2017年7月アーカイブ

家族会の顧問として毎年ご講演いただいている松本俊彦先生の
自傷に関するお話が、読売新聞のコラムに掲載されていますので
皆様にもご紹介したいと思います。

国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター
精神保健研究所 薬物依存研究部 部長
松本 俊彦先生

「自傷はダメ」はダメ

自傷する人に対して、「自分を傷つけてはダメ」と叱責したり、
「もう二度としない約束」をとりつけたりするのは、やめてください。

自傷は、つらい状況を生き延びるために本人ができる、
たった一つの解決策なのです。
そうのようなつらい状況を解決しようともせずに、表面化した現象だけを
やめさせるのは、いささか酷な話しです。

また、自傷する人の多くは、命じられたり、決めつけられたりするのが
苦手です。それだけで余計に自傷したい衝動に襲われてしまう人もいます。
それに、「もう二度としない」などと約束させられたら、自傷のことを
誰にも相談できなくなってしまいます。
 
コラム・読売新聞
家族会「自分を傷つけずにはいられない〜その理解と対応のヒント〜

*(対応のポイント)
まず、自傷を止めようとするご家族ご自分自身の内奥と
静かに向き合ってみてください。

そこに思い浮かんできたあなたの思いや気持ちはどんなものですか?
その皆さんの思い浮かべた思いや気持ちは、
ご本人さまに伝わっています。(敏感な感覚をお持ちの方々なので・・・)

「心配している」「あなたの為を思って・・・」「あなたの気持ちを話しをして!」
とご本人に伝えているかもしれません。
でも、心の内奥ではあなたの別の声が聞こえてくるかもしれません。
「怖い、もうやめて」「何でこんなに私たちを(苦しめ、迷惑)ばかりかけるの!」
「もう関わりを持ちたくない!」・・・

自傷行動の原因探しや自傷を止めさせることばかりに赴きを置き過ぎ、
本人を見てあげることができなくなっていませんか?

お互いに「誰がこのようにした?責任の押し付け合い・犯人探し」
に明け暮れてしまうかもしれません。

シリーズ Part1、2では、
自傷傾向にある人は、(本当の)自分の気持ちを伝えることが
とても苦手な人が多いので、周囲は
「耳を傾けて話しを聴いてあげることが大事」なのです。

でも、話しを傾けることは簡単なことではありません。
 度重なる、深夜の(LINE・メール・電話)
「これから死にます」「もう楽になりたい」「あなたのせいで私はこうなった」
と、何度も何度も何度も繰り返されることで、家族自身が疲弊し、
心も身体もボロボロになってしまい、家族も全く余裕がなくなってしまいます。
そうなると、話しに耳を傾けることが難しくなります。無理もありません。

しかし、アドバイスや解決策ばかりに焦点を充ててしまうと、
かえって焦点がぼやけ解決策を見いだせなくなることがあります。
そして疲れ果てます。しかし、解決策を見いだせない原因の多くは、
意外にも、
「何よりも大事な「ご本人の声」を聞きそびれてしまっていることが多いのです。

治療や専門家につながるためにまずやっていただくこと・・・
話しに耳を傾け「よい聞き手」になってあげてください。

(対応ポイントアドバイザー 心理カウンセラー奥野栄子)

家族会の顧問として毎年ご講演いただいている松本俊彦先生の
自傷に関するお話が、読売新聞のコラムに掲載されていますので
皆様にもご紹介したいと思います。

国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター
精神保健研究所 薬物依存研究部 部長
松本 俊彦先生

Respond medically not emotionally

最初のお願いです。

もしも生々しい自傷の傷の発見した場合に、驚いたり、怒ったり、叱責したり
しないでください。

怖がって顔を背けたり、過度に同情しても涙を浮かべたり、悲しげな顔をしたり
不機嫌になったりするのも好ましくありません。

もちろん、「見て見ぬふり」もダメです。
こうした反応はいずれも本人にとってインパクトの強い反応であり、
かえって自傷をエスカレートさせる可能性があります。

最も望ましいのは、「よき外科医のような態度」です。
具体的にいうと、まずは穏やかかつ冷静な態度で傷を観察をし、
必要な手当てを粛々かつ丁寧に行ないます。

このことを格言風に要約すると、次のようになります。

"Respond medically, not emotionally"
感情的に反応するな、医学的に反応せよ!

(コラム・読売新聞
 家族会「自分を傷つけずにはいられない〜その理解と対応のヒント〜 から)

*(対応のポイント)
  傷を見る周囲の感情をまずは落ち着かせなければなりません。
  そうでなければ、冷静に対応することは難しいでしょう。
  先に家族が感情調節することが必要です。
 (1)深く深呼吸します。
 (2)自分を客観的に観察します。
  例 ひどく動揺している。恐怖感を感じている。関わりたくないと感じている。
    というように自分をよく観察してください。
 (3)心が落ち着くような「考え方」「行動」を取りましょう。
    直ぐに考え方を改善することは難しいので、
    自傷のことを考えると不安でいたたまれなくなってしまったら
    まずは、散歩をする、ストレッチをするなど身体を動かして
    思考が落ち落ち着かせるための工夫をして、自分自身の落ち着く
    パターンを見つけて下さい。
 
(対応ポイントアドバイザー 心理カウンセラー奥野栄子)
    
  
 

家族会の顧問として毎年ご講演いただいている松本俊彦先生の
自傷に関するお話が、読売新聞のコラムに掲載されていますので
皆様にもご紹介したいと思います。

国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター
精神保健研究所 薬物依存研究部 部長
松本 俊彦先生

「孤独な対処法」

自傷とは、自殺以外の目的から自らの身体を傷つける行為を指します。
典型的な自傷としては、リストカット、前腕を刃物などで切る行為が
良く知られています。

自傷とは、多くの誤解と偏見にさらされている行為です。
人々はそれを「人の気を惹くため」のアピール的行動と決めつけますが、
果たしてそうなのでしょうか?

実は、自傷は一人きりの状況で行なわれることが多く、しかも、
ほとんどの場合、誰にも告白されません。
また、自傷の多くは、怒りや絶望感といった「つらい感情」を
やわらげる意図から行なわれています。

要するに、自傷とは、誰にも頼らずに心の痛みを解決しょうとする
試みです。

その意味では、アピールとは正反対の行動、孤独な対処法といった方が
適切です。

今日、10代の若者の1割に自傷の経験があると言われています。
ですから、自分の身近に自傷をする人がいたとしても、少しも
不思議なことではありません。

もしも、身近な人が自傷をしているのに気づいたら、
あなたはどうしますか。

次回、自傷をする人をサポートする際にお願いしたいことを掲載
いたします。

(コラム・読売新聞
 家族会「自分を傷つけずにはいられない〜その理解と対応のヒント〜)

*(対応のポイント)
 BPD当事者の人たちが、爆発して言葉に出すときは
 ことばを溜めて、溜めて、溜めて、噴火した状態です。
 なので、基本、ことばにできない人が多く、
 孤立し、孤独感を感じています。
 周囲は、本人が爆発している状態の時にしか会話を交わさない傾向があるので
 対応としては、爆発する前の本人が落ち着いている時に会話や気遣いを示す
 ことが大事です。 
(対応ポイントアドバイザー 心理カウンセラー奥野栄子)

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