2017年9月アーカイブ

 家族会の顧問として毎年ご講演いただいている松本俊彦先生の
自傷に関するお話が、読売新聞のコラムに掲載されていますので
皆様にもご紹介したいと思います。
 
 国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究サンター
 精神保健研究所  薬物依存研究部 
 部長 松本 俊彦先生


「ケアしないこともまた自傷」
 自傷した後に、傷の手当てを求めて学校の保健室や職場の医務室、
あるいは医療機関を訪れるのはよいことです。
もしも自傷する人がそのような行動をとったなら、「よくやったね」
「頑張ったね」などと、ねぎらいの言葉をかけるべきです。

 自傷とは、単に自分を傷つけることだけを指すのではなく、
その傷をケアしないことも含めた行為なのです。
したがって、自傷後に傷の手当てを求めることは、「反・自傷的行動」
〈=自分を大切に行動する行動)として称賛に値します。
その称賛は、「自分を大切に」などといったありきたりな説教より
数百倍効果的でしょう。

 それから、自傷したことを告白した場合には、「話しをしてくれて
ありがとう」と返してあげてください。

 すでに述べたように、自傷の本質は「誰にも頼らずに苦痛を緩和すること」
にあり、その裏には根強い人間不信があります。それにもかかわらず、
その人が自傷したことを正直に告白したという事実は、脅えながらも
人を信頼しょうと勇気を出したことを意味します。
これもまた、「反・自傷的行動」といえるでしょう。

 自傷の告白を穏やかに受け止めてくれる人とのつながりは、
たとえ気の利いたアドバイスなどなくておも、ただそれだけで
治療的な効果があります。

コラム:読売新聞
家族会:「自分を傷つけずにはいられない 〜その理解と対応のヒント〜

*「対応のポイント」奥野からのアドバイス
 BPD当時者の場合、攻撃の対象は他人には向くことがありません。
どちらかというと、身近でサポートしている家族・兄弟姉妹・パートナーに
攻撃が向きます。

 当時者の暴言が激しいので、「脅えながらも人を信頼し・・・勇気をだして
告白している」という文面に「?」を感じるかもしれません。
しかし、皆さんを激しく攻撃しているからといって、自分の本質を話せているかどうかは別のこととなります。

 自分のことがちゃんと話せない・ストレスがピークに達して
爆発する・それから自傷行為にいたる人もいれば、暴言や暴力
につながる人もいます。

 支援してくれる身近な人に対して言いたい放題で周囲の人達を傷つけていると
周りからはそのように映っているかもしれません。
しかし、そのようなレッテル張りが実は本人の言動に追い打ちをかけて
しまっている可能性もあるのです。

アドバイスはいりません。
本人の行動を止める必要もありません。

大切なのは、穏やかに受け止めてあげることが大事なのです。

やっていけないことは
見て見ぬ振りをする。
放って置くことが何よりも避けるべき行為なのです。

BPD家族会代表
心理カウンセラー
奥野栄子


家族会の顧問として毎年ご講演いただいている松本俊彦先生の
自傷に関するお話が、読売新聞のコラムに掲載されていますので
皆様にもご紹介したいと思います。

国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター
精神保健研究所 薬物依存研究部 部長
松本 俊彦先生

「好ましい面にも注目する」
 相手に心を開いてもうらうには、単なるダメ出しでは
うまくいきません。大切なのは、自傷の「好ましい面」
にも注目することです。
どんな自傷にも本人に役立っている面が必ずあります。
実際、すみやかにつらい感情を緩和できる手段は、
まちがいなく本人にとっては大きなメリットです。

そのような面を認めたうえで、
切りながらつらい毎日を生き延びてきたんだね。
大変だったね」とねぎらってあげてください。
自傷を肯定するのではありません。
「自傷しながらも困難な状況を生き延びて、今ここにいる」
ということを肯定するのです。

もちろん、「好ましくない面」を無視することはできません。
自傷には好ましくない面が三つほどあります。
第一に、しょせんは一時しのぎにすぎず、
時間が根本的に解決されるわけではないということです。

第二に、くりかえすうちに痛みになれてしまし、その結果、
エスカレートしやすく、また、以前は自傷なしで乗り越えられた
ストレスにも自傷が必要となっていくことです。

第三に、周囲から誤解されたり、おそれをなした友だちが
離れていったりして、その人が孤立する危険があるということです。

とはいえ、好ましくない面をあげつらい、自傷がいかに馬鹿げた
行為か説得しようとするのは、「絶対にダメです」。
そうではなく、「自傷には好ましい面と好ましくない面の両方が
あり、簡単に良し悪しは決められない」と、その難しさに共感する
ようなスタンスがよいでしょう。

コラム・読売新聞
家族会「自分を傷つけずにはいられない〜その理解と対応のヒント〜





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