2016年3月アーカイブ

理解されにくい障害

パーソナリティ障害は、当事者自身も自覚しにくく、周囲の人達にも気づかれにくい障害です。多くの当事者達は医療機関を受診する機会もなく、社会生活の中で苦しんでいると考えられます。

 

  • 障害として自覚されない

 パーソナリティ障害は、当事者自身にも周囲の人達にも気づかれにくい障害です。

人は、健常者であっても、自身の性格傾向や偏りのすべてがわかっている訳ではありません。パーソナリティ障害の当事者と同じく、パーソナリティを正しく理解していない場合がほとんどです。

 自身の正確に偏りがあるとは考えてもいませんから、障害などという意識ははとても持てないでしょう。自身はごく普通に考え、振る舞っているつもりでも、なぜか、他者との関係に軋轢が生じたり、虐げられたりと不条理を感じることがよく起こってしまうのです。

 

  • 周囲が気づかないことも

 周囲の人々はこの人がパーソナリティ障害かもとは、中々気づかれにくいでしょう。こちらもこの障害の特徴なのです。また、明らかにおかしな言動が表だって出てくることが少ないのも特徴です。なぜならパーソナリティ障害の当事者は、初対面の相手に自身のパーソナリティをさらすことはないからです。彼らは、自分にとって特別な人にのみ自身のパーソナリティをさらします。ですから、特別な存在でない人々には、当事者が普通の人のように見えるので、彼らのパーソナリティの偏りや問題行動に理解が及ぶことはないのです。

 

  • 苦痛な症状があって受診する

 当事者自身に病識がなく、周囲の人々にも気づかれない場合、医療機関を受診することは中々ありません。パーソナリティ障害の当事者が受診するケースには、主に2つあります。

過食、リストカット、アルコール依存や薬物乱用などの衝動行為がみられるようになり、家族や職場の上司などが医療機関につれてこられた場合

当事者自身が、人間関係や社会生活が上手くいかないことに悩み、抑うつ症状や体調不良を訴えるといった、心身に何らかの異常をきたす場合

大抵の場合、当事者自身も周囲の人々も、人間関係や社会生活が上手くいかないことに気づいていたとしても、その人のパーソナリティが原因であるとは考えないでしょう。ですから、医療機関で診断・治療する必要がある障害だと人々は中々考えられないのです。結果的に、当事者や周囲の人々が苦しみながらも解決策が見つからず、今の生活を送り続けている場合がほとんどなのです。

 

 

 引用・参考文献:
「図解 やさしくわかるパーソナリティ障害」 牛島定信著 ナツメ社 2012110

 

文責:吉本

今年から、2つのクラスがもうけられます(基礎クラスと実践クラス)
基礎クラスにご参加いただかないと、実践クラスに参加できませんので
必ず基礎クラスを受講してください。

基礎クラス
 これまで、継続的に学びを深める家族と、単発講座のみ参加し学びを
 中断してしまうご家族がいるため、BPDに関する知識や理解や認識に
 バラツキが生じていました。
 
 BPDと上手に対応できるようになるためには、医療だけに頼るだけでは
 回復・寛解が困難で
 家族なりの対応の工夫がどうしても必要となります。
(これまで、医療につながることで家族に必要な学びを中断してしまい、
 結果的に症状が長引いてしまうという多くの報告が届いています
 
 家族会は、ご家族の皆さんに継続的な学びをしていただき
 力を付けてもらいたいと考えています。
 
 基礎クラスでは
 最新のBPDの知識について・医療の繋がり方について、
 専門家の見解について、ご家族の対応について、共通の理解をして
 いただきます。(繰り返しの学びが必要です)
 基礎講座では参加者の状況を観察しながら、
 毎回新たな情報や事例などを含めてお話を提供してゆきます。
 
 基礎講座にご参加いただいた方には実践クラスに移行していただきます。

 実践クラスでは
 様々な立場の専門家にご参加いただきます。
 専門家の指導のもと対応法について、より深いBPDのスキルについて、
 BPDと合併症について、コミュニケーションスキル・グループワークを
 通して現在生じている問題を皆で解決策を検討してゆきます。
 
