ADHDは発達障害の一つです。現在広く用いられている診断基準では、12歳になる前からその症状がみられるものとされています。
これまで、ADHDの症状は年齢を重ねると治まる傾向にあるとされてきましたが、最近の研究では、約60%の人で成人期にも症状が残るといわれています。個人差はありますが、大人のADHDは、子どもの頃と比べて多動性が弱まり、不注意が目立つ傾向にあるようです。
◎ADHDの症状の変化
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子どもの症状 |
大人の症状 |
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多動性 |
・座っているときに落ち着いて座っていることが難しい |
・落ち着かない感じ |
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・遊びや余暇活動におとなしく参加することが難しい |
・貧乏ゆすりなど、 |
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・過度におしゃべりをする |
目的のない動き |
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衝動性 |
・質問が終わらないうちに出し抜けに答えてしまう |
・思ったことをすぐに |
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・順番を待つのが難しい |
口にしてしまう |
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・他の人がしていることをさえぎったり、邪魔したりしてしまう |
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・衝動買いをしてしまう |
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不注意 |
・勉強などで不注意な間違いをする |
・仕事などでケアレス |
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・課題や遊びの活動で注意を集中し続けることが難しい |
ミスをする |
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・興味のあることには集中しすぎてしまい切り替えが難しい |
・忘れ物なくし物が多い |
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・話を聞いていないように見える |
・約束や期日を守れ |
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・課題や活動を順序だてて行うことが難しい |
ない、間に合わない |
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・同じことを繰り返すのが苦手 |
・時間管理が苦手 |
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・必要なものをなくしてしまう、忘れっぽい |
・仕事や作業を順序 |
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・注意が長続きせず、気が散りやすい |
だてて行うことが苦手 |
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・片づけるのが苦手 |
特にお困りの症状があれば、この表のような言葉で医師に説明すると伝わりやすいでしょう。ただ、こうした症状がある人がすべてADHDというわけではありません。ADHDに似た症状を示す障害は他にもあるため、最終的な診断をくだすためには、他の障害や病気ではないことを確認する必要があります。
また、ADHDには自閉スペクトラム症などの他の発達障害や、他の精神疾患、身体疾患が併存していることも多くみられます。他の生涯や疾患が合併していると、ADHDの症状が見極めにくくなったり、治療効果や将来に影響を及ぼしたりする可能性があるため、併存症の有無も適切に診断する必要があります。
次回は「日常生活における困りごと」を紹介します。
「大人の発達障害 すべては自分の特性を知ることから」