2016年6月アーカイブ

反社会性パーソナリティ障害の診断基準

A.       他人の権利を無視し侵害する広範な様式で、15歳以降起こっており、以下のうち3つ以上によって示される。

1.   法にかなう行動と言う点で社会的規範に適合しないこと。これは逮捕の原因になる行為を繰り返し行うことで示される。

2.   人を騙す傾向。これは繰り返し嘘をつくこと。偽名を使うこと、または自分の利益や快楽のために人を騙すことによって示される。

3.   衝動性または将来の計画を立てられないこと。

4.   いらだだしさおよび攻撃性。これは身体的な喧嘩または暴力を繰り返すことによって示される。

 

5.   自分または他人の安全を考えない向こう見ずさ。

6.   一貫して無責任であること。これは仕事を安定して続けれられない、または経済的な義務を果たさない、ということを繰り返すことによって示される。

7.   良心の呵責の欠如。これは他人を傷つけたり、いじめたり、または他人のものを盗んだりしたことに無関心であったり、それを正当化することによって示される。

B.        その人は少なくとも18歳である。

C.       15歳以前に発症した行為障害(素行障害)の証拠がある。

D.      反社会的な行為が起こるのは、統合失調症や躁病エピソードの経過中のみではない。

 

2)境界性パーソナリティ障害の診断基準

 対人関係、自己像、感情等の不安定性および著しい衝動性の広範な様式で、成人期状況での感情表現の範囲の限定などの広範な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち5つ(またはそれ以上)によって示される。

1.   現実にまたは想像のなかで見捨てられることを避けようとなりふりかまわない努力。

※基準5の自殺行為や自傷行為を含めないこと

2.   理想化とこき下ろしとの両極端を揺れ動くことによって特徴づけられる、不安定で激しい対人関係様式。

3.   同一性障害:著明で持続的で不安定な自己像または自己感。

4.   自己を傷つける衝動性で、少なくとも2つの領域にわたるもの(例:浪費、性行為、物質乱用、無謀な運転、無茶喰い)。

※基準5の自殺行為や自傷行為を含めないこと

5.   自殺の行動、そぶり、脅し、または自傷行為の繰り返し。

6.   顕著な気分反応性による感情不安定性(例:通常は23時間じぞくし、2、3日以上継続することはまれな、エピソード的に起こる強い不快気分、いらだたしさ、または不安)。

7.   慢性的な空虚感。

 8.    不適切で激しい怒り、または怒りの制御の困難(例:しばしばかんしゃくを起こす、いつも怒っている、取っ組み合いの喧嘩を繰り返す)。

9.   一過性のストレス関連性の妄想様観念または重篤な解離性症状。

出典:アメリカ精神医学会『DSM - - TR精神疾患の分類と診断の手引き 新訂版』(高橋三郎、大野裕、染谷俊幸:訳、医学書院、2010より抜粋、一部改変)

   2016年現在DSM-Ⅴが最新版となります

   演技性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害の診断基準は別途説明していく予定です

 

引用・参考文献:
「図解 やさしくわかるパーソナリティ障害」 牛島定信著 ナツメ社 2012110

 

文責:吉本

グループ1-A群の診断基準

1)妄想性パーソナリティ障害の診断基準

 他人の動機を悪意あるものと解釈するといった、広範な不信と疑い深さが成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち4つ以上によって示される。

1.    十分な根拠もないのに、他人が自分を利用する、危害を加える、またはだますという疑いをもつ。

2.    友人または仲間の誠実さや信頼を不当に疑い、それに心を奪われている。

3.    情報が自分に不利に用いられるという根拠のない恐れの為に、他人に秘密を打ち明けたがらない。

4.    悪意のない言葉や出来事のなかに、自分をけなす、または脅す意味が隠されていると読む。

5.    恨みをいだき続ける。つまり、侮辱されたこと、傷つけられたこと、または軽蔑されたことを許さない。

6.    自分の性格または評判に対して、他人にはわからないような攻撃を感じ取り、すぐに怒って反応する、または逆襲する。

7.    配偶者または性的伴侶の貞節に対して、繰り返し道理に合わない疑問をもつ。

 

2)スキゾイド・パーソナリティ障害の診断基準

 社会的関係からの遊離、対人関係状況での感情表現の範囲の限定などの広範な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち4つ(またはそれ以上)によって示される。

