2021年2月アーカイブ

ADHDとは

ADHDは発達障害の一つです。現在広く用いられている診断基準では、12歳になる前からその症状がみられるものとされています。

これまで、ADHDの症状は年齢を重ねると治まる傾向にあるとされてきましたが、最近の研究では、約60%の人で成人期にも症状が残るといわれています。個人差はありますが、大人のADHDは、子どもの頃と比べて多動性が弱まり、不注意が目立つ傾向にあるようです。

 

ADHDの症状の変化

 

子どもの症状

大人の症状

多動性

・座っているときに落ち着いて座っていることが難しい

・落ち着かない感じ

・遊びや余暇活動におとなしく参加することが難しい

・貧乏ゆすりなど、

・過度におしゃべりをする

 目的のない動き

衝動性

・質問が終わらないうちに出し抜けに答えてしまう

・思ったことをすぐに

・順番を待つのが難しい

 口にしてしまう

・他の人がしていることをさえぎったり、邪魔したりしてしまう

・衝動買いをしてしまう

不注意

・勉強などで不注意な間違いをする

・仕事などでケアレス

・課題や遊びの活動で注意を集中し続けることが難しい

 ミスをする

・興味のあることには集中しすぎてしまい切り替えが難しい

・忘れ物なくし物が多い

・話を聞いていないように見える

・約束や期日を守れ

・課題や活動を順序だてて行うことが難しい

 ない、間に合わない

・同じことを繰り返すのが苦手

・時間管理が苦手

・必要なものをなくしてしまう、忘れっぽい

・仕事や作業を順序

・注意が長続きせず、気が散りやすい

 だてて行うことが苦手

・片づけるのが苦手

 

特にお困りの症状があれば、この表のような言葉で医師に説明すると伝わりやすいでしょう。ただ、こうした症状がある人がすべてADHDというわけではありません。ADHDに似た症状を示す障害は他にもあるため、最終的な診断をくだすためには、他の障害や病気ではないことを確認する必要があります。

また、ADHDには自閉スペクトラム症などの他の発達障害や、他の精神疾患、身体疾患が併存していることも多くみられます。他の生涯や疾患が合併していると、ADHDの症状が見極めにくくなったり、治療効果や将来に影響を及ぼしたりする可能性があるため、併存症の有無も適切に診断する必要があります。

次回は「日常生活における困りごと」を紹介します。

 

「大人の発達障害  すべては自分の特性を知ることから」

 

自閉スペクトラム症とは

   自閉スペクトラム症では、「社会的コミュニケーションおよび対人関係」、「こだわり」の特性がみられます。自閉スペクトラム症は発達障害の一つであり、遺伝と環境の双方が関与して起こりますが、育てられ方が原因で起こるものではありません。注意欠陥・多動症(ADHD)などの他の発達障害や、他の精神疾患、身体疾患が併存していることも多くみられます。

 

◎自閉スペクトラム症の症状

  ・社会的コミュニケーションや対人関係の問題:

    ▶通常の会話のやりとりが苦手であったり、ほかの人と感情を共有することが少ないという特徴があります。

    ▶相手の表情や身振り手振りから、気持ちを読み取ることが苦手です。

    ▶実際に目の前にないものや、架空の事柄を想像したり空想したりすることが難しい場合があります。また、仲間に対する興味が薄いという特徴がある場合もあります。

  ・「こだわり」の問題:

    ▶物を並べたり、叩くといった単調な行動を繰り返すという特徴がある人もいます。

    ▶同じ習慣への強いこだわりがあり、少しの変化にも苦痛を感じることがあります。

    ▶興味の範囲が狭く、特定のものにこだわるという特徴があります。

    ▶聴覚、嗅覚、触覚、視覚など、特定の感覚が非常に敏感または鈍感な人もいます。

 

自閉スペクトラム症の人たちは、生活に困難を抱えながらも外からはそれがわかりにくいため、発達の問題があることに気づかれにくい場合があり、「わがままで自分勝手」、「空気を読まない」などと言われ、つらい思いをしてきました。こうした人たちの特徴は、性格の特徴ともいえますが、この特徴が著しく、社会生活を営むうえで本人や家族、周りの人が困っていたりつらい思いをしているならば、適切に行動できるよう対処法を考えたり、支援を受ける必要があります。日々の困難が積み重なると、精神的にもつらい状況となり、ほかの精神疾患を併発するなど、二次的な問題につながる可能性もあるためです。

 

 

限局性学習症とは

   限局性学習症とは、知能には大きな問題がなく、目も見え、耳も聞こえているのに、「読む」、「書く」、「計算する」といった学習技能のいずれか一つ以上がうまくできない状態をいいます。英語では「Specific Learning Disorders」といいます。

 

◎限局性学習症の症状

  ・「読む」ことの問題:

    ▶誤った発音をする、文章の文字や単語を抜かして読む、読んでいるものの意味を理解することが難しい、などの状態です。

  ・「書く」ことの問題:

    ▶誤った文字を書く、句読点を間違える、単語の中に誤った文字が混じる、文法的な誤りの多い文章を書く、などの状態です。

  ・「計算する」ことの問題:

    ▶数の感覚、計算の正確さに困難がある、数学的推理の正確さに困難がある、などの状態です。

 

