過感受性精神病
治療抵抗性統合失調症の治療・予防法の追求
なぜドパミンD2受容体が増加すると再発しやすくなるのか、そして治療抵抗性になるのか? 本書は、ドパミン過感受性精神病の機序と予防法、治療法を提唱する。
統合失調症の初発時には抗精神病薬により精神病症状は改善するが、再発再燃を繰り返すたびに抗精神病薬の用量が増え、遂には高用量の抗精神病薬が必要となる。わずかな減量や服薬中断によって短期間で精神病症状が再燃してしまう。このように多量の抗精神病薬の投与により、代償的にD2受容体密度が増加して、抗精神病薬への耐性形成が生じ治療抵抗性に発展したドパミン過感受性精神病は、統合失調症の22%〜43%、治療抵抗性統合失調症の半分を占めるのではないかと考えられる。本書は、繰り返される再発により治療抵抗性に発展したドパミン過感受性精神病に極めて有効な治療法を提唱する。
伊豫雅臣、
中込和幸 監修
定価 1,980 円(本体1,800円 + 税) A5判 並製 92頁
ISBN978-4-7911-0840-4〔2013〕
Contents
1. より安全な抗精神病薬治療:間歇的投与の可能性 内田裕之
1-2. 治療の個別化の必要性
1-2. 抗精神病薬の役割
1-3. 抗精神病薬の副作用
1-4. 必要な用量を予測する試み
1-5. 抗精神病薬の減量
1-6. 抗精神病薬の投与間隔の延長
<討論>
2. 統合失調症薬物療法におけるドパミンD2受容体密度と至適占拠率 伊豫雅臣
2-1. 統合失調症治療における抗精神病薬のドパミンD2受容体占拠率のPETによる測定
2-2. ドパミン過感受性精神病とドパミンD2受容体密度
2-3. ドパミンD2受容体密度と至適占拠率
2-4. ドパミン過感受性精神病の予防:D2受容体数を増やさない
2-5. ドパミン過感受性精神病の治療
2-6. その他のD2受容体密度偏移に関わる病態
<討論>
3. ドパミン過感受性精神病の治療 金原信久
3-1. 研究の背景:ドパミン過感受性精神病
3-2. 研究の背景:治療抵抗性症例の他のタイプ
3-3. 研究の背景:リスペリドン持効性注射剤
3-4. 研究の方法:治療方法
3-5. 研究の方法:ドパミン過感受性精神病の評価
3-6. 研究の方法:被験者ベースライン
3-7. 研究の結果
3-8. まとめと考察
4. 総合討論
4-1. 抗精神病薬の間歇投与と再発予防
4-2. 抗精神病薬の効果発現までの期間
4-3. 抗精神病薬の血中濃度測定について
4-4. 統合失調症の治療抵抗性メカニズム
5. 指定発言 佐藤光源
5-1. 一過性か持続性か
5-2. 病像の難治化との関連
5-3. 病態と予防
「ドパミン過感受性精神病の研究用診断基準」
あとがき
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