2016年12月アーカイブ

 パーソナリティ障害と関連する障害を下表にまとめました。また、発達障害とパーソナリティ障害の関連についても触れておきます。

 

1パーソナリティ障害と関連のある疾患

疾患名

概要

合併・進展しやすい

パーソナリティ障害

うつ病

・気分の沈み、憂うつ、疲労感の増大、興味や意欲の著しい低下する病

・無価値観、罪悪感を伴う

・自殺に至る場合も

・パーソナリティ障害全般

双極性障害

(躁うつ病)

・気分の高揚する躁状態と、落ち込むうつ状態が交互に、混同して現れる病

・サイクロイド・パーソナリティ障害

・サイクロタイパル・パーソナリティ障害

統合失調症

・思考・情動・意欲などの人格に障害が起こる病

・妄想や幻覚の陽性症状、感情鈍麻、社会的孤立などの陰性症状を伴う

・症状の現れ方には個人差が

・妄想性パーソナリティ障害

・スキゾイド・パーソナリティ障害

・スキゾタイパル・パーソナリティ障害

妄想性障害

・誤った思い込みに囚われ、その思い込みを変えることが出来ずに、別の妄想へと発展していく障害

・妄想性パーソナリティ障害

不安障害

・強い不安により様々な心身症状(激しい動悸・震えなどの発作)が発生

※パニック障害も該当

・パーソナリティ障害全般

強迫性障害

・強迫観念と強迫行為にとらわれ、その考えや行為をやめれなくなる障害

・自己愛性パーソナリティ障害

摂食障害

・食事量が極端に減る拒食、無茶食いを繰り返す過食の症状があり

・若い女性に多い傾向があり

・境界性パーソナリティ障害

・スキゾタイパル・パーソナリティ障害

アルコール依存

薬物依存

・大量の飲酒が習慣化しアルコール依存症になる

・薬物も常習化し薬物依存にも

・反社会性パーソナリティ障害

 

発達障害とパーソナリティ障害の関連

 発達障害とパーソナリティ障害は症状が似ており、見分けにくいことがある

発達障害

先天的な脳障害により発症する

パーソナリティ障害

先天性の障害ではなく、養育環境なども関与し、青年期までに発症する

 

診断基準では合併診断されることはない

しかし・・・

発達障害から二次的にパーソナリティ障害の症状が現れたケースでは、発達障害の治療と併用して、パーソナリティ障害への対応に準じたアプローチが必要

 

 

引用・参考文献:
「図解 やさしくわかるパーソナリティ障害」 牛島定信著 ナツメ社 2012110

 

文責:吉本

パーソナリティ障害と関連する障害2

 パーソナリティ障害と症状が似ている障害や合併しやすい障害・疾患についての続きです。

 

強迫性障害

 強迫性障害も不安障害の1つなのですが、無意味とわかっていても、有る考えに取りつかれ、その考えをやめることができない(強迫観念)、そしてその考えに基づいた行動を無意味と認識しながらも繰り返し行ってしまう(強迫行為)などの症状を持つ障害です。例えば、外出時に施錠を何度も確かめたり、頻繁に手を洗い直したりといった行為をしてしまうのです。

従来、強迫性障害と強迫性パーソナリティ障害は似通っていると見られていましたが、最近では、他人の評価を過度に気にする自己愛性パーソナリティ障害が基になった強迫性障害が増加傾向にあるようです。

 

摂食障害

 パーソナリティ障害の人が起こす衝動行為の1つに過食があります。境界性パーソナリティ障害、スキゾタイパル・パーソナリティ障害で、よくみられる症状なのです。

 過食と共に起こりやすい衝動行為には、リストカットがあります。

 

アルコール依存・薬物依存

 アルコール依存や薬物依存も、パーソナリティ障害にみられる衝動行為です。反社会性パーソナリティ障害によくみられ、境界性パーソナリティ障害、スキゾタイパル・パーソナリティ障害でもみられることがあります。

 パーソナリティ障害を持つ人は、アルコール依存や薬物依存に陥ったとき、そうでない人と比較して治療しにくいことが様々な研究によって明らかにされています。

 

発達障害

 発達障害とは、発達過程の中で明らかになる、認知や行動の遅れなどの障害(発達の遅れ)を指します。自閉症、アスペルガー症候群、ADHD(注意欠陥多動性障害)、LD(学習障害)などの種類があり、主に、幼児期から就学前後に発達の遅れが判明するのです。

 発達障害を持つ子どもは、問題行動により親と愛着をうまく築けなかったり、叱責や非難を受けることが多く、自尊感情が損なわれやすくなります。ですから、自我がうまく形成されず、他者と良好な人間関係を築くことが困難になり、徐々にパーソナリティに偏りが生じることが指摘されています。

 問題は、子ども時代には気づかれないまま時が過ぎ、思春期や成人期に友人関係や職場環境で不適応を起こしてはじめて明らかにされるケースが増えています。パーソナリティ障害との併存というよりも、鑑別重要になってくるのです。

 

 

引用・参考文献:
「図解 やさしくわかるパーソナリティ障害」 牛島定信著 ナツメ社 2012110

 

文責:吉本

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