2020年10月アーカイブ

ステップ1:あなた自身の感情を調整する

いくつかの簡単な方法が、その瞬間の激情に駆られても感情を静めるのに役立ちますが、交通渋滞でもイライラに対処しているときやつらい記憶がよみがえって悲しみを感じているときなど、危機的状況にないところで練習しておけば、危機の真っただ中でも実行しやすくなります。

 

立ち止まる:一息ついて、身体的な感覚に注目します。その感覚に、あなたが経験している感情としてラベル付けをします。

  「ああ、まただわ!朝の四時じゃないの!私の心臓は急に激しく鼓動し、即座にお腹が痛くなり、頭の中を多くの考えが急速に行き交う。私が感じている感情は怒りだ」

 

体の姿勢に注意を払う:握っているこぶしを緩め、顔の筋肉をほぐします。他の筋肉も緊張していないかどうか確認します。

  「妹が朝四時に電話をしてくるとき、私は電話を手にする前には(いつだって妹だとわかっているのだから)少し深呼吸をする。そして、電話の後には決まってベッドから全身を伸ばすようにする。そうすると自分の怒りではなく、自分の筋肉に焦点を当てやすくなる」

 

微笑む:落ち着かせるメッセージを脳に送ります。

  「これは、信じられないくらい効果的だわ。筋肉を伸ばすと同時に、落ち着いた感じがするのだから」

 

あなた自身を承認し、励まして応援する

  「何が起こっているのかを考慮すれば、私の感情は理解可能なものだ」

  「私はこの人を愛しているのだから、このような感情をもつのは当然だ」

  「感情があるからこそ、私は何か力になれることをしたくなっているのだ」

  「私はこの状況について、そして私の愛する人について、これらの感情を経験していることを受け入れる」

 

感情を調整する方法を練習した後でさえも、あなた自身の感情が愛する人との相互作用の中で大きな問題になっているように感じるのであれば、どのような種類の出来事や事件があなたの感情を高ぶらせるのか探るために時間をとるとよいでしょう。

 

 

次回は「あなたの感情を刺激する出来事をはっきりさせる」を紹介します。

 

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危機の真っただ中でどのように反応するか

どれほど頻繁に真夜中のSOS電話を受けたとしても、一見礼儀正しい会話の最中に何度も攻撃されるに至ったとしても、そのようなことが起きるたびに、あなたはバランスを崩されてしまうことでしょう。突然に、非難、要求、あるいは苦悶に満ちた嘆願に直面すると、フラストレーションや激しい怒りがわき起こったり、堪忍袋の緒が切れたりするでしょう。このような状況で冷静に反応できる人は非常に稀です。私たちが感情の炎を(大きくするのではなく)静めてくれる、迅速で自動的な反応を最も必要とするのは、このような状況においてです。あなたは以下に記述されている五つのステップの反応を、早朝四時に例の電話を受けた瞬間に作動する反射作用になるまで練習することができます。けれども、これらのステップは危機の前や後にも使えます。たとえば、あなたの愛する人に、その人を傷つけている行動パターンについて話したいといったときに使うのです。

五つのステップに入っていく前に、最初のステップは常にあなた自身の感情を調整することである点に注目してほしいと思います。あなたがとても動揺しているならば、効果的な反応はできません。あなた自身の感情が調整不全では、言わなければよかったと思うようなことを軽率に言ってしまい、自分がしたいことについて考えることはできないでしょう。ですから、愛する人への反応でまずすべきことは、あなた自身の感情を調整することです。口でそう言うのは簡単だけれど、と思っているでしょう。けれども、あなたが不意打ちをくらったときでさえも、あなた自身の感情を調整する方法は存在するのです。

愛する人に効果的に反応するための五つのステップを下記に掲載しています。これをコピーして、暗記するまでは頻繁に復習できる場所に置いておくとよいでしょう。これは境界性パーソナリティ障害をもつ人とのほぼすべてのやりとりにおいて、この五つのステップがコミュニケーションの最善策であることを思い出させてくれるメモにもなります。

 

ボーダーライン行動に効果的に反応するための五つのステップ

1、  あなた自身の感情を調整する。

2、 承認する(全ステップでこれを行う)。

3、 質問/査定する。

4、 ブレインストーミング/調停。

5、 (あれば)あなたの役割と、結果を聞いてからあなたが計画できることについての情報を手に入れる。

 

 

