反復トレーニングの<場>としての家族面接
ここからは、治療をどのように始めたらよいか説明していきます。治療の始め方について、詳細に説明する理由は以下の通りです。
- 「BPDを治療する場合、治療をどのような形で始めるかは、治療の成否を左右するほど重要なこと」
- BPDの治療には家族面接を継続的におこなうことが必要不可欠(しかし、カウンセリングとしての家族療法ではない)→手間の割にはメリットが少ない
黒田先生が述べられている「家族面接」とは、BPD当事者との間で通常の対話関係を成立させることを目的とした反復練習やトレーニングとして行われることを指します。家族と共に反復練習やトレーニングの場を作り上げていくための準備と考えてください。
次回以降では、家族面接の導入法及び治療プロセスの中で家族を傷つけない重要性や、自宅を治療者の指導のもと適切な治療環境への作り替え方、「何が原因でBPDに罹ったのか」という問題の取り扱い、「治療に伴う苦痛やストレス」についてBPD当事者や家族にしっかり説明しておくことの重要性についても触れていきます。
引用・参考文献:
「治療者と家族のための境界性パーソナリティ障害治療ガイド」 黒田章史著 岩崎学術出版社 2014年3月10日