 基礎知識を日常で応用・活用していただくための
 非常に大切なスキルとなります。
 継続的な学びが力を付けますので、是非、実践クラスにご参加下さい。
 
 実践クラスで学ぶ対応法は病院では提供していないことが多いです。
 (保険治療では対応していないものもあります)
 家族会にご参加いただいて学びを深めてください。
 
 関西では、今後、実践クラスでは
 顧問のいちクリニックの一岩先生・心理カウンセラー家族会代表奥野が
 担当。さらに、スペシャルゲストをお招きしてゆきます。
 基礎講座にご参加いただいていない方はご出席いただけませんので
 まずは、基礎講座を受講してください。
(2015年・2016年BPD基礎講座にご参加いただいた方は
 実践クラスに移行して頂けます)
(長年ご参加いただけていない方もBPD基礎講座にご参加いただきます)

入金方法・キャンセルについて
 現在、当日会場でお支払いいただいております。
 残念ながら、定例会直後・前日・当日・無断欠席など相次いでいるため
 止むを得ず事前に支払いをしていただくことも検討中です。
 入金方法に変更が生じましたら改めてご連絡させていただきます。
 
 現時点では、定例会直前のキャンセル・当日のキャンセル・無断キャンセル
 の場合は全額負担させていただきます。

地方定例会開催について
関西(2ヶ月に1回・近畿(予定)・北陸(8月決定)・札幌(予定)・東北(予定)
 地方定例会開催申込者が5名以下の場合、定例会が中止になる場合がございます。

定例会申込みアドレス
 カウンセリング申込みアドレスは別です。
 BPD家族会ホームページ 左下にアドレスが掲載されています。
 アドレスをクリックしていただければ直接記入することができます。
 ご活用下さい。
 

 カウンセリングアドレス・その他のご相談に関するメールアドレス
 bpd_chair@yahoo.co.jp

 事務局 講演会・ワークショップ・定例会申込み受付メールアドレス
 bpdfajimu@yahoo.co.jp

 
 メールアドレスが違うとお申込みが完結しないことがありますので
 ご注意下さい。また、こちらから折り返し連絡をさせていただいて
 いますが、もし、折り返しこちらから連絡が無い場合はお手数おかけ
 しますが、再度メールでご連絡を下さい。

「相談について」
 毎日、多くのご家族からメールが送られてきます。
 相談とカウンセリングの区別がついていらっしゃらない家族が多いので
 ご説明させていただきます。

 単に医師・病院の紹介・保健センターの紹介や情報を知りたい場合は
 「家族会ホームページ 家族会ジオログのページを開いて下記
 9月アーカイブをご確認下さい
 

お役立ち情報


現在の当事者の様子を聴いてもらいたい、対応法を知りたい、どの専門家にかかればいいのか分らないので話しを聴いてもらいたい!
このようなご相談が必要な方は、カウンセリングの対応となります。
ご予約をしてお申込みください。(カウンセリングは有料となります)
「カウンセリング内容」
●個別カウンセリング お一人さま 1時間 3000円 
●メールカウンセリング(1ヶ月 3回 対応)お一人さま 5000円
●地方にお住まいの方・緊急な対応のみ、電話カウンセリングをお受け致します。
1時間 お一人さま 3000円+電話代自己負担
(今後スカイプによるカウンセリング検討中)
「カウンセリング予約」
定例会前後
13:00〜13;50
17:30〜18:30
18:30〜19:30
19:30〜20:30
20:30〜21:30
例例会以外の曜日の予約
奥野の日程とご家族(クライアント)の都合の良い日程を調整します。
時間・日程 要相談
まずは、メールでご連絡ください。
カウンセリング会場
代々木オリンピックセンター 料金支払い・申込み・受付 棟
センター棟を背にして左側の建物1F 事務局室外テーブルにて開催
今年もよりよいサービスをご提供できるよう邁進して参ります。
今後とも、皆様のご協力いただきますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。

BPD家族会代表 奥野栄子



 


 

パーソナリティ障害とは?