練習すれば五つのステップが自動的なものになる

五つのステップはそれぞれ、危機的状況にないときに練習すれば、より簡単に効果が得られるようになります。

BPDをもつ人に直接関係しない状況で、感情調整を練習する。

・自分の頭の中で自分自身を承認するか、BPDをもっていない誰かを承認して、承認に慣れる。

・友人があなたに何かを打ち明けたときはいつでも、相手の人が何を必要としているのかを質問して、質問することを学ぶ。

・ブレインストーミングや調停の機会を探す。職場などが、その技能に適した場である。

・あなたの役割をはっきりさせ、(友人の問題、家庭での計画、仕事での任務などに関して)目標が設定されたときには必ずその結果を聞くようにする習慣をつくる。

 

次回以降、五つのステップの実施方法についての詳細を紹介します。

 

 

次回は「ステップ1:あなた自身の感情を調整する」をご紹介します。

 

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BPDをもつ人を愛している多くの人たちは、午前2時の苦境を訴える電話にはもう出られない、あるいは不愉快な不意打ちには耐えられない、と感じるまでになってしまいます。愛する人がたびたび激しい苦悩を経験するのを目にすることに耐えられなくなるのです。では一体、何をしたらよいのでしょうか?

 

私はBPDの誰かを愛している人々に、ボーダーライン行動の出所を理解することがまさに違いをもたらすのだと伝えています。けれども、現実的に見れば、新しい理解が変化を生むには時間がかかります。そういうわけで私は、危機によって圧倒されているにしても、会話を生産的な軌道に乗せたいと思っているにしても、今すぐ効果を出せるような五つのシンプルなステップを考案しました。これらは簡単に記憶できます。習慣になるように練習してください。感情が主役の座を奪おうと脅かしてくるときにはいつでも引き出して使えるようなステップです。とどのつまり、あなたは自分自身の行動(あなたの愛する人へのあなたの反応)しか変えられないのです。良い知らせは、あなたがあなたの行動を変えると、時としてあなたの愛する人の行動も変わるということです。これら五つのステップを使って反応することで、どの個々の関わり合いでもその結果が大いに改善することに驚くと思います。そして時間が経つにつれ、これらのステップは永続的な影響をもたらすかもしれないのです。

 

 

次回は「危機の真っただ中でどのように反応するか」を紹介します。

 

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無視すること

第二のパターンでは、自分は誤解されていると感じる子どもの感覚とそれに伴う心の傷は、その子どもが次第に話をしなくなり、引きこもるようになるにつれて深みに沈んでいきます。家族は子どもに自分の気持ちを打ち明けさせようといっそう努力するかもしれませんが、それはますます沈黙を深めてしまうだけです。子どもは理解されることを諦め、沈黙と親の期待に対する偽りの迎合へとひたすら逃げ込みます。その一方で、子どもは何とか自分の感情の混乱に対処しようともがき苦しんでいます。多くの場合、このパターンを取るのは自分の感情に仮面をつけることを覚えた子どもたちです。そして多くの親は、わが子の自傷を発見するまで、彼らが困っていたことを疑いもしません。

こうしたパターンは、自分は誤解されているという気持ちと、それに続く感情統制の困難に対する反応を示しています。おわかりでしょうが、自傷は感情的バランスを回復するために行われることが最も多いのです。

皆さんの子どもは、自分の苦痛な感情に対処するために自傷を用いるパターンに該当しますか?次にあげる質問について考えてみてください。

 

1, 皆さんの子どもは感情的反応が最も過敏なほうに属しますか?

 

2, 皆さんは、子どもが感情的に脆弱で、感情を統制するのに必要なスキルが欠けているかどうかを判断できますか?

 

3, 皆さんの子どもは、次々と感情の危機を渡り歩いていくようですか? それとも感情を覆い隠すタイプの子どもですか?

 

4, 皆さんの子どもの感情的苦悩に対する、皆さんの一般的な反応について考えてください。皆さんは、知らず知らずのうちに事態を悪化させている傾向がありませんか? 感情的脆弱さと不承認が雪だるま式に膨らんで感情統制の困難のレベルをますます引き上げるという概念を理解することが重要です。

 

これらの質問の多くに対する答えが「はい」である場合には、おそらく皆さんの子どもは、感情的苦悩に対処するための方法として意図的な自傷を用いているでしょう。

 

 

「自傷行為救出ガイドブック -弁証法的行動療法に基づく援助-」 マイケル・ホランダー著


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