限局性学習症の診断は非常に慎重に行われる必要があります。生活支援としては、書くことが苦手な人ではパソコンを使う、計算が苦手な人では電卓を活用する、また書き写すことが苦手な人ではカメラで記録するなど、それぞれにあったツールを活用することで、困難を補うことができます。

育てられ方などが原因ではないかと誤解されることもありますが、発達障害の一つであることをご理解ください。

 

次回は「ADHDとは」を紹介します。

 

「大人の発達障害  すべては自分の特性を知ることから」

 

大人の発達障害

忘れ物やミスが多い、上司や同僚、お客さんとのコミュニケーションがうまくいかない、提出物の期限が守れない、大事なものをなくしてしまう、仕事や家事の段取りが悪い、空気が読めないと怒られる...など、一つ一つは大したことのないように思える問題で、仕事や生活面に何らかの支障をきたしている人が多くいることがわかってきました。

 

こう言ったことは誰にでもあることですが、頻繁に起きていて、子どもの頃からずっとそうだったという場合、もしかしたらそれは努力不足などではなく、生来の発達のアンバランスが関係している可能性もあります。

 

発達のアンバランス、いわゆる発達障害とは、生まれもった発達上の個性(特性)があることで、日常生活に困難をきたしている状態をいいます。発達障害の代表的なものとしては、自閉スペクトラム症、限局性学習症、ADHD(注意欠如・多動症)などがあげられます。これらの特性をもつ人たちは、障害とは気づかれにくく、必要なサポートを受けられずに困っていることがあります。また、多くの人は自分なりの工夫や対策を考えて努力していますが、それにもかかわらずなかなか状況が改善されません。そのため、自分自身を責めたり、本人が怠けている、悪気があってやっている、あるいは親の育て方のせいといった非難や誤解にさらされたり、つらい状況に置かれがちです。

 

しかし、こうした問題は、本人の努力不足や家族のせいではなく、脳の発達特性によるものであると考えられます。

 

本人や周りの人が、その人の発達特性を理解し、適切に対応することで、生活上の悪循環を断ち切り、状況を改善していくことができます。

 

 

次回は「自閉スペクトラム症とは」「限局性学習症とは」を紹介します。

 

「大人の発達障害  すべては自分の特性を知ることから」

自慈心としての自己ケア

  愛する人との関係を大切にする一つの方法は、自分自身をケアすることです。自分自身について受容的で共感的なスタンスを発達させることに加え、あなたの身体と感情のケアをする必要があるのです。健康な身体を持つことはあなたをより強くし、あなたの愛する人が感情的になっているときでさえも、感情を経験することに対して脆弱になりにくくしてくれます。これを行う方法は幾通りかあります。

 

  ・最初に、あなたの身体をケアしましょう。良い食事をし、よく眠り、過度のカフェイン、アルコール、砂糖を控えましょう。自分を充電させるために仕事を休む時間をとりましょう。自分自身に喜びを与え、コントロールできていると感じさせてくれることを発見しましょう。これらによって、あなたの感情がすぐに反応してしまうことが少なくなるでしょう。

  ・あなたの感覚を静めましょう。毎日自己沈静化を行う人は自己沈静化を行わない人たちよりもイライラしにくいことを専門家は発見しました。自分の感覚を必ず沈静化するようにすることは、感情を高ぶらせないようにするための一つの方法です。毎日、時間をとり、あなたの感情からピリピリした感じをそぎ落とす、小さなことをしましょう。五感について考えましょう。

 

触覚:温かいお風呂に入る。ペットを抱いて横になる。やわらかい毛布を触る。

味覚:落ち着かせてくれる食べ物を食べる。口の中に安心を与える味のもの(キャラメル)を入れる。温かい紅茶、ココア、コーヒーを飲む。

臭覚:家や自分のスペースで、ラベンダー、ユーカリ、花、シナモン、キャンドルなどを使い、リラックスできるスパのような香りを作る。

視覚:あなたを冷静にするものを見る。水、山、絵、遊んでいる子どもなど。

聴覚:落ち着かせてくれる音楽、寄せる波の音、猫がのどをゴロゴロさせる音を聞く。

 

  ・ちょっとした休息をとりましょう。休息の要は、生活のための燃料を積み直すために、自分自身を癒して強化することにあります。自分自身のために数時間を取りましょう。芝生の上の椅子に座ったり、スポーツを見たり、小説を読んだりしましょう。過去や未来を案じたり、思いを巡らしたりせずに、出来る何かをしましょう。ただ休息を取りましょう。休息の後には、感情に対する脆弱性が減るでしょう。

 

難しい状況を切り抜ける一つの方法は、あなた自身のチアリーダーをすることです。私たちの多くは、苦しい状況にある人に、乗り越えられると伝えることや、怯えている人に力づけることは本当に得意ですが、自分自身のためにそうすることは不得意なのです。あなたもそのような人の一人ならば、次のようにしましょう。

 

1、          友人が電話をしてきて、あなたの状況と似た状況にあると言ったならば、自分は何というだろうか、考えてみましょう。

2、         友人を励ますために言うであろうことを三つあげましょう。

3、         自動的に述べられる言明となるまで、毎日自分自身に三つのことを繰り返しましょう。

 

 

「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」 シャーリ・Y・マニング著

 

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