私たちの誰にでも、明確に言葉にはしていない限界があります。限界を見極めるための能動的な自己観察を始める前に、あなたの愛する人とは何ら関係ないものも含めて、はっきり言葉にはされていないあなたの限界のいくつかを特定してみると役に立つかもしれません。自分自身に次の質問をしてください。
・あなたには、愛する人が自宅に来ることに関する限界がありますか?
あるならば、あなたの愛する人が訪問してもかまわないのはいつですか?
あなたの愛する人が訪問すると困るのはいつですか?
・あなたには友人との電話に関する限界がありますか? 家族とは? BPDをもつ人とは?
・あなたの愛する人との接触に関する、あなたの身体的な限界は何ですか?
・言葉や感情に関するあなたの限界は何ですか?(あなたはののしり、大声での発言、身体的な興奮状態を許容できる人ですか?)
☆限界を超えたと伝達する決断をするために「プラス面とマイナス面」を使う
弁証法的行動療法では、人々が賢明な決断を下せるよう手助けするために、四分式の賛否分析を使用します。一見すると、これらはただの堂々巡りのように見えますが、非常に異なる解決策を生み出します。金曜の晩に、私の妹が飲みに出かけて、午後零時を回ってから我が家に電話してきたときに電話に出るかどうかについて、「プラス面とマイナス面」をやってみましょう。
マイナス面 |
プラス面 |
電話に出る |
私の夜を台無しにする |
彼女が土曜日に怒っていない |
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夫が怒る |
一晩中電話が鳴ることはない |
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私が制御不能に感じる |
彼女が家にいるとわかる |
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彼女について心配するだろう |
怒鳴られない |
電話に出ない |
彼女は母に電話するだろう |
夫との時間を過ごせる |
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彼女は百回もボイスメールを残すだろう |
彼女に激怒しない |
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「プラス面とマイナス面」には正しい解釈も誤った解釈もありませんし、異なる四半分を足し合わせることが大事なわけでもありません。あなた自身で「賢明な」答えを見つけることが主題です。私がこのプラス面とマイナス面を見ると、私は電話に出ることのマイナス面と電話に出ないことのプラス面にの方に気持ちが傾きます。もし可能であれば、私は妹と前もって会話をし、私の限界が何であるかを説明し、金曜日の夜、ある一定の時間を過ぎたら彼女が電話をしても出ないと伝えるでしょう。
限界を見極めて伝達するプロセスは以下に要約されています。
~限界の特定と伝達~
自分の限界をはっきりさせるため、自分の経験を観察する。
自分の限界が超えられていないかどうか注意を払う。
自分の限界が超えられたと伝達するかどうか、決断する。
そうすると決めたならば、あなたの愛する人に伝達する(必要であれば、あなた自身の感情の調整から始める)。
次回は「前もって限界を伝達する方法」を紹介します。
「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」 シャーリ・Y・マニング著