4)反社会性パーソナリティ障害
反社会的な行動(犯罪行為、詐欺行為、暴力行為など)をとりながらも、罪悪感を持たないのが大きな特徴といえます。倫理観や道徳に欠け、不誠実で責任感がなく、他者に共感や同情をしない傾向があります。アルコール・薬物依存になってしまう例も少なくありません。パーソナリティ障害の中でも、特に社会的に問題にされてきたパーソナリティ障害なのです。
5)境界性パーソナリティ障害
対人関係や自己像が不安定です。頼りたい相手を見つけると、ひどく依存的になるのですが、些細な誤解や行き違いで見捨てられるのではないかという激しい不安(見捨てられ不安)にかられ、衝動行為(過食、リストカット、家庭内暴力、OD(過量服薬)など)に走りがちです。
かつては、診療現場で医師に対して依存的になったり、様々な衝動行為で周囲の人々を振り回す患者さんが注目されましたが、10年ほど前からそのような患者さんは目立たなくなってきています。
6)演技性パーソナリティ障害
特に異性の注目を浴びようとする心理が根底にあり、そのために、派手な化粧や服装をしたり、誘惑的・挑発的な態度や行動をとったりします。また、男女間の三角関係を作りやすい傾向があります。
しかし、近年は派手な外見による自己アピールや三角関係、不倫などの行為も珍しくなくなり先ほど説明した特徴は目立たなくなりがちです。代わりに嘘をつき、人をだますタイプの人が増えてきました。この傾向が酷くなれば妄想性虚言症(嘘と自覚せず、真実と信じ込んで嘘をつく状態)にまで進展しまう場合もあります。また、何人もの異性と同時に付き合うといったタイプの人も増加しています。
7)自己愛性パーソナリティ障害
自分のことを優秀で特別な存在と考え、他者からの注目と称賛を得るのは当然だと思い、他人は自分に付き従うものという態度がみられます。しかし、その背後には、自分を無力な存在と思う劣等感があり、尊大なプライドが打ち砕かれるような状況になると、ひどく落ち込んで自らを卑下し、引きこもってしまったり、薬物依存などの反社会的行動に走る場合もあります。
自己愛性パーソナリティ障害には、以下の二種類のタイプがいます。
・誇大的な自分を前面に押し出すタイプ
・尊大なプライドが潜在化され、表面的に控えめで自己主張せず傷つきやすいタイプ
後者の場合、理想の誇大的な自己と現実の小さな自分とのギャップが折り合わず、人を避け、現実逃避する傾向が現れる場合もあります。このような自己愛性パーソナリティ障害のタイプは、回避性パーソナリティ障害特徴と重なる部分が大きいといえるでしょう。
次回は、C群について説明していきます。
引用・参考文献:
「図解 やさしくわかるパーソナリティ障害」 牛島定信著 ナツメ社 2012年1月10日
文責:吉本