お知らせ

※諸事情により黒田先生の書籍からの引用は終了いたします。今後は、牛島先生の書籍の内容を皆様に紹介していくことになります。BPD家族会

 

パーソナリティ障害とは、偏った考え方や行動パターンがあるため、周囲の人達とうまく付き合えず、社会や職場での生活に支障をきたしてしまう障害です。青年期頃からそういった傾向が見られる特徴があります。

 

l  性格に著しい偏りがある

 考え方の偏りとは、自信過剰であったり、劣等感を強く抱いていたり、人が信じられなかったり、それとは反対にすぐ人を信用してしまうような傾向を指します。また、行動パターンの問題は、リストカットなどの自傷行為や自殺企図(自殺をしようと企てること)、暴力や罵詈雑言、薬物・アルコール依存など、場合によっては犯罪行為に至る場合もあります。

 上記のような考え方や行動パターンにより、他者との関係に摩擦が生じ、家庭や社会、職場における生活に大きく支障をきたすことになるのです。

 

l   パーソナリティとは

 パーソナリティ障害は、以前は人格障害と呼ばれていました。なぜなら、Personalityの日本語直訳が人格であったことが理由です。しかし、英語のPersonalityと日本語の人格とは、言葉のもつニュアンスが微妙に異なるのです。Personalityの本来の意味は、他人から見て取れる性格や性質、人柄を指します。しかし、日本語の人格の場合、人の道徳観や倫理観、良心の有無を含んだ意味になります。ですから、「あの人は人格者だ」「人格を疑う」「人格が破綻している」といったように使われます。

 こうしたことから、人格障害と聞くと道徳観や倫理観に大きく問題がある人物や、犯罪を起こしやすい危険な人物のような誤解を生む可能性があったのです。こういった誤解に配慮するために、現在ではパーソナリティ障害と呼ばれるようになってきています。

 

l  パーソナリティ障害の特徴

 日本の診療現場で用いられているDSM-Ⅳ-TR(精神疾患の 統計と診断の手引き 改定版)*ではパーソナリティ障害を10種類に分類しています。パーソナリティ障害といっていも、分類ごとに考え方や行動パターンに違いがあるので単純にひとくくりにはできません。ただし、種類はことなっていても以下のような共通点が見られます。

認知・感情・対人関係・衝動性などにおいて著しい偏りがみられること

偏りのパターンは、青年期か成人期(10代後半から20代前半位まで)に始まり、それから長年続いていること

偏りのパターンがあることにより、社会生活や職場で支障が生じていること

この中で③の要素がパーソナリティ障害を決定づけると言えます。後ほど紹介する様々なパーソナリティは、そのような性格傾向がみられるだけでは障害といいません。特有のパーソナリティがもとで、社会生活の中で支障が起こり、当事者や周囲の人々が苦しむ状況が生じている場合にはじめて障害と呼ばれるのです。

 

ポイント:

パーソナリティの偏りは誰にでもあるが・・・・

その性格傾向がもとで日常生活に困難が生じるのなら障害

 

例:

几帳面なひと几帳面さをひとに強要し、反感を買う

引っ込み思案なひとひとに会うのが怖くて外出もできない

 

*現在ではDSM-Ⅴが最新版となります。しかし、パーソナリティ障害の10種類に変更はありませんでした。

 

 引用・参考文献:
「図解 やさしくわかるパーソナリティ障害」 牛島定信著 ナツメ社 2012110

 

文責:吉本

2.      当時者の変わった読み取り方に介入する

 

 前回説明したような読み取りをしているのであれば、家族はそれを見過ごさずに、これから説明するような介入をしていく必要があります。まずはそのような変わった読み取り方をしてしまった部分に立ち戻って、「あなたにはどうしてもそう読めてしまうのかもしれないけど」と前置きをし、それが変わった読み方なのを指摘するのです。

 そして、変わった読み方をする癖になっていることは悪いことではないが、よく悪いことをする以上に当事者にとって危険であるから、当事者がピンと来なくても、普通に読み取る練習をする必要があることを当事者に指導します。

 文脈についての読み取りのズレや、言葉の意味のプロトタイプへの偏りを繰り返し修正していくことは、以前説明したようにBPDを適切に治療する中で欠くことのできない介入なのです。

 

 ですが、こうした意味把握の偏りは、微妙で些細なものであるから、通常の対話では見過ごしやすいのです。「なぞるように読み取る」訓練を行うのは、当事者の意味把握の偏りをあぶり出し、修正する機会をもたらすためにも極めて重要なことなのです。

 

 引用・参考文献:
「治療者と家族のための境界性パーソナリティ障害治療ガイド」 黒田章史著 岩崎学術出版社 2014310

 

文責:吉本

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