境界性パーソナリティ障害③―接し方のポイントの続きです。
密着しない関係を
境界性パーソナリティ障害の方は、自分に一体になってくれる相手(依存できる相手)を常に求めています。家族や職場の人たちは、そのような密着しすぎた関係にならないように注意する必要があります。
信頼されることは受け入れますが、過度な依存は受け入れられないという態度を示すことが重要です。
家庭でもある程度距離をおいて本人と向き合う姿勢が求められます。
つらさから抜け出してもよい
本人が、自傷や暴力などの手段を使って相手を自分の思い通りに動かそうとする場合、本人自身が心理的困難を抱えている状態であることを理解してあげる必要があります。
例えば、アルバイトに行くようになった、資格取得のために専門学校に通うようになった場合、前進ととれる行動が見られたとしても、現実にはそこでの適応がうまくいっていないのです。このような場合、困ったときの相談に応じることも大切ですが、「辛いなら辞めてもいいんだよ」と言ってあげるだけの度量も必要になります。
逆に、「もうちょっと我慢すると達成できるからがんばろう」と励ますと、患者さんの考えを操作してしまう恐れあるため危険です。
小さなことでも褒める
境界性パーソナリティ障害の方は、上手くできた行動などについて、その都度褒めてあげるとよいでしょう。例えば、近隣での社会活動やボランティア活動に参加したときに、周囲から見てよくできたと感じたことがあれば、言葉に出して褒めましょう。
認められた、評価されたということが、本人自身の気持ちを安心させ、周囲の人への理不尽な要求の防止に役に立ちます。
引用・参考文献:
「図解 やさしくわかるパーソナリティ障害」 牛島定信著 ナツメ社 2012年1月10日
文責:吉本