2017年6月アーカイブ

6月18に第3回ご本人さまの会を開催いたしました。
とても深く大切な時間を共に過ごす事が出来ました。
参加された皆さまありがとうございました。
その模様の一部を公開いたしますのでご覧ください。


BPD家族会代表 奥野栄子

 自分を特別な存在と思い込み、他人からの高い評価を当然のごとく求めながら、一方では、他人に対する思いやりや、共感性には乏しいのが特徴です。その背後には、強い劣等感があると考えてられています。

 

3つの心性をもつ

 自己愛性パーソナリティ障害の特徴として、3つの心性(心の在り方)があげられます。

 1つめは、自分が優秀・有能で特別な存在であるという自己誇大感2つめは、そのような自分に対しては、この上ない賞賛や特別な計らいがあって当然という気持ち、3つめは、他人に対する関心が薄く、共感や同情、思いやりがもてないということです。

 

自己愛は発達する

 自己愛とは、自分を肯定し大切に思う気持ちで、幼児期から育まれていくものです。幼い子どもは、自分は何でもできるという思い込みがある反面、身近な人(親など)からほめてもらわなければ自信が持てないという不安定さを持っています。これが子ども時代に誰もが持つ未熟な自己愛です。子どもは、親から褒めてもらい、認めてもらう経験を重ねるうち、次第に自分の現実的な能力を評価できるようになり、誇大的ではない等身大の自分を肯定し、大切に思うことができるようになります。これが成熟した自己愛といえます。

 しかし、子どものことから、褒められる経験が少なく、けなされたり、否定されたりし続けていると、等身大の自分を認めることが出来なくなり、反動的に大きな態度に出ようとするのです。つまり、けなされて自信を失っている自分を防衛しようとするため、反動的に誇大な自己を形成しているのです。

 その状態がそのまま大人になっても消えずに続いているのが自己愛性パーソナリティ障害です。こうした心理状態が基礎となり、他者の賞賛を求める態度となって現れてくるのです。

 

2つのタイプがある

 自己愛性パーソナリティ障害は、症状の現れ方により、2つのタイプがあります。

尊大・傲慢なタイプ

誇大的な自己を前面に出すタイプです。自己中心的で周囲を睥睨し、横柄・尊大な態度を取り続けるタイプです。期待する賞賛や評価が得られないと激高し、攻撃的な態度を取ることも少なくありません。これは自己愛的怒りと呼ばれ、自身の背後にある弱さや劣等感を隠すためにくり出されます。自己愛的怒りが維持できなくなると抑うつ的になります。

控えめ・消極的なタイプ

誇大的な自己を陰に隠すタイプです。周囲を過剰に気にかけ、他人の反応や評価に敏感です。そのため、他人の注目を浴びることを避けがちであり、自分を中々出そうとしません。

 しかし、自分には特別な能力が備わっているという誇大的な自己を内に抱いており、賞賛されるべき存在だという気持ちが潜在的にあるのです。

 

引用・参考文献:
「図解 やさしくわかるパーソナリティ障害」 牛島定信著 ナツメ社 2012110

 

文責:吉本

 

 これまで取り上げてきた境界性パーソナリティ障害③―接し方のポイントのおさらいです。

 

患者さんのペースに巻き込まれないこと

 衝動行為や対人操作によって、他人を思い通りに動かすことはできないことを理解させることが大切


ポイント

患者さんの一喜一憂に調子を合わせない

人に対する理想化やこき下しが激しくても、非難しない

患者さんが衝動的な行動をとっても動揺をみせない

患者さんに対する不快感が芽生えることもるが、極力平常心を取り戻すように努める


ペースに巻き込まれ意図に載せられてしまうと・・・

患者さんはクセのように同じ手を使うようになる

周囲には不快感が芽生えてしまう

周りの人のものの考え方や気分が安定し、落ち着いていることで、患者さんの

無用な動揺を防ぐことが出来る

衝動行為や対人操作などを減らす効果がある

 

密着しすぎない人間関係を

 境界性パーソナリティ障害の方は、自分が全面的に依存できる相手を探している

依存の対象となりやすいのは...

家族や職場の人、友人など

⇒距離をい置いて付き合うことで...

患者さんが自制心や自律心を養うことに繋がる


距離をくためのコツ

頼まれることを何でも引き受けない

家族が直接かかわりをもたない問題(学校や職場での問題)には、家族のほうからも立ち入らないようにする

職場の人たちは、仕事上の問題以外の相談にはのらないようにする

 

あえて「逃げ道」を用意する

 例:患者さんがアルバイトを続けるかどうか悩んでいる

アルバイトをがんばって続けようと思う自分と、つらいので辞めたいと思う自分がいる

 

⇒家族や友人から「辞めてもいい」と言われる場合

「アルバイトを辞めたい」という気持ちもあるが、続けたいという気持ちも自分のなかにあると気づく

「続けたい」という気持ちも自分のものだと理解できるようになる


⇒家族や友人から「がんばれ」と言われる場合

アルバイトを続けたほうがいいと考えているのは、自分ではなく、家族や友人だと思うようになる

自分の本心は「アルバイトを辞めたいのだ」と思い込んでしまう

 

 

引用・参考文献:
「図解 やさしくわかるパーソナリティ障害」 牛島定信著 ナツメ社 2012110

 

文責:吉本

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