誤解されたり、ボーダーの人をけなすように思われる。
・人があなたをどう思うかコントロールできないと認識する。
 言うべきことは言い、あとは放っておく。

(次の記事に続く)

*「境界性パーソナリティ障害=BPD」第2版(星和書店)より

文責・稲本
 

事実をねじ曲げる作戦(2)

 
(前の記事からの続き)

○アイデンティティと攻撃性
 妻や母親としてのアイデンティティを失ったと感じると、空虚感,無力感,存在の無意味さ,生きていけないという思いを抱くかもしれません。

 そのため、決して屈しないという偽りの姿を身にまとい、自分の一部を失うまいと、闘うようになると考えられます。
 相手にしがみついたり、喧嘩としがみつきを繰り返す場合もあるでしょう。
 自分を被害者だと見なすと、事実ねじ曲げ作戦がアイデンティティになるのかもしれません。

○恥辱と批難
 無能感,不全感,羞恥心,屈辱感,低い自己評価などを持つボーダーの人は、完璧さのマスクをかぶって、それを覆い隠そうとするでしょう。
 極端な自己不全感のために、彼らは相手のほうが無能で無責任だと立証することで、自分への批難を免れようとするのかもしれません。

 配偶者に去られることを破滅的な攻撃だとみなすと、ボーダーの人はそれを裏切り,利己的な好意,陰謀などに見立て、妄想的な考えを膨らませるかもしれません。
 裏切られた側は仕返しを企て、それに取りつかれるかもしれません。
 相手が危険で攻撃的だとみなされると、不当な扱いを受けたのだから報復してもよいと考えます。
 "やられる前にやれ"という、先制攻撃をしかけることもあります。

●自分の危険度を調べる
 事実ねじ曲げ作戦には幾つかの共通点があります。

・人に裏切られたと主張し、仕返ししようとする。
・感情的なストレスがかかったり、ノン・ボーダーの人と二人だけになると、現実との接点を失い、妄想的になる。
・被害者であるノン・ボーダーの人は、自分がボーダーの人を保護すべきと思っている。
 そして自分の利益を計れなくなっている。

 ボーダーの人はスプリッティングのせいで、ノン・ボーダーの人に対してプラスの感情を思い出せないかもしれません。
 ノン・ボーダーの人を極悪非道人とみなすことに、早く気付くいて、事実ねじ曲げ作戦を切り抜けましょう。

*「境界性パーソナリティ障害=BPD」第2版(星和書店)より

文責・稲本
 

事実をねじ曲げる作戦(1)

 
 ボーダーの人の中にはノン・ボーダーの人に対して、いわれない批難をしたり、屈辱的な噂を立てたり、正当な理由もなく法的措置に訴える人がいます。
 これを、事実ねじ曲げ作戦と呼んでいます。
 お金を盗まれたとか、暴力を振るわれたとか言いふらしたり、脅迫状を捏造して法廷に持ち込む人もいます。

 しかし、多くのボーダーの人はそのようなことはしません。
 精神疾患を持っていてもいなくても、間違った主張をする可能性があるでしょう。
 ただ、いわれなく批難されるノン・ボーダーの人を理解する必要があります。

●事実ねじ曲げ作戦の動機

○見捨てられることと怒り
 BPDが根本的に風変わりな行動を起こすわけではありません。
 ボーダーの人も他の人と全く同じで、ただちょっと極端なだけなのです。

 人は誰でも喪失感や拒絶された思いを経験します。
 事実ねじ曲げ作戦には、見捨てられ感や喪失,拒絶という、ボーダーの人にとって恐ろしい問題があるようです。

 愛する人に縁を切られると、自尊心を傷つけられたと感じるかもしれません。
 喪失感がはっきりしない場合もあります。

 愛する人や、夢や希望を失うと、不安や悲しみ,見捨てられて孤独になる恐れなどが強烈に呼び起こされます。
 それを認識するのが難しい人は、悲しみや怒りに蓋をし、相手を終わりのない論争に巻き込んで、別れを回避しようとします。
 喧嘩は否定的なものとはいえ、相手との接触を保つ方法です。

 喧嘩の最中でも、彼らは仲直りできるのではないかという幻想を抱いています。
 過去の喪失体験から受けた、未解決のトラウマにも反応しているかもしれません。

(次の記事に続く)

*「境界性パーソナリティ障害=BPD」第2版(星和書店)より

文責・稲本
 

ノン・ボーダーの親の役割(2)

 
(前の日記からの続き)

4.適切な環境を提供すること
 ボーダーの子供には構造化と一貫性が必要です。

・手順を決めておくこと
 構造化とは、物事が常に決められていることです。
 ボーダーの子供たちは、スケジュールが決まっているとうまくやっていけます。

 予期しないことが起こると、どう感じてどう行動すればよいか分からなくなってしまうのです。
 よくある結末は怒りの爆発です。

・結果を決めておくこと
 構造化をする際は、責任に見合ったことをしないとどうなるか、子供に分からせるようにしてください。
 年令に応じて、自らの失敗から学ばせることがとても重要です。

