どの状況が強烈なネガティブな反応を引き起こしやすいかを理解すれば、私たちは誰でも、これらの状況を避けるか、もしくはその感情の激しさをより抑えるために問題解決スキルを用いることができます。たとえば、怒りっぽく批判的な義理の姉妹と一緒に過ごしていると自分がカッとなることがわかっているのなら、皆さんは彼女と会う時間を短くするか、または彼女が長々と説教をする可能性が低くなる公共の場所で会うようにすることによって、その問題を解決するかもしれません。
この戦略は自分の感情の強度をより低いレベルに維持する際には有効かもしれませんが、必ずしもすべての状況でそうできるとは限らないでしょう。ときに、実に気に障る出来事が起こることがあるものです。このようなとき、人は瞬間的に高まる自分の感情の温度を低くするために何らかの戦略を必要とします。そうした例の一つは、感情のタイムアウト(ある行動がそれ以上強化されないように、一定の時間、別の場所に移るなどして休止すること)を取ることです。たとえば、パーティの席で誰かが皆さんの感情を傷つけるコメントをしたとしましょう。皆さんはどうしますか? 最も簡単なのは、その場を立ち去り別の会話に没頭することです。このような戦略は皆さんにとって当たり前のことですが、感情的に傷つきやすい子どもにとっては、到底理解できないことなのです。
■ライザのドレス
ライザは親せきの家に泊まりに行ったときに経験した困難について話し始めます。
「私は、ジーナが何か私のドレスについて言ったことを覚えています。それがどんなことだったのかわからないけれど、それが私を怒らせたのだと思うわ。」
彼女は説明します。
「私が覚えているのは、何だかぼうっとなって、たぶん少し悲しく感じたということだけ。私はしばらくの間ただそこに立ち尽くしていたわ。その後トイレに入って自傷したの」
ライザには決定的に重要な二つのスキルが欠けており、それが彼女の問題解決の妨げになっています。ライザは、①自分の感情を正確に分類し同定することができず、②自分の感情をもっとよく調整する方法を見つけられるほど十分に明確に考えることができなかったのです。
次回は「感情の観察と言葉による描写」を紹介します。
「自傷行為救出ガイドブック -弁証法的行動療法に基づく援助-」 マイケル・ホランダー著