1.    家族の一員であることを含めて、親密な関係をもちたいと思わない、またはそれを楽しく感じない。

2.    ほとんどいつも孤立した行動を選択する

3.    他人と性体験をもつことに対する興味が、あったとしても、少ししかない。

4.    喜びを感じられるような活動が、あったとしても、少ししかない。

5.    第一度親族以外には、親しい友人または信頼できる友人がいない。

6.    他人の賞賛や批判に対して無関心に見える。

7.    情動的な冷たさ、よそよそしさ、または平板な感情。

 

10)スキゾタイパル(統合失調症)・パーソナリティ障害

 親密な関係では急に気楽でいられなくなること、そうした関係を形成する能力が足りないこと、および認知的または知覚的歪曲と行動の奇妙さのあることの目立った、社会的及び対人関係的な欠陥の広範な様式で、成人早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち5つ(またはそれ以上)によって示される。

1.    関係念慮(関係妄想は含まず)。

2.    行動に影響し、下位文化的規範に合わない奇異な信念、または魔術的思考(例:迷信深いこと、千里眼、テレパシー、または第六感を信じること:小児および青年では奇異な空想または思い込み)。

3.    普通でない知覚体験・身体的錯覚も含む。

4.    奇異な考え方と接し方(例:曖昧、回りくどい、抽象的、細部にこだわり過ぎ、紋切り型)。

5.    疑い深さ、または妄想様観念。

6.    不適切な、または限定された感情。

7.    奇異な、奇妙な、または特異な行動または外見。

8.    第一度親族以外には、親しい友人または信頼できる人がいない

9.    過剰な不安があり、それは慣れによって軽減せず、また自己卑下的な判断よりも妄想的恐怖を伴う傾向がある。

出典:アメリカ精神医学会『DSM - - TR精神疾患の分類と診断の手引き 新訂版』(高橋三郎、大野裕、染谷俊幸:訳、医学書院、2010より抜粋、一部改変)

2016年現在DSM-Ⅴが最新版となります

 

引用・参考文献:
「図解 やさしくわかるパーソナリティ障害」 牛島定信著 ナツメ社 2012110

 

文責:吉本

DSMのパーソナリティ障害(前回の続き2)

8)回避性パーソナリティ障害

 自身の失敗や他人からの批判・拒絶を極度に恐れ、そうならないように社会参加をできるだけ避けようとするパーソナリティです。

元々神経質な性格傾向を持ち、自身のなさ、プライドの傷つきやすさがあります。親の期待に応えようと頑張ってきたが果たせず、自分はダメな人間だという心理をもっているのが一般的です。そのため、周囲の人も自分をダメな人間とみていると考え、対人関係が上手くいきません。

他者との関わりを躊躇するあまり、不登校や引きこもりに移行する場合もあります。ですが、他者への関心が薄いわけではなく、寧ろ人との触れ合いを強く求めいているのです。本心は親密な人間関係を築きたいのですが、傷つくことを恐れて関係を結べない状態なのです。

 

9)依存性パーソナリティ障害

 自分自身で判断したり、決断したりすることができず、いつも他者の指示や助言を必要とします。自分を導いてくれる人に対して服従し、同時に行動・決断の結果や責任を、自身ではなくその人に負わせることになります。依存対象は親、パートナー、親友などです。

 かつては、夫の判断なくして行動がとれない妻や、親に支配されたような子の姿が一般的に見られましたが、女性や子供の権利主張が一般的となった現代では、その関係も変化しつつあります。

依存性パーソナリティ障害には以下のタイプがいます。

・幼児型

盲目的・楽観的に相手に服従するタイプ

・服従型

悪辣な人間に利用されているとわかっているのに服従するタイプ

DVやアルコール依存症、自己愛性パーソナリティ障害や反社会性パーソナリティ障害のパートナーに利用され、場合によっては犯罪に手を染める場合もあり

・冷酷型

相手の真意に悪意や冷酷さがあっても、それを見抜けずに相手の表面的な良い部分だけを見て従ってしまうタイプ

 

 

10)強迫性パーソナリティ障害

 過度に几帳面で、秩序や規律にうるさく、抑圧的で感情表現に乏しいタイプです。末節にこだわって全体を見ることができないところがあります。親に「あれをするな、これをするな」と規制されて育てられると、根底にある強固な罪悪感により態度や行動を規制してしまうのです。

 しかし、近年では、社会における倫理観やルールを守ろうとする意識が希薄になってきたことから、頑固・几帳面・融通が利かないといった現れ方ではなく、抑制が効かずにギャンブルや過食が辞められなくなって苦しむような人々が増えてきているように思います。

 

 

引用・参考文献:
「図解 やさしくわかるパーソナリティ障害」 牛島定信著 ナツメ社 2012110

 

文責:吉本

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