 衝動的な行動の結果に苦しんでいる子供の姿を見るのは辛いでしょうが、長い目で見れば、自分をコントロールすることを学ばなければ、子供はもっと苦しむことになるのです。

・一貫性
 一貫性とは、子供にいつでも自分の行動の責任を持たせることです。
 ボーダーの子供は、一貫性のない行動がすぐ惨事となる可能性があるのです。

《子供のために診断を得ること》
 青年期の外に向かっての行動化と、BPDの行動を区別するのは難しい場合もあります。
 行動の原因に目を向けてください。
 根深い苦悩,空虚感,自己嫌悪,見捨てられ不安に対処するため、激怒したりして行動化します。


 子供の行動はBPDが原因だというのを忘れないことです。
 子供を愛し、病気を憎んでください。

 ボーダーの子供を持つというのは、素晴らしい瞬間もあります。
 子供たちが両親の愛情に気付き、受け入れるという最も重要な段階に達した時には、それはとても強力で素敵な、貴重な体験となるのです。

*「境界性パーソナリティ障害=BPD」第2版(星和書店)より

文責・稲本
 

ノン・ボーダーの親の役割(1)

 
1.家族の安全を守ること
 ボーダーの子供の要求と他の家族の要求との間でバランスを取るのは、非常に難しいことですが、家族の安全を守るのは最も重要です。

2.自分自身を大切にすること
 感情的にも肉体的にも疲れ果てた親には、子供を健全に養育することはできません。
 自分を、子供の親としてだけでなく、一人の人間として考えてください。

 夫婦二人が平等に養育を分かち合ってください。
 夫婦が時々役割を交代させてもよいでしょう。
 重要なのは孤立しないことです。

 ボーダーの子供を持つことで友人を失うかもしれません。
 あなたの言葉に耳を傾けてくれる人を探してください。
 問題を解決してもらう必要はないのです。

3.子供の医学的治療に責任を持つこと
 子供の治療の最高責任者は自分だと思ってください。
 あなたが最も子供を心配しているのであり、最終的に子供に責任があるのです。

・注意深く記録を取る
 子供の行動や気分変動,色々な機関との接触について記録を付けておいてください。
 薬品名,服薬量,受診日時,関係者との会話など、2~3の簡単な言葉でもよいのです。
 医師が診断する際にも役立つかもしれません。

・治療提供者と共に取り組む
 心を開いて臨床家の言うことに耳を傾けましょう。
 ただし、あなたの心の声には注意を払ってください。
 必要があれば自分の考えを述べてください。
 最後に決定するのはあなたです。

 臨床家が、証拠もないのにあなたの育て方が悪いと責めるなら、専門家を変えましょう。

・制度に対処する
 色々な機関と渡り合うのは、ボーダーの子供に対処するのと同じくらい大変な仕事です。
 子供の権利を擁護する時、あなたは思ってもみなかったような自分の強さに気付くでしょう。

(次の記事に続く)

*「境界性パーソナリティ障害=BPD」第2版(星和書店)より

文責・稲本
 

兄弟や家族への影響

 
 家族や親戚のなかには、家系に精神疾患を抱えた者がいるのを認めたがらない人もいます。
 しかしあなたがBPDの診断を信じ、そこから進もうとしていることを、家族は尊重すべきです。

 ボーダーの子供は話をでっちあげ、周りの人は酷い話を信じるかもしれません。
 でも他人がどう思おうと本当の私達に影響はない、と自分に言い続けることも必要です。

 治療のためにお金がかかり、他の兄弟はボーダーの子供を助けるために、色々なものを諦めなければならないかもしれません。
 問題を抱えた子の兄弟は親の愛情に飢えており、破壊的な行動で助けを求めて泣き叫びます。

 ボーダーの子供は人の境界を尊重することができません。
 兄弟への侵入は巧妙で、最悪の場合は身体的虐待に進むかもしれません。
 友人や家族に援助してもらい、他の兄弟にも彼らに必要な時間や関心を与えてください。

 子供たちには隠し事をしないでください。
 ボーダーの子供は自分をコントロールできないのだと説明しましょう。
 兄弟たちが持つ怒りや憎しみも、正常な感情だと説明してください。
 その子たちにとって安全な場所があることを確認しておきます。

 ボーダーの子供のある姉は、次のように語っています。
「母の関心を得るために、私はずっと闘わなきゃいけないの? 
 妹の自殺がうまくいけばいいって思った。
 でも落ち着いたら、うんざりするくらい罪悪感を感じるの。

 将来や家族のことが心配。
 私の結婚式で妹が急に癇癪を起こすんじゃないか,夫になる人は妹をどう思うか,子供ができたら妹はどんな叔母になるか,私の子も恐ろしい病気になるかもしれないって。」

*「境界性パーソナリティ障害=BPD」第2版(星和書店)より

文責・稲